下塗り(白緑青の溶き方+対象物の地塗り)
■■■■ 白緑青を溶く ■■■■
白緑青は膠との相性もよく、きちんと溶けば、大変安定な定着をす る絵の具です。単独で使う以外に、胡粉に微量な白緑青を加えて動きやすい胡粉を安定な定着にする手法などがあります。また藤黄などと混ぜて、緑の葉を描い たりします。 白、淡口、などいくつか種類がありますが、まずは粒子の細かいものを選んでおくとよいでしょう。 乳鉢で軽くカラズリして使います。(もともと原料が石ですので塊があると、膠を加えてから指で潰すのは大変難しいのです。)
皿に適量とり、膠を加えます。 一度に多くの膠を入れることはせず、少なめに入れ、練るように、また皿にこびりつかせて伸ばすようにして膠となじませます。綺麗に膠が行き渡り、張り付く ように白録が出来れば膠は十分です。(同じ岩絵の具でも粒子の大きなもの、番号が小さなものはより多くの膠を必要とします。)
白緑青が皿に綺麗に伸びきった状態。流れたり、遊んでいる膠はあ りません。 このまま乾燥させたとしても、三千本膠がベースであれば、数日たっても水を加えれば溶き下ろすことが出来ます。 必要な分量、部分だけ、水を加えて溶くといったことも出来ます。このとき、使わない部分は水を浸けてはいけません。一度でも水に濡れてしまうと、ふやけた り、膠が腐る原因になったりします。
水を加えて溶き下ろします。上記で紹介したように必要な量がごく 少量ならば皿の端、部分的に湿らせ溶かす方法もあります。 ここからは基本的に、先に紹介した水を使って胡粉を溶き下ろす作業と同じです。 水を加えた時から、絵の具に着いた膠はどんどん溶け出します。絵の具は生ものと紹介しました、なるべく早く使い切ることが発色に関係するのです。
■■■■ 描く対象物の固有色、ベース(ボディー)を塗ります ■■■■
下塗り の作業は、主役となる対象物のボディーとなる 厚み、色のベースを作る作業です。
白い花であれば、胡粉を全体に地塗りします。濃度は乾いた時に線 描きの線が薄くでも透けて見える程度の濃度です。もし赤い花とする時は、この胡粉をより薄く塗ることになります。朱などを仕上げで使う場合、厚い胡粉は発 色を重く感じさせる原因となるのです。 逆に抵抗感、厚みを感じさせたい対象の場合は少し濃くしてぬります。柘榴の堅い表皮の下地、白い菊のベース、伊万里の皿など、少し強めに塗りましょう。 筆も刷毛と同じく、使われている毛に応じた適量、水分といったものが存在します。毛の先端から絵の具をおろすような感覚で絵の具を置いていきます。
緑色の部分、「緑の葉」などは白緑青を塗ります。茎なども白緑青 でもよいのですが、場合によってはすこし胡粉を混ぜて明るくして塗る場合もあります。絵の具を塗る基本は、明るい色から>暗い色、細かい絵の具から>荒い 絵の具 ということになります。このように使うことで絵の具の発色、透明感が絵に得られます。
参考サンプル 椿の 下塗り が終わった状態です。 葉は白緑青を全体に塗っています。墨書きの線を隠すように均一に全体に塗っています。 花は胡粉です。基本的に白い色をベースとした花で、ピンク色の隈が着く予定ですので、ぎりぎり、下の線描きが透けて見える程度に塗っています。 枝の部分は胡粉に墨、朱土を少し加えた色を塗りました。 折りとった木の皮裏、枝の付け根部分は胡粉を塗っています。 最終的な仕上げの色を考えて、そのものの固有色でなるべく明るい色を塗るのが地塗りの第2段階です。 ※記事中紹介の画像全て、クリックすると少しだけ大きく表示させることが出来ます。 ※2014年5月12日 以下「地塗り2」の表記を「下塗り」としました ※2011年8月8日追記 作業の工程表、またこのページで「地塗り2」と呼んでいる部分について、「下塗り」と呼んだ方が良いのかも解りません。仕上げ、上塗りに対応する下塗りと いう位置づけです。
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岩絵の具の一番細かい粒子のものを白(ビャク)と呼びます。
白緑青はビャクロクショウと読みます。通称ビャクロクです。
基礎の勉強だからこそ、本物の質感、色に触れてもらいたくて天然絵の具を使います。ごく少量しか使いません。色、溶く時の感触など学んで行く上で基準にな るものです。講座では天然絵の具の特徴など説明予定です。