森山知己ロゴ
3/30//2009  「無い」から始める日本画講座

裏打ち-その2(迎え打ち:参考)

■ 裏打ちは制作途中だけではなく、完成時にも行うことがあると紹介しました。精魂込め描き込んだ本紙を乱暴に扱う事はたとえ自分で描いたとしても(裏打ちの作業で壊してしまわないかと)怖いものです。これは表具のプロも同じでしょう。なるべく本紙にリスクの少ない方法をとることは当然ですね。


迎え打ちでは本紙の裏に水をつけて湿らせます。
>> 迎え打ちでは本紙の裏に水をつけて湿らせます。 (40.36KB)

本紙を裏返しにして霧吹き、もしくは水刷毛で水分を与えて本紙を伸ばします。

 
裏打ち紙に糊をつける。
>> 裏打ち紙に糊をつける。 (32.77KB)

裏打ち用の紙に糊を付けます。

参考:本紙が麻紙などの場合、やはり楮ベースの和紙でももう少し厚い石州紙、細川紙などが使われる事があります。また、大作では裏打ち紙一枚では紙の大きさが足りません。何枚かを<食い裂き>で加工し、ほつれた繊維と繊維で繋ぎながら裏打ちをします。

絹は描き終わったあと、保存の為にも枠から外し、裏打ちを行います。ただし、絹の裏打ちは大変難しいので、表具屋さんに頼んだ方が安全だと思います。ただし、一度ぐらいは経験の為に試してみるのもよいでしょう。

 
糊のついた裏打ち紙を本紙に運ぶ
>> 糊のついた裏打ち紙を本紙に運ぶ (70.77KB)

地獄打ちとは、打つ方打たれる側が入れ替わっています。

 
紙を伸ばします。
>> 紙を伸ばします。 (47.23KB)

オーバハングさせたことにより、仮止めとして一番上を決めたら、徐々に上から中央部分を密着させながら平にしていきます。

 
4辺に糊をつけ、仮張りへ貼付けます。
>> 4辺に糊をつけ、仮張りへ貼付けます。 (21.36KB)

ここからは、基本的に地獄打ちと同じ作業です。
丁寧に一つ一つの作業を行いましょう。

経験をつむことで、ドーサの時と同じく、いろいろな紙素材を使う手助けとなるでしょう。紙の加工についても同様で、揉み紙などの表現にも重要な役割をはたします。

裏打ちによって出会う体験を大切にしてください。

 
学生時代の模写
>> 学生時代の模写 (42.03KB)

参考:個人的には、模写の体験をする中で、薄い紙を使う事、裏打ちにより自分の描いた線が変わって見える事、厚い紙では得られなかった墨の発色、色に気づく事、いろいろな出会いがありました。

表現の為の選択枝を一つでも多く知る助けになれば幸いです。

 
乾燥の様子
>> 乾燥の様子 (44.46KB)

乾燥させます。

 
参考までにいろいろな刷毛
>> 参考までにいろいろな刷毛 (54.17KB)

参考:水刷毛、糊刷毛、撫刷毛など