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4/8//2009  「無い」から始める日本画講座

落款・表具・まとめのはなし

■ 軸装にするのか、パネルに張り込むのか、最終的な仕上がりの様式、形を決めます。また、同時に具体的な画面の大きさが決まりますから、画面に合わせて落款、現在では署名、もしくはサインをいれます。

3号の枠によるトリミング
>> 3号の枠によるトリミング (42.55KB)

定型サイズの額縁に入れたいといった具体的な希望がある場合は、厚紙、画用紙などに最終的な大きさの窓穴を開けて切り出し位置の決定、確認をしましょう。

 
落款の位置決め
>> 落款の位置決め (33.95KB)

印を薄紙に試し押ししたものを用意し、落款の押す位置を探します。

水平、垂直を良く確かめ、その延長線上とモチーフが重ならないように注意しましょう。重なった場合、その直線が強調され、予期しない視線の動きを画面に作り、絵の構成を壊してしまうことがあるのです。

印を入れないで完成される場合も今日ではあるでしょう。必須ではありませんが、画面を活かす効果として位置を決めたり、また様式を楽しむことが出来ると、また違った絵の楽しみとなるように思います。

 
印材、落款の要素
>> 印材、落款の要素 (51.11KB)

落款とは本来、絵の完成を表して署名や印を押すことだそうです。

押されて出る印の文字色によって朱文、白文といった印の種類があります。絵の具を着けて押す場合もあります。

また印肉に含まれる油分によって箔や絵の具をあとから着ける手法もあります。

今日では絵の一部としての意識で邪魔にならないように配慮して押します。
署名は墨で行うのが一般的ですが、絵に合わせて金泥など絵の具で行う場合もあります。

※絹本、または紙本でも荒い絵の具を塗り紙が堅くなった場合は、印を押す場所に前もって湿り気を与え柔らかくしておくと印を綺麗に押すことが出来ます。

 

■■■ パネル・額装で仕上げる ■■■

 
パネルの用意
>> パネルの用意 (36.5KB)

完成作品を貼るベニヤパネルを用意します。
ベニヤから出る化学物質、ヤニ、アクなど和紙へ及ぶ影響を防ぐ意味で、先に「下張り」として「新鳥の子」など安価な和紙を一枚捨て張りしておくとよいでしょう。

本紙をパネルより一回り大きく切り取り、袋張りでパネルに貼付けます。

※絹本の場合は、絹枠より剥がしたあと、裏打ちを一度行ってから同様の作業になります。ただし、絹の裏打ちは大変難しい作業になりますので、表具屋に出した方がよいでしょう。最終的に張るパネルを用意して絹とともに表具屋に持ち込むと裏打ち張り込みとも作業を行ってくれます。対価、値段については様々で見積もり、相談の上行ってください。また、表具での作業で切られる部分もあることを考慮して少し大きめに描いておくことも大切なことです。

最初からうまく出来れば良いのですが、絵の具の濃度、厚み、定着など、描き方が未熟な場合、表具できない、もしくは出来ても割れてしまうこともあるでしょう。何枚も描くことで、また、相談出来る表具屋さんを作ることで、表現の幅を広げることに繋がります。経験のある方に教えていただくことも大切なことなのです。

■■■ 軸装 まとめのはなし ■■■

 
軸装
>> 軸装 (9.65KB)

上記で書きましたように、軸装は、絹本、紙本ともプロの方、もしくは出来る方にお願いします。

画面のトリミング、空間、余白の取り方についても額装より広めにとったほうがよく見えたり、色合いについてもまた発見がでてくると思います。

アクリルやガラスを通さず、生で絵、絵肌を見ることによっての発見もあると思います。軸装だけにとどまらず、絵巻、屏風、場合によっては扇面形など様式の持つ面白さも積極的に楽しむことによって何らかの可能性を感じることも出来ると思われます。

今回は絵肌となる絹、紙ともある程度の絵の具を全体に着けましたが、場合によっては和紙や絹の地をより活かす表現を考えてもっと薄塗りを考えてもよいと思います。

 
板に描く
>> 板に描く (41.39KB)

基底材にドーサなど加工を施すことで安定な絵の具の定着をさせる基礎を今回行いました。木材の上など実際に描いて試してみてもよいでしょう。また、和紙もその土地土地に名産と呼ばれるような紙があると思います。そのままでは描きづらくとも、ドーサをを引いたり裏打ちを行うことで使うことが出来ることも経験したと思います。

 
絹裏の仕事
>> 絹裏の仕事 (36.79KB)

絹本も裏から色を塗ったり、また裏打ち紙を染めて張る事でまた絹ならではの表現、可能性が見えてくると思います。

線を透かして描くことや、絵の具の基本的な使い方を今回行いました。こうした絵の描き方をする場合に必要な写生の仕方、準備の必要性も実際に描くことで理解出来たと思います。

また、今回の講座がより粒子の荒い絵の具の使い方を考えるときや、厚い紙や板、麻布、綿布などの多様な基底材を使うときのヒントになったり、薄塗りをする意味や線を大切に描くこと、絵の大きさにについての意味などを考え、可能性を探すいくらかでも役にたてばと思うばかりです。


毛筆の素晴らしさ、水の様々な場面での働き、この国の価値観と呼べるような出会いの一つとなれば幸いです。

<私自身のこれまでの経験をもとに考え構成した講座です。間違い、勘違いなどあるかもわかりません。お気づきの点がございましたらご指摘、アドバイス等いただけましたら幸いです。よろしくお願いいたします。 これまでいろいろとお教えいただいた方々、目にし、読んできました幾多の入門書等に感謝しております 基礎編終わり>