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3/2//2009  「無い」から始める日本画講座

講座の進め方と必要な準備

■ 日本画がどんなものであるかと定義することはひとまずおいておいて、より大きなくくりで考えるとき、日本画は、絵画と呼ばれるジャンルの一つであることに異論は無いでしょう。より今日的に考えれば、版画や写真なども含めた平面作品の一つということも出来きます。

ただし今日、一口に平面作品と言ってもそれこそ多様な表現が存在しており、いたずらに多様さを追うと、講座自体の方向性がぼけてしまいます。そこでこの講座では、色彩と構図をもつ絵画、それも、大正から昭和初期頃までに見られた伝統的な着彩方法の具象的な表現とし、加えて、一般的に絵画全般に必要とされる対象を正確に描写する能力、いわゆる狭義な意味でのデッサンについては、あえて深く踏み込まず、倉敷市立美術館が所蔵する池田遙邨の素描をお手本、資料として下図作りを行います。この下図作りを通じて、古典的な表現に求められるスケッチ、素描のあり方についてを考えることから始めます。


★参考となる日本画作品、スケッチ、素描などを鑑賞する時間を設ける


講座の目的
<日本画の画材を知り、伝統的な軸装可能な薄塗りの基礎技法取得をめざします。>
(薄い和紙に描く紙本とともに絹本も同時に学びます)

概要
1.池田遙邨のスケッチをもとに、そこから下図を作成します。
(絵画の制作に必須とされるデッサンの学習を、遙邨スケッチを粉本として用いる事で省略し、日本画をこれまで特徴づけてきた形や線について学びます)

2.絹、紙の加工、裏打ちのプロセスなどを経験する事で材料の選択とその意味について学びます。

3.伝統的な画材の使用、着彩方法で仕上げることで、日本画制作の流れ、画材の扱い、それぞれに存在する価値観に触れられる講座とします。

講座では、4号程度の紙本 1枚 6号程度の絹本 1枚
基本的には、上記合計2枚を描き上げる計画とし、経験によっては、学習を反映したより自由な制作を加えて行うことも可能とします。なお、最終的な完成の姿については、軸装、額装どちらでも可能な作品(薄塗り)をめざします。


★画材の選び方、使用方法など作業の流れを説明:筆、墨の選択について、和紙のこと、絹一般についてなど、用意するそれぞれについて具体的に説明する時間を設け、以下それぞれ受講者が用意する。


個人が用意する材料一覧(例)

No.

用意する材料・道具一覧

数量
1. 薄美濃紙 生紙 2枚
2. シナベニヤ板 4mm厚45cm×60cm程度 1枚
3. 絵絹     尺五幅程度 40cm
4. 絹枠     6号用 1個
5. 生麩糊(煮て濾してあるもの) 1個
6. 1丁
7. 1面
8. 筆  即妙 中 2本
9. 筆  面相 中 1本
10. 平筆 6号程度 1本
11. 刷毛 7.5cm幅程度  1本
12. 三千本膠 一包
13. 鹿膠 一包

絵の具
14. 胡粉 150g 程度 1箱
15. 水干黄土 15g程度
16. 水干朱土 15g程度

棒絵具
17. 本洋紅   中 1本
18. 本藍    中 1本
19. 藤黄(ガンボージ) 適量

岩絵の具
20. 天然 白緑青 15g程度
21. 天然 松葉緑青 12番程度 15g程度

制作の必要に応じて加える(例)
22. 天然 白群青 15g程度
23. 本朱 15g程度
 

最終的な完成形の選択
1※描き上がった作品を自分自身で裏打ちパネル張りする場合
紙本、絹本とも
必要なパネル、下張り用の新鳥の子などの和紙、裏打紙などが必要
このあと、市販の額縁に入れて展示
2※表具に出して、軸装として完成させる事も出来る。

★講座一日目、内容と必要なもの
1 講座の進行について、講座で必要とする画材についての説明

  下図作成第一日目 (ラフスケッチ、構図の基礎について)
  必要なもの 鉛筆、消しゴム、クロッキー帳、もしくはスケッチブック
        トレーシングペーパー(B4程度2枚)