展覧会案内・感想

2021年02月28日

 特別展「雪舟と玉堂-ふたりの里帰り」
特別展「雪舟と玉堂-ふたりの里帰り」チラシ表

特別展「雪舟と玉堂-ふたりの里帰り」チラシ表
特別展「雪舟と玉堂-ふたりの里帰り」展が岡山県立美術館で行われています。2月10日から3月14日まで、雪舟作、国宝の「山水長巻」全16メートルが全部一度に見えます。会場の構成と、(たまたまかも)観客の数!もあって、全体を距離をとって眺めることが可能でした(2度見に行きましたが2度とも可能でした)。画面の色をこんなに感じたのは初めてです。(岡山での公開47年ぶりとか・・・)「慧可断臂図」、「秋冬山水図」、「倣夏珪山水図」。浦上玉堂の国宝、「東雲篩雪図」などに加えて重文もたくさんです。
 
こんな贅沢な展示はなかなかありません!!

東京でもしこの展覧会が行われたら・・・・きっと人の頭しか見えない?ぐらいいっぱいの人に埋め尽くされるのでは?の展覧会企画。コロナ禍ということもあってか、じっくりしっかり見ることができました。しかし、一日では足りない・・・・感じです。大おすすめの展覧会です。

水墨画だからとは限りませんが、美術館を訪問するのがどんな天候の日、日差しであったのかも体験に影響するように思います。日差しが強いと目がなれてくるまで館内、絵が暗く感じます。加齢のためでしょう、どうしても時間がかかるようになりました。

一昨日の金曜日は雨でした。二度目の訪問、この日印象深く強く感じたのは墨色の響き合い瑞々しさでした。もちろん天気の日でも感じるのですが、同じ展覧会に何度か足を運んでいると、何かが強調されて目に飛び込んでくることもあるのです。

潤んだような、何処か湿ったままのような画面です。
それは渇筆など、極力筆についた水を少なくして使っていてもなのです。

水墨画に関わらずですが、水を使う絵画を描いていると、未だ濡れているときの肌合い、色がとても良くてこのままでいて欲しいと思うことがあります。もちろん乾燥後の色を計画しての作業ではあるのですが・・・。

川端康成の愛蔵品、国宝 浦上玉堂筆「東雲師雪図」がこの日は明るく感じました。優しい筆の重なり合い、画面と向き合う時間の愛おしさといったものを感じたのです。「そんな目」で会場を回ると前回訪れたときも感じてはいたはずなのですが、濃密な画家の画面との語らいと言った時間をその時以上に感じることになりました。

国宝 雪舟の「秋冬山水図」は今日(28日)までの展示です。この絵も含めて会場ではすでに図録、画集などで知っている絵が多く、実物に触れてみると意外と小さな画面の作品が多いとあらためて感じました。またそれぞれ表具の良いこと!。(伝)「四季花鳥図屏風」六曲一双も印象深く、今回は筆使いに注目して見ることができました。そうそう!!「慧可断臂図」の空間処理がモダンなことに改めて目が行きました。ある意味で隈取の技法を面積を大きくしたやり方?というような処理があり、画面の奥行き方向についての明確な意識が技法に現れていたように思いました。これはこの見方で他の雪舟作品を見直すと、共通して感じらられる特徴的(な意識の現れの)一つかもしれません。

ブルーの表紙、今回作られた図録も素晴らしいです。図版のみならず文章も読み応えありです。

時間を作ってもう一度!、ゆっくり見に行きたいと思っています。