棒絵の具の溶き方
棒絵の具は顔料と呼ばれる色のもとになるものを蜜蝋で固めたもので、同様に顔彩、鉄鉢は同じ顔料をアラビアゴムなどで固形化したものだそうです。水を加えて溶かすことで、すぐに使うことが出来、便利な絵の具です。ただし、このあと岩絵の具などを上に乗せるような本格的な描き方をする場合は定着に膠を加えた方がよいとされています。■■■ 棒絵の具の溶き方(例:本藍棒) ■■■
皿に水を入れます。(適量)
墨をするようにお皿に本藍棒を擦り付けると、少しずつ先に入れた水に藍色が溶けて来ます。ある程度の濃度、必要な量になるまで、まわすようにこすり水に溶きだします。
絵手紙や淡彩のみで仕上げる場合は別として、岩絵の具を重ね塗るような制作の下塗りや、表具するような場合、安定な定着の為にも膠を加えます。顔彩、鉄鉢の絵の具も上記のような使用の場合は膠を加えます。
膠を加えたあと、指でよく混ぜます。指で絵の具が溶け出た部分を擦ったとき、皿と絵の具との間にプツプツとはじくような粒が現れたら使用OKです。多すぎる膠は安定な使い方にはなりません。この状態に必要な濃度になるまで水を加えてよく混ぜ使います。
■■■ 参考:洋紅 藤黄(ガンボージ) ■■■
洋紅を膠となじませている様子
藤黄(ガンボージ)をなじませている様子です。この絵の具は数少ない透明な黄色でいろいろな部分で使える絵の具です。植物の樹脂を固めたものだそうです。
■■■ 参考:3原色の棒絵の具 ■■■
現代的な印刷では透明な染料であるシアン、マゼンダ、イエローの3色に墨版を加えてフルカラーの色を表現しています。家庭でプリンターによる印刷が一般的になった現在では、より詳細な印刷実現にとインク、色数を増やしたプリンターが増えていますが、基本的なのはこの4色なのです。ここに紹介した棒絵の具3色と墨をうまく使うことで、ある種の今日的なリアリティーの実現、表現を助けてくれるのです。
参考:顔彩絵手紙や淡彩、スケッチなどで使いやすい絵の具です。本格的な制作に用いる場合は膠を加えるなど注意が必要です。水をつけた筆で絵の具の上をなでると絵の具が着いて来ます。それを皿などに移してから混ぜたり塗ります。(この手間を惜しむと、絵の具が混ざり合って使いにくくなります。)
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墨の使い方と似た絵の具として”棒絵の具”があり、ここではこの絵の具を本画の制作に使う場合の溶き方、使い方を紹介します。