展覧会案内・感想

2021年05月09日

 『ねないこだれだ』せなけいこ展
『ねないこだれだ』せなけいこ展 ちらし表

『ねないこだれだ』せなけいこ展 ちらし表
2021年4.2日〜5.9日まで岡山県立美術館

展覧会は本日まで。拝見したのはすこし前ですがその記憶から。

「表現に用いられた材料の選択と技法は、制作者が大切にするものがなにかについて、なにかしらその一部を教えてくれるように思います。事実、私自身、制作においてその重要性をより思う今日このごろなのです。」と、笠岡市立竹喬美術館での「葉 祥明」展紹介の最後に書きました。
 
実はこのような視線を強くしたのは、先にこの「せなけいこ」展を見たこともあってのことなのです。

めずらしく絵本をテーマとした2つの展覧会が同時期に行われました。それぞれの制作技法は、かたや切り絵、ちぎり絵、そしてもう一方はアクリル系絵の具でした。

せなけいこ展で感じたのは、この原画制作において切り絵や、ちぎり絵といった制作方法を用いたメリット、感じさせる時間感覚についての興味深さ、私が日本画の画材について感じていることとどこかでつながる部分でした。

ある意味で日本文化の現れ。西洋的表現との違いです。

私の勝手な解釈であろうとは思うのですが、素材を選択し、そしてそれらをハサミや手で加工する制作手法自体が持つ時間間隔、素材との緊張感の作り方が、毛筆という道具、水を使って表現する日本画の中にあるある種の美意識、価値観との類似性を感じることになったのです。

この制作手法の選択こそが大きな意味を持つのです。
もちろん、表現された絵本の話とはちょっとそれた話であるのは重々承知しています。とても興味深い鑑賞体験となったこととして記録しておきたいと思ったのです。