展覧会案内・感想

2019年07月09日

 五感の夏 日本の涼を楽しむ
五感の夏 日本の涼を楽しむ 展チラシ表

五感の夏 日本の涼を楽しむ 展チラシ表
 井原市にある華鴒大塚美術館で「五感の夏 日本の涼を楽しむ 夏のコレクション」展が開かれています。2019年6月7日(金)〜8月4日(日)休館6月10,17,27 7月1,8,16,22,29, 開館時間9時〜午後5時 ただし入館は4時30分まで

 凛とした女性の横顔、まさしく白のイメージ、中村大三郎作の「白容」。

 季節はいつの間にか夏の装い、久々に華鴒大塚美術館を訪問しました。まずは入って右手「はなとり展示室」へ、吉田善彦の「赤い花と青い実」が迎えてくれました。金箔の細い線が無数に交錯するこの背景の表現こそ吉田先生独特の技法です。用紙は吉田紙、素材は雁皮をベースとした和紙です。また第一展示室では、工藤甲人の「蝸牛」が迎えてくれました。薄塗りなのに重厚で複雑な絵肌です。粒子の感じられる絵の具を用い、ひと通り描きあげたあと、その絵の具、表面を洗い落とし、残った痕跡を基に要所となる部分だけを丁寧に描き起こす作業、作画プロセス。

 私が学部を卒業する年、吉田先生が退官されました。その後工藤先生も退官されるのですが、吉田先生に工藤先生、お二方ともいかにも大学の先生といった雰囲気ではなく、古き良き時代の絵描きの何かしらを伝えてくれた先生だった様に思います。私自身、思えばこうした先生方に大学で教わることができた最後の世代なのかもしれません。

 学校でという形では無く、弟子入りで、もしくは画塾等で抜き難い何かを身に着けた方々だったように思います。

 吉田先生が院展、工藤先生が創画会。あと日本画の代表的な公募展といえばもちろん日展があります。日展は誰もが知る洋画、彫刻、工芸、書道と日本画以外にも多様なジャンルを持つ総合展です。
 今回の展覧会にも高山辰雄、池田遥邨、杉山寧、小野竹喬・・・たくさんの日展作家が展示されていました。あらためて日展日本画が持っていた多様性といったことを思い出しました。


 時を同じくして笠岡市立竹喬美術館で開催中(前記は9月1日まで。後期もあります)の「生誕130年記念 小野竹喬のすべて」展、加えて岡山県立美術館、天神山文化プラザを会場に19年ぶり岡山巡回展を開催している日展。関わる日本画についていろいろと思う展覧会巡りです。(続いて「小野竹喬のすべて」、日展(岡山巡回展)についてを紹介予定です。)