展覧会案内・感想

2020年08月22日

 池田遙邨 ベストセレクション
池田遙邨 ベストセレクション 展チラシ表

池田遙邨 ベストセレクション 展チラシ表
倉敷市立美術館で「池田遙邨 ベストセレクション」が8月23日まで開催中です。

倉敷市立美術館のコレクション中核を成す池田遙邨さんの作品が並んでいます。まずは卒業制作作品「南郷の8月」です。大ぶりの掛け軸です。制作を同級生が手伝ったという話も残っていると聞いたことがあります。オーソドックスな絵具の使い方ではありますが、西洋的な空間意識も感じられ、当時はきっとみずみずしくモダンに見えたに違いありません。

続いて関東大震災に取材した「災禍の跡」屏風作品。大正時代におきた日本画への大きなムーブメントと歩みをともにするような作品です。

時代とともにどんどんとスタイルを変える池田遙邨作品、抽象的な要素を高めたり、写実的になってみたり、色の使い方、絵の具の扱いを見てもうまい方だな〜と感じます。

まさにベスト・コレクションと銘打つ展示です。学芸員の方とお話する機会がありました。「今のような時代になって遙邨作品が落ち着いて見える」発表当時、事件的な意味合いの強かった作品も時が過ぎなんでもあり?に見える現状に照らせば、ある意味で標準的な描き方にも感じられるということでしょうか。

倉敷市立美術館には、池田遙邨のスケッチ、また模写などの資料が多く収蔵されています。それらに触れることで遙邨の古典研究、日本画という言葉に意味、形を与える取り組みが見えてきます。

油画から日本画への転向、あの時代に何を考えていたのか。

そんなことも考えつつ拝見しました。
紹介が遅くなりました。8月23日(日)までです。