森山知己ロゴ
3/8//2009  「無い」から始める日本画講座

制作の流れ

■ 講座の進行、下図作りから、裏打ち、彩色、表具までを今講座でどのように行うかを工程表によって紹介します。なお、それぞれの行程、作業は画像を加えた詳細なページを作成予定です。

講座の進行と流れ

 

絵を描く場合、綿密に計画をたてて進めたり、思いつきのまま描き進めるなど多様な選択が考えられますが、この講座では、この国の絵画を考える上で伝統的と思われる基本的な作業の流れ、行程、素材の取り扱いについて学ぶことを目的としています。

対 象を具象的に描こうとする場合、日本画のみならずとも。作者のスケッチ、デッサンの能力が問われます。加えて、今講座の重要な要素と思われる「線」という テーマも同時に学ぼうとすると、時間がいくらあっても足りません。左図のなかで1.のAとした部分、またBの部分を制限(講座生全員、美術館所蔵の池田遙 邨スケッチ、写生を課題として使う)することにより、2.下図作成の作業を知る事を大切に扱いたいと思っています。なお、この作業を通じて、以下のような 作業を進める場合に必要とされる、スケッチ、写生のあり方についても学べることを目指します。

1.下ごしらえ・準備〜2.下図作成
一般的に絵を描く場合、漠然とした構想、アイデアがまずあり、その構想を具体的に描くために、必要とされる資料、スケッチ、写生、クロッキーなどを行うと いったB>Aというパターンと、旅行をしたり、目の前の花、人物、静物をスケッチ、写生しているうちに絵としてまとめたいと思ってそこから絵の構想を作る A>Bといったパターンが想定されます。
ただ単純に一方向的に進められるケースはまれで、A<>B双方を行ったり来たりする中でどんどん具体的な形、下図とします。

スケッチ、写生、クロッキーの吟味も欠かせません。下図にする場合、形の調整、バランス調整、表現の為のデフォルメなども必要とされます。

池田遙邨の菊、椿、山茶花などのスケッチから絵になりそうな部分を抽出し、加工を加えて2.下図とするところまで学びます。

3.基底材の準備(加工)
絹枠に絹を張り、ドーサを引いて絵が描ける状態を作ります。
薄美濃紙にドーサを引いて滲まない紙を作ります。

4.トレース・骨描き
下図を下から透かして、絹、薄美濃紙とも墨で骨描きします。墨の事、硯のこと、筆、線について学びます。

※薄美濃紙に裏打ちを行い、シナベニヤに仮張りします。裏打ちについて学びます。仮張りの意味も考えてみます。

5.地塗り
薄美濃紙は、裏打ち・仮張りする過程で、水をなんどもくぐることになりました。安定な基底材となるように、またこれからの絵の具がつきやすい面を作るための地塗りを全体に行います。

6.下塗り
花、葉、茎、枝など、描く対象そのものの地塗りを行います。

7.背景
対象となる物体のみをこのまま描く方法もありますが、背景にも具体的な彩色をほどこし、また描く対象物に関係性を持たせる作業を加えます。

8.描き込み
背景色がかかった描く対象物に細部を加えて描き込みます。棒絵の具などを使って調子を付け、リアリティーを持たせます。

9.調整
描いている対象物、背景のバランスをみて、絵画としてのまとまり、柔らかさの表現など、全体を見渡しての彩色を行います。

8>9>8>9>.8.と9.を繰り返しながら完成を目指します。

10.仕上げ
決めの絵の具を使った彩色などを行い完成させます、落款、印章などを加えて絵を描く作業は終了です。
仮張りとして描いた構図を再考し、印の位置なども考慮した最終的な構図とします。

仮張りから剥がし、表具屋に軸装に出す、もしくは、パネル張りを自ら行い、完成させます。

※各行程はそれぞれの貢を作って画像も使い解説予定です。







 

※小下図・下図は小下絵(こしたえ)・下絵と呼ぶ場合もあります。