展覧会案内・感想

2018年04月02日

 平田玉蘊 美の交遊 奥田元宋・小由女美術館
平田玉蘊 美の交遊 チラシ表

平田玉蘊 美の交遊 チラシ表
 広島県三次市にある奥田元宋・小由女美術館で<時代に先駆けた女性画家 平田玉蘊 美の交遊>展が開かれます。2018年3月1日(木)〜4月15日(日)開館時間 9:30〜17:00 会期中の休館日 4月11日(水)

 私自身の個展があったり、大学に関する諸々もあったりと、ここのところ慌ただしい日々が続いていて、これは観に行くのは無理かもという状況でしたが、偶然観た展覧会紹介映像で思い直し、この日ならと昨日出かけてきました。

 展覧会紹介のチラシ、細密に描かれた鶏に朝顔の図柄です。確かに人気の伊藤若冲に繋がる雰囲気を感じます。ただずっと柔らかく繊細な絵肌と見て取れましたが、江戸時代にあった細密な作風の作家なのかな〜というのが当初の感想でした。応挙、芦雪、若中の作品も紹介されており、どのような関連付けがこの平田玉蘊とされるのかも興味をもったところでした。
 その後に見た映像で、桐と鳳凰の図柄、金箔を使っているのを見たこともあって、俄然、気になって来たのです。

 さまざまな作風、作品が並びます。
 折々に飾られ、それぞれ大切にされてきたに違いありません。


 長い年月、作品が伝えられ残っているのは何故か?。大勢の方々に時を越えて大切にされて来たということがわかります。出身地、長く暮らした場所、地域の存在。その場での触れ合い、記憶。
 絹は紙に比べて虫が来たり、経年変化の影響が大きく保存性がよいとは言えないそうです。しかし、古に描かれたそれらが現在まで残っているのは、その折々に触れ、所蔵される方々に愛され大切にされてきたからにほかなりません。

 「貴重」とはどういうことなのか。
 「価値がある」とはどういうことなのか。

 「愛される存在である」ということが伝え続けられることにおいて重要な要素なのです。それが唯一無二であり、変わりがないからこそ「貴重」となります。だからこそ「価値がある」のです。故郷のありがたさを思います。

 絵に書かれた「画讃」に焦点を当てることで、絵を描いた平田玉蘊の存在自体が浮き上がります。素敵な女性だったに違いありません。
 第一展示室、第二展示室、最後の一番広い第3展示室と廻る内、上達、倣って学ぶ様子、筆の変化といったものも感じられました。

 車で片道約130km、往復260km、帰り道は途中下車して岡山県・新見美術館に立ち寄って来ることができました。寄贈・新収蔵の作品の展示、地域の先達の作品が並びます。