10回日本野鳥の会岡山県支部海外探鳥旅行 2007
探鳥地MAP
オーストラリア・クィーンズランド州 ケアンズ探鳥旅行記
守分 敏郎

 1999年の第3回ケアンズ探鳥旅行から8年経過した2007年の支部として2度目のケアンズ探鳥旅行に初めて参加した。1121日から27日まで5泊7日の探鳥旅行だ。2006年度は3月のバンクーバー探鳥旅行に続いて年2回の海外遠征です。〈総勢9名、お目当てはシラオラケットカワセミ、セアカオーストララリア・ムシクイ、他〉

1121日(水) 岡山→関西空港→ケアンズ(Cairns)

 9:05pm ジェットスター航空JQ#16便にて関空を出発。機内泊。ケアンズの時差は1時間進み。ジェットスター航空はメルボルンに本社を置く、カンタス航空資本下の格安料金が売りの航空会社だ。機内サービスは無駄を省き、欲しい物をチョイスする形式だった。 ほとんどが日本人旅行者で占められ、ほぼ満席でケアンズへ発った。

1122日(木)ケアンズ → イーチャム湖 (Lake Eacham) (Lake Eacham)
  5:30amケアンズ空港着。ガイドのアラン (Mr. Alan Gillanders) の出迎えを受け、早速探鳥道具を取り出し、レンタルしたミニバス(フォード車12人乗り)で出発。
フリッカー植物園 (Flecker Botanic Gardens) で探鳥を開始した。
植物園周辺の案内地図        撮影:渡辺 裕幸
園外の池 (Centenary Lakes)では、マミジロカルガモ、カザリリユウキュウガモなどの水鳥、地上ではインドハッカ、ツチスドリが、樹上ではパプアソデグロバト、テリオウチュウ、モリショウビン、ミツスイ類が観察出来た。

池では蓮の花があでやかに咲いていた。行く先々で鳥たちの鳴き声は途絶えることがなく、身近で多くの鳥たちに出会えた。すばらしい旅の始まりだ。

モリショウビン Forest Kingfisher    撮影:三宅 和子
街の中に広大なスペースと熱帯雨林を持つ植物園は、ケアンズならではと驚いた。
マンゴーの大木はたわわに実をつけていたし、園内にもマンゴーの木は数多く点在していた。
また美しい花を付けた沢山な木々の中をミツスイ類が飛び交い、ジョギングの人、散歩の人たちが憩っていた。園内のカフェで朝食(早朝、機内軽食を食べたので昼食兼用?)を食べ次へ向かった。
Centenary Lakes        撮影:渡辺 裕幸

郊外の牧場へ立ち寄り木陰のワラビーを、近くではオーストラリア・イシチドリ、ヨコフリオウギヒタキ、イエスズメなどを見た。この時間帯10:00amはかなりの陽射し、南半球は初夏である。しかし旅行中、日本の夏のような暑さを感じることはなかった。
曲がりくねったギリス・ハイウエイ(Gilles Highway)を一気に750mほど登り、開けた高原に出た。どこまでも続く草原、牧場、サトウキビ畑、農場、点在する湖、残された熱帯雨林など広大な広さである。探鳥しながらの移動。
オーストラリアイシチドリ Bush Thick-knee    撮影:三宅 和子
バリン湖 (Lake Barrine) へ立ち寄り、オーストラリアオオバン、ハイイロコガモ、ヤブツカツクリなどを観察した。レストラン近くの遊歩道脇の樹間で小型の有袋類が現れると聞いたが現れなかった。ハイイロコガモは警戒することもなく、ノコノコと陸へ上がり、ベンチの前に横たわった。
鳥たちとの距離が本当に近い。
ハイイロコガモ           撮影:三宅 和子

 地元ガイドのアランとっておきの場所へ移動。カモノハシが生息する池だ。

木々に囲まれた小さな池で、静かなたたずまいの中、全員がかたずを飲んで待つうち、水面に浮上した。
50~60センチ程度のかわいい姿が数分おきに4~5回見えたが、すぐ潜ってしまった。写真を撮るのは難しかったがM女史が撮影に成功した。
カモノハシ Platypus           撮影:三宅 和子
池を見下ろすようにハシブトゴイがひっそりと木に止まっていた。
 カモノハシは、本来夜行性で全オーストラリアでも数が少なく、生息地も限られる希少動物だが、姿を昼間はっきり見れたことは感激だった。
ハシブトゴイ           撮影:三宅 和子

マランダのカフェに寄りしばしの休息をし、今夜の宿へ急いだ。牧場脇の電線に止まったワライカワセミを観察、大型のカワセミで行く先々で毎日現れた。声も大きくけたたましい鳴き声だ。

道路脇のブッシュにセアカオーストラリアムシクイ♂が出た。真っ黒い体に背中の赤の対比が色鮮やかだ。全長13センチで動きが早く、あっと云う間にブッシュに消えた。早々に今回の旅行のお目あてが見られうれしかった。
セアカオーストラリアムシクイ Red-backed Fairy-wren 撮影:山田 泰照
 今夜の宿のChambers Wildlife Rainforest Lodgeへは日が高いうちに着いた。夫婦と娘さん2人の4人で経営している。荷物を降ろし、それぞれの部屋割りで分散したロッジへ入った。
ロッジ周辺はうっそうとした熱帯雨林で鳥影、鳴き声とも多くテラスの手すりに来るものもいた。
泊まったロッジ         撮影:渡辺 裕幸

 夕食は車で5分ほどのYungabarraのレストランへ。色々な料理を注文し、皆で取り分けて食べた。味はまずまずだった。

 帰路より道しメンフクロウを観察。大型のフクロウで牧場の杭に止まり、車から降りて近づいても、動じず堂々としていた。しかし7〜8mまで近寄ったら闇夜へ飛び去った。

ロッジへ帰り鳥見台に寄る。脇の樹木にグライディング・オッポサムが現れた。2匹が上下に動き回りながら盛んに樹液をなめていた。ムササビと同じように飛ぶことのできる有袋類。カメラのフラッシュにも驚いた様子は見せず、たっぷり楽しませてくれた。
グライディング・オポッサム         撮影:山田 泰照

 こうして盛りだくさんの探鳥第一日目が終わった。

カンムリカッコウハヤブサ 撮影:三宅 和子 ヨコフリオウギビタキ   撮影:三宅 和子
  パプアソデグロバト    撮影:三宅 和子 キアシヒタキ   撮影:三宅 和子
1123日(金) イーチャム湖→マリーバ (Mareeba)
         →マウント・モロイ
(Mt. Molloy)→ジュラタン (Julatten)
夜明け前の薄暗い中で鳥の鳴き声が聞こえ始めた。ネコドリの声だ。630am集合。
ミミグロネコドリ Spotted Catbird     撮影:三宅 和子
 動物写真家の嶋田忠さんの撮影クルーが同じロッジに滞在し、撮影していた。既にビデオカメラをセットし撮影スタンバイしていた。

 やさしい眼をした方だった。みんなで記念写真を撮らせていただいた。
NHK日曜夜7:30pm「ダーウィンがきた!」の撮影をされている由。近くの花に数種類のミツスイが来ると教えてくれた。嶋田さんの映像は、2008年1月放映予定とのことだった。
いつしか嶋田さんと記念撮影
 ロッジの広場ではヤブツカツクリが走り回り、有袋類のワラビーが採餌していた。アランの案内でロッジ周辺の早朝探鳥に出かけた。

 熱帯雨林からの鳴き声は途切れることなく、キバタン、ワープーアオバト、コセイガイインコ、ミツスイ類、ヒタキ類などが見え、出だしのよい朝だった。約一時間の探鳥後、ロッジのAU$13の朝食を食べた。美味しかったが少し高い。

チェックアウトしマリーバ方面への移動開始。イーチャム湖で探鳥後、ティナルー湖 (Lake Tinaroo)へ。湖周辺は草原になっており、草むらを移動しているバンの仲間のセイケイ (Purple Swamphen)を見る。
セイケイ Purple Swamphen    撮影:三宅 和子
 次に観光名所のカーテンフィグツリーへ。この木は宿り木が巨木を絞め殺して、すごい数の根が垂れ下がって、まるでカーテンのように見えるところから名付けられている。木の周りのボードウォークから額がピンク色のベニビタイヒメアオバトを全員で興奮しながら観察した。
ベニヒタイヒメアオバト    撮影:三宅 和子
 牧場内の水路におびただしい数のカササギガン、カザリリュウキュウガモ、タテガミガンの群れがいる。すごい数に圧倒され、道路脇近くでしばらく見とれた。
牧場内のカササギガンなど      撮影:渡辺 裕幸

途中緑の多い環境のユンガブローのアランの自宅に立ち寄った。小さな菜園で野菜を作っている。このような家が周辺の住宅地に点在している。鳥も鳴き声も結構多かった。

 アサートン (Atherton)のスーパーで昼食を買い、市内の小高い丘の上で食べた。ツナ、ビーフ、ハムのサンドイッチ、飲み物。デザートはスイカでとても美味しかった。Subwayのサンドイッチは大きく、切り分けて食べたが残ってしまい、夕食の足しにとクーラボックスに入れ持ち帰った。
 丘の展望台は眼下に広大な牧場、コーヒープランテイションがはるか向こうまで広がるすばらしい眺め。青空がどこまでも広がっていた。
展望台よりの眺め          撮影:渡辺 裕幸
ナルデロス・ラグーン (Nardellos  Lagoon) 近くの牧草地で草をはむ牛達、アマサギ、オオヅル、オーストラリアヅル、オーストラリアクロトキが採餌していた。アマサギは牛達と一緒にいることが多かった。牧草の緑に、頭部が赤で体が灰色のツル、クロトキの黒のコントラストは絵になった。
オーストラリアクロトキ       撮影:三宅 和子
ロックワラビーの出るグラナイト渓谷 (Granite Gorge)へ急いだ。小さなお店があり入場料AU$5を支払った。店で飼っているオウム数羽は人になれていて手に乗ってきた。ワラビー用の餌を買い、岩場に近づくとロックワラビーが続々現れ、恐れる様子はなく餌をねだった。絶滅寸前でこの渓谷には約200匹しか生息していないと聞いた。オウム、ワラビーとも姿、動作が可憐で心が和んだ。
ロックワラビー          撮影:山田 泰照
近くの樹上にはワライカワセミがいる。オーストラリア・ガマグチヨタカが薄目を開け、すっかり木の枝に化けていた。近づいても知らんぷり。ゆっくり観察出来た。
オーストラリアガマグチヨタカ       撮影:三宅 和子

 今夜の宿のKingfisher Park Birdwachers Lodge (2) へ向かう。途中マリーバのスーパーで2日間4回分の自炊用の食材を買い込んだ。ガイドのアランはロッジに着くまでの案内で、明日からは女性ガイドのエレン (Ms. Ellen Terrell) と交代する。アランは口数の少ない誠実はタイプの男だった。アランありがとう!!

キャンプ場も兼ねたこじんまりとしたロッジだが敷地には広い森もある。 夫婦で経営しており、主人は熱心なバーダー、朝晩三脚を付けたカメラで鳥を追いかけていた。
 部屋には台所もあり、だいたいの調理道具・食器類も揃っている。買った食材で女性陣が心をこめて夕食を作った。エレンも夕食から参加。
快適な広さと十分な設備のロッジ    撮影:渡辺 裕幸

夜、テラス前の庭に小型のオッポサム(ネズミサイズの有袋類)が出現した。夜中、雨が降り寒いくらいだった。

キミミミツスイ     撮影:山田 泰照 キリハシミツスイ   撮影:三宅 和子
アカクサインコ    撮影:三宅 和子 アカオクロオウム   撮影:三宅 和子
1124日(土)ジュラタン(Jullatten)
ここのロッジでも夜明けの鳥の鳴き声で目が覚めた。
 6:00am集合。薄暗い中エレンの案内でロッジの広い林で探鳥。待望のノドグロヤイロチョウ (NoisyPitta) が現れ、青緑のメタリックカラーの背中が見えた。公道に出るとワカイカワセミが道端に止まっている。逃げる素振りは見せず、大きな姿を堪能した。
ワライカワセミ            撮影:三宅 和子
ナンヨウクイナも農家の庭先でにわとりのように採餌していた。
ナンヨウクイナ           撮影:三宅 和子
更に歩を進めていると、シラオラケットカワセミが出る場所が近いことを告げられる。全員が静かに待っていると、出たー! 目の前をすーと飛び大きな木の枝に止まったが、すぐ飛び去った。写真を撮る間はなかったが、ここでもM女史一人が撮った。今回の旅行の目玉だった鳥が見られ感激した。
シラオラケットカワセミ       撮影:三宅 和子
このほかチモールメガネコウライウグイス、オナガバトなどを見、ロッジに戻り朝食。例により女性陣が作り、男性陣が片付けた。
チモールメガネコウライウグイス      撮影:山田 泰照


 テラスで食事中、前庭にキンバトが出て楽しませてくれた。ロッジの餌場にはフヨウチョウが群れていた。キンバトの羽根の緑、フヨウチョウの顔の赤が朝日の中できれいだった。

キンバト            撮影:三宅 和子

9:00amガイドのエレンの運転するミニバスへ乗り、マウント・ルイス (Mt. Lewis) へ。600mほど山道を登った所で探鳥開始。早々にヤドリギハナドリ♂が黒と赤の美しい姿を見せてくれたが、二度と現れなかった。ほかにはノドジロキノボリ、キスジミツスイ、キンイロモズヒタキなどが観察できた。

この山周辺は絶滅危惧種のヒクイドリの生息地としても知られ、立て看板が出ていたが、我々の前には現れなかった。

キスジミツスイ        撮影:山田 泰照

帰り、ミニバスのバックのチェンジが入らず全員降り車を押した。最新の車のためエレンがチェンジの入れ方が判らなかったのだ。下り途中、急ブレーキ、道路にヘビが出現。ハプニングはこれで終わり、上り下りともシラオラケットカワセミが車の前を横切った。

 ロッジに戻って女性陣の作った昼食を食べた。美味しくいただいた。

昼食後出発。まずアバトイア湿地 (Abbattoir Swamp) に立ち寄った。りっぱな鳥見ハイドはあったが、湿地は乾燥し鳥は少なかった。ハイイロオウギヒタキが縄張りに入ったモリショウビンにつっかかっていた。あとはアマサギが見えただけだった。

マウントモロイを通りミッチェル湖 (Lake Michell) へ移動。湖の周りは準乾燥地帯で山の木々は小さく細くまばらで地面が見えていた。ブッシュの中には所々蟻塚があり、大きなものは高さが2mくらいあった。
 湖の真ん中に歩道(車も通れるが遮断していた)があり、車を降りて歩いた。近くでアオマメガン、トサカレンカク、少し離れてオーストラリアヘビウ、リュウキュウガモなどが観察できた。遠くにクロトキ、ツル、コクチョウが見えた。途中雨がパラパラ降って来たが気にならなかった。
アオマメガン          撮影:山田 泰照
トサカレンカク          撮影:山田 泰照

湖を渡りきった先は細いトレイルで両側はブッシュ。セアカオーストラリアムシクイ♂がチラチラ姿を見せるが写真は全く撮れなかった。同時に出たアカハラモズヒタキ、モリショウビンははっきり

観察できた。ハッチョウトンボのような小さなトンボが多く飛びかい、クサガメに似た亀も居た。

アカハラモズヒタキ         撮影:山田 泰照

マウントモロイ (Mt. Molloy) ではオオニワシドリとその巣を観察。地上の巣は住宅に隣接した道路脇の木の根元にあり、ガラスやプラスチック片が散乱していた。オスが巣をメスの気を引くために集めたものだそうだ。

 花の咲いた木々にはコセイガイインコ、ミツスイ類が飛び交っている。日本人の若い男性バーダー一人がデジスコをかついで探鳥していた。軽く声をかけた。

オオニワシドリの巣     撮影:渡辺 裕幸

マウントカルバイン(Mt. Carbine)へ足をのばす。メリー・ファーム (Maryfarms) では牧場の一本道でオーストラリア・オオノガンを間近に見た。車から手の届くような近さで、逃げもせず首を伸ばし悠然と歩いていた。
オーストラリアオオノガン       撮影:渡辺 裕幸

マウントカルバインでぜひ見たいと希望のあったクロモズガラス (Pied Butcherbird) を探すが、同じ白黒のカラーのツチスドリを見間違えがっかりした。夕刻が迫る中をロッジへ急ぐ。エレンが急ブレーキをかけバックした。なんと電線にクロモズガラスが止まっていたのだ。執念が実った。

女性陣がわいわいがやがやと作るピザ、野菜スープ、野菜サラダ、フルーツ、コーヒー、紅茶で夕食。美味しくいただいた。あとは男性陣がもくもくと片付け。

 今日は早朝ノドグロヤイロチョウ、シラオラケットカワセミを見て、午後からセアカオーストラリアムシクイを観察できたことが収穫だ。

オナガバト     撮影:山田 泰照 キバラモズヒタキ    撮影:山田 泰照
1125日(日)ジュラタン→デインツリー(Daintree)→ケアンズ
5:00amワライカワセミの大きな声。5:30am荷物を車に積みデインツリーへ。高原を一気に駈け下り、船着き場へ急いだ。山を下ってもサトウキビ畑、牧場がずっと続いていた。こんな所に船着場があるの?といった場所へ停車し、船頭ダン・アルビー (Dan Irby) のボートへ乗り込んだ。
リバークルーズの船内        撮影:山田 泰照

6:30amリバークルーズ開始。まずは幅広の本流を往復し、シロハラコビトウ、オニカッコウ、パプアソデグロバトなどが大きな木々の梢に止まっているのを観察。めったに見られないセイタカコウが熱帯雨林の上空を飛んだ。このあたりの川は気水域で川岸はマングローブの林だ。
シロハラコビトウ         撮影:三宅 和子

支流にボートを乗り入れた。川幅は狭く樹木がボートに接触することもあった。まずシロハラコビトウが現れ、ルリミツユビカワセミがコバルトブルーの背とオレンジ色の腹を見せてくれた。

近くでゆっくり観察できたのはうれしかった。

ルリミツユビカワセミ         撮影:三宅 和子

樹陰の枝にワープーアオバトが高貴な姿を見せた。テリヒラハシ、オニカッコウも。
ワープーアオバト      撮影:三宅 和子
パプアガマグチヨタカが木化けし微動だにしない。両岸では鳥影と鳴き声が絶え間なかったが、樹間は暗く同定は難しかった。またたく間に2時間が過ぎた。行きは余裕で通れた橋の下を、帰りは潮が満ちて船べりに頭をつける様にしてくぐった。


レットミルハウス (Red Mill House) で朝食後、ケアンズへ向けて探鳥しながらの移動。
パプアガマグチヨタカ      撮影:三宅 和子

モスマン (Mossman) の製糖工場近くのアカシアの大樹にオナガテリカラスモドキの大群が巣作りをしていた。まるで鳥のコンドミニアムだ。すごい鳥と巣の数だった。2月頃ニューギニアから渡ってくるそうだ。
オナガテリカラスモドキ       撮影:三宅 和子

エレンの提案で途中のポートダグラスの日曜市をのぞくことにした。多くの屋台の店はフリーマケットのようで、大勢の人であふれ賑わっていた。小さな教会を待ち合わせ場所として、自由行動で買い物を楽しんだ。この教会ではよく日本人が結婚式をすると聞いた。こんな雑踏の周囲でもゴシキセイガイインコなどが飛び回ってた。買い物をそこそこに車に乗り移動した。
ゴシキセイガイインコ       撮影:三宅 和子
 昼食は豪華なたたずまいのターラ・ビーチ・リゾート (Thala Beach Resort) でとった。ここは30m程度の高台に位置し、海に面したすばらしい環境だ。


 食事をしたテーブルの前の樹木の二股に水が出るようになっており、流れる水で鳥たちが水浴びしていた。キバラタイヨウチョウ、コキミミミツスイ、トサカハゲミツスイ、ビロードヒラハシなど次から次に姿を見せてくれた。リゾートの東側からは珊瑚海
(Coral Sea) が広がり、すばらしい眺めだった。食事の味と水浴びする鳥たちに魅了され、この場を去り難かった。
キバラタイヨウチョウ       撮影:三宅 和子
3:00pmケアンズに向け出発。ルート44号線沿いのスリップ・クリフ・ポイント(Slip Cliff Point)は眼下に珊瑚海が広がる絶壁だ。海には薄いピンクの帯が幅広く幾筋も流れていた。サンゴの産卵だそうだ。昨夜がちょうど満月でサンゴの産卵日だったのだ。またこのポイントはハングライダーのフライト・エリアとしても著名とのことだ。水平線まですばらしい見晴らしだった。
Slip Cliff Pointより見下ろしたサンゴの産卵  撮影:渡辺 裕幸

ケアンズ市内に入り2泊するHotel Pacific International Cairnsへチェックインした。ガイドのエレンとは、ここでお別れだ。誠実な初老の女性バードガイドだった。2日間ありがとう。
ガイドのエレンさんとレットミルハウスで記念撮影
 夕食は近所の日本人御用達のカニーズ・レストラン (Kani’s Restaurant) でシーフードを食べた。蟹と海老が主で食べるのが面倒だったが美味かった。夕食後、ケアンズの夜を皆とブラついた。ナイトマーケット及び商店は夜遅くまで営業し、多くの人達でいっぱいだった。

今日もすばらしい楽しい一日。
テリヒラハシ     撮影:三宅 和子 セイタカコウ     撮影:三宅 和子
ビロードヒラハシ  撮影:三宅 和子 ノドジロハチマキミツスイ  撮影:三宅 和子
1126日(月)ケアンズ (Michaelmas Cay、Kuranda)

今日は一日自由行動日で、5人はミコマス・ケイ (Michaelmas Cay) へ、2人がキュランダ (Kuranda) へ、1人が市内で野鳥撮影、1人がカジノへと分かれた。

ミコマス・ケイへのオプショナル・ツアーは、ホテル近くの桟橋から大きな双胴船(カタマラン)のオーシャン・スピリット号で、8:30am出航した。ほぼ満席状態だった。
出航前のOCEAN SPIRIT号の甲板     撮影:渡辺 裕幸

空、海とも青く、風もない穏やかな波をけって、40kmを約2時間でミコマス・ケイに着いた。

まず、小さなサブマリンに乗り換え海底をのぞいた。熱帯の色とりどりの魚、多種のサンゴに眼を奪われた。船内で昼食後ボートに乗り、ミコマス・ケイに上陸した。
ミコマス・ケイ全景         撮影:守分 敏郎

おびただしい海鳥だ。セグロアジサシ、クロアジサシ、オオアジサシ、ベンガルアジサシ、ヒメクロアジサシ、オーストラリアカツオドリ、ギンカモメが乱舞し、営巣しごぜり合う様には目を見張った。

 OCEAN SPIRIT号    撮影:守分 敏郎 アジサシの群れ    撮影:守分 敏郎
セグロアジサシ   撮影:守分 敏郎 こぜり合う海鳥   撮影:守分 敏郎

それが手の届きそうな近さだ。上陸を許可された浜は珊瑚礁北側の長さ約70m、幅約10m程度のロープで仕切られた狭い一部分で、ロープを越えて海鳥の区域に立ち入ることは禁止されていた。

キョウジョシギ、トウネンの姿も見えた。自然保護監視人らしき人も上陸しパトロールしていた。

水泳スーツとシュノーケルを借りて海に入った。浜から7〜8mの浅い海底にサンゴ礁が広がり、これが又、すばらしいの一語につきる。魚、サンゴ、大きなシャコ貝も見えた。泳ぎが得意なS女史は、ドンドン沖に進んだ。もっと泳げたらなーと思った。

 グレートバリアリーフの一端に上陸し海鳥を見て泳いだのだ。信じられなーい!

 2:30pmスタッフの合図で船に戻り、3:00pmミコマス・ケイを発ち、5:00pmケアンズの桟橋に着いた。帰りの船上ではギターを持ったスタッフが演奏と歌で楽しませてくれた。最後は地元オーストラリアの曲「ウォッチング・マチルダ」、みんなの手拍子で盛り上がった。

ミコマス・ケイへのオーシャン・クルーズは
1999年と同じスタイルで日本人スタッフは8年前と同じ、ジャックが我々の世話をしてくれた。

夕食はホテルの一階のレストランで石焼ステーキを食べた。食後、街へ土産を買いに出かけた。この夜も昨夜と同様の賑わいだった。

キュランダへの半日ツアー
SKYRAILから熱帯雨林   撮影:渡辺 裕幸 帰路はキュランダ鉄道  撮影:渡辺 裕幸
1127日(火) ケアンズ→中部国際空港(セントレア)→名古屋→岡山
とうとう最後の日が来た。6:30amケアンズ・エスプラネードへ探鳥に出る。ボードウォークから見る浜は引き潮で、水鳥・シギチははるか遠くで観察できなかった。近くのカフェで軽い朝食を食べ、潮が満ちるのを待った。7:30am潮が満ちて鳥たちがドンドン近づいて来た。
ホテルよりエスプラネード・干潟を望む    撮影:渡辺 裕幸

ギンカモメ、オーストラリアミヤコドリ、ホウロクシギ、チュウシャクシギ、その他のシギチ類、

オーストラリアヘラサギ、オーストラリアクロトキ、コシグロペリカンの大型水鳥、その数の多いこと。ミヤコドリは群れでなく、一羽のみ。真っ黒な姿に、腹が白、クチバシと足がオレンジ色で一層目立ったが、潮が満ちても近づかず、そのうちどこかへ飛び去った。

ボードウォークより干潟の鳥たち     撮影:三宅 和子
オーストラリアヘラサギ     撮影:三宅 和子 ホウロクシギ       撮影:三宅 和子
オオソリハシシギ     撮影:三宅 和子 チヨウショウバト     撮影:山田 泰照
 浜の草地では、チョウショウバトが愛くるしい目をして採餌し、近くにはヨコフリオウギヒタキもいた。
チュウシャクシギ        撮影:山田 泰照 ズグロトサカゲリ    撮影:三宅 和子
ボードウォークの真下の浜に一羽のチュウシャクシギが来た。カニをくわえている。足を先に食べ、次に体を食べた。すぐ上にいる我々を全く気にしない。近くの潮だまりから20cmくらいの大きなトビハゼが上がって来たが、チュウシャクシギは無視して食べる素振りは全く見せなかった。好みでなかったのだろう。
早朝のLagoon(プール) Lagoonと湾の間の遊歩道
撮影と探鳥を堪能しホテルへ帰る。このエスプラネードにはプールがあり朝から泳ぎを楽しむ人、ボードウォークではジョギンク、散歩を楽しむ人もあり、多くの人が憩っていた。
北へ延びる遊歩道 鳥と人の憩いの場
 沖ではパラセーリングの赤いセールが眼を引き、P&Oの豪華客船が入港中、絵になる風景だ。青い空にはケアンズ空港を離発着する航空機が見える。中には悪名高いボンバルディア機も見られた。

 10:30amホテルロビーに集合し、8人乗りタクシーで空港に向かった。

チェックインして出国手続きを終え、免税店で最後のお土産を買い、ジェットスター航空JQ#63へ搭乗した。ほぼ満席で来るときと同じく、大半日本人だった。

 定刻1:05pmケアンズ空港を発つ。上空から見るグレートバリアリーフは、写真と同じように青い海、白いサンゴ礁が次々と見えてすばらしい眺めだった。

約7時間のフライトで7:35pm中部国際空港に到着。入国手続きを終え、空港で流れ解散した。

各自、名鉄・新幹線と乗り継いで岡山へ帰り、探鳥旅行は終わった。

すばらしい生命力あふれた多くの鳥(169)たちに出会えたケアンズ探鳥旅行だった。

終わりに今回の探鳥旅行を計画し、催行して下さった団長に心からお礼申し上げたい。そして、ご一緒した皆様方、いつの日にかまた同行できたらうれしいですね。ロッジでの「おさんどん」は楽しい思い出です。ありがとうございました。

2007年ケアンズ探鳥ツアー・チェックリスト The Slater Field Guide to Australian Birds を参考とした。
2007年ケアンズ探鳥ツアー食事編

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