森山 知己のホームページ

2024 10 New!



日本画ってなぁに ver3.0

住まいする地域が名乗りを上げた岡山県の高度情報化実験に参加する形で私のホームページ制作はスタートしました。地域の集会所に置かれたwebサーバーがはれてインターネットに繋がったのは1998年、実験の終了後もしばらく運用されていた地域のドメインもいつしか無くなり、何度かのサーバー移動を経て現在のサイトになりました。

サイトで運用してきた情報発信用の自前CMS(こんな洒落た名前は当時なく、実験事業のおり開発に用いた「記事発信システム」)がとうとう今回(2024年6月・利用しているサーバーが、更新され、同時に設定変更)使えなくなってしまったのです。ネット回線の高速化や、情報機器の高度化・性能向上によって利用できるメディアタイプが充実し、リッチコンテンツ化されました、そしてアクセスはPCからスマートフォンのネット閲覧が主流となったのです。スタートしてからなんと26年の月日が流れました。地域のネット環境構築で学んだのは情報共有の大切さ、大切なものを守ろうとする意思を伝える重要性でした。

アート一般、ましてや「日本画」に対する社会の認識も、この間に大きく変わったように思います。ネットの利用が社会の必須となり、ネットインフラの充実は、動画にも対応しました。インターネット黎明期にサイトでアップしていた日本画の材料や技術についての情報は、当時であれば発信する人間も少なく意味があったのかもと、いくらかは思いますが、今となってみれば、大学や個人、多くの情報発信が見られるようになりました。今更私がということも無いようです。一方、そこそこ年齢も重ね、経験を積んだ今だからこそ発信できる内容もあるのではと、先日、画材生産の存続に関わる若い方と話をする中でアドバイスをいただきました。ネット黎明期、私のサイトを利用してくださっていたのだとか。

多様性という言葉のもとで、何でもありを認めてしまった今、「日本画」という呼称にこだわることも無いのかもしれません。一方、一時的ではありましたが、2011年に市場から消えた和膠のように、和紙や絹といった素材供給の継続についてや、筆や刷毛といった道具のそれについて、また表具といった周辺の技術提供の継続に明らかに存続の危機を感じるようになりました。「日本画」がこの国の伝統文化を象徴するような存在としてあったならば、こんなことにはならなかったのかもしれないと思います。だからこそ伝統に根ざす絵画としてあらためて「日本画」を位置付けられるよう、使用する膠、和紙や筆、墨、絵の具がどういった存在だったのか、どのような価値観に基づいて長い年月使われて来たのか、だからこそ、それらに何が求められたのかといった側面から捉えなおすことは、日本文化の継続性について考えていく上で意味があるのではないかと思うようになりました。またそれらを微力ながら発信することも。

「日本画」を描こうとすることは、絵を描くことを通じてこの国の文化、よいところを探すこと。また長い歴史の中で培われ、発見・共有されてきた喜びに触れること。その喜びに出会うことができる環境である素材や道具、表具など周辺の存在、重要さを伝えていくことを考えるようになったのです。そもそも西洋文化、美術史の文脈で捉えようとすることに無理があったのかもとも思うのです。近代の「個性」についての考え方や、捉え方、扱いが大きく関わっているように思います。このあたりについては、また章を改めて書き記したいと思っています。

私がこの国の文化の中で続いて欲しい、続くと良いなぁと思う素材や道具にまつわるあれこれ。コンピュータの使用、加えてAIの存在が社会の中で抜きがたいものになっていく中、長い年月、日常的に使われ、愛でてこられたモノたちが持っている可能性、人に与える刺激、導き出す発見と喜びについて幾らかでも伝えられたらと思うのです。

この国の文化において大切にされてきたことは、素材や道具の選択、その使い方の中に保存され、それらを使用することで出会う共感がその中心にあったのではないかといったことなど、紹介できたらと思っています。わからないからこそ「日本画ってなぁに?」と、こだわって考えてきました。タイパとかコスパとは無縁のかかわった長い時間が私に「日本画」を好きにしてくれたのかもと思います。そして「工芸」という言葉も気になっています。

あらゆるものからの自由の獲得、個の自立とはちょっと違う世界。画の本「技之巻」で、日本画は工芸的な要素によって成立する絵画と書きました。「自然」という言葉の定義、理解もかかわります。素材が内包する自然の持つルールの中で何が実現できるのか、先に書いたようにそこで得られる共感がこの国の文化において重要な存在であると思うのです。

レスポンシブルWebへの対応を行おうと思います。今後もサイトを続けるなら、PCだけではなく、時代の趨勢であるスマートフォンの表示に対応すること、読みやすいレイアウト編集も伝えるために必要ならばと思うようになりました。また画像情報の充実については言うまでもありません。動画についても利用可能な場合はリンクなど作りたいと思います。こうした特別な文章は手作業でページ化する予定です。展覧会案内やこの地域の自然紹介は、googleのbloggerを使う予定です。

あと、「日本画」に関わり、学び始めてからの思考の流れ、取り組んだ「絵」を使いながら紹介するページも作成予定です。それこそが<画の本「知之巻」>の中心となるものだからです。
2024.10
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