井原線15駅の駅名標の紹介
 岡山県立総社南高校の美術工芸コース3年生49名の作品で、1メートル四方のアルミ製のプレートには、カラーで駅周辺の史跡や特産を描いています。
 平成10年11月に除幕されました。




総社駅
 総社駅の駅名標は、五重の塔を描いたものです。
 奈良時代に聖武天皇の勅願によって建立された備中国分寺の境内に立つこの五重の塔は、高さ34mで境内に建つ五重塔としては県下随一のものとなっています。南北朝時代の戦乱で一度焼失しましたが、江戸時代中期に再建されました。建造物として国の重要文化財に指定されています。
 総社駅より車で10分で行くことができます。


清音駅
 清音駅の駅名標は、軽部神社を描いたものです。
 この軽部神社は、建武元年、福山城主大江田式部大輔により祈願所として山頂に祭られていましたが、延宝6年(1678年)に戌亥山麓に移転造営され、天照大神などの5神を祭っています。
 昔、境内に樹齢400年程の見事な枝だ垂れ桜があり、「垂乳根櫻」と呼ばれていたことから「乳神さま」として古くから安産や母乳の出を願う女性の信仰を集めています。社殿には、手作りの乳房を型取った絵馬が数多く奉納されています。
 清音駅より歩いて10分くらいで行くことができます。


川辺宿駅
 川辺宿駅の駅名標は、名探偵金田一耕助を描いたものです。
 著者の横溝正史が戦時中この地に疎開して、あの「本陣殺人事件」を執筆し、名探偵金田一耕助が生まれました。
 川辺宿から歩いて30分あまりのところにその横溝正史の著書や遺品、直筆の原稿等を展示した真備町ふるさと歴史館があります。


吉備真備駅
 吉備真備駅の駅名標は、この地の地名にもなっている吉備真備を描いたものです。
 真備町の出身で、奈良時代、遣唐使として中国に渡り、その天才的な頭脳で儒教・歴史・天文学・音楽などあらゆる学問を修め、日本文化の発展に貢献しました。その功績が認められ、一地方官吏の子弟としては異例の右大臣にまで出世し、政治家としても手腕を発揮しました。
 また、囲碁を広めたり、カタカナを発明したことでも知られており、我が国の国語の祖であります。


備中呉妹駅
 備中呉妹駅の駅名標は、駅から歩いて30分、小田川のほとりにある琴弾岩を描いたものです。
 吉備真備が晩年その岩の上で琴を弾いて過ごしたと伝えられています。毎年10月の仲秋の名月の夜に真備公を偲んで琴弾祭が催されています。


三谷駅
 三谷駅の駅名標は、ここから北へ約1kmのところにある豊かな自然に囲まれた「水車の里フルーツトピア」を描いたものです。
 大自然の恵みをいっぱいに受けた季節のフルーツがあたり一帯に甘酸っぱい香を漂わせ、実際にその場でいちごや梨、ぶどうなどを味わうことができます。
 また、同じ敷地内には、昔このあたり一帯に存在した備中水車が再現されており、精米作業を見ることができます。さらに民芸施設では、この地に伝わる備中神楽、本陣太鼓、木工、ワラ細工、農村郷土芸能など、ふるさとの伝承文化を体験学習することもできるなど、一日中楽しめるレジャー施設となっています。


矢掛駅
 矢掛駅の駅名標は、矢掛町が旧山陽道の宿場町であったことから、参勤交代で有名な大名行列を描いたものです。
 矢掛町には、ここから約500m南に、大名の宿として利用された本陣と脇本陣が当時の姿で現存しており、全国的にも珍しい、歴史文化の町となっています。そのため、年一度、町をあげて大名行列を再現し、数多くの観光客を楽しませています。


小田駅
 小田駅の駅名標は、このあたりの北側を流れる清流、星田川の水辺を乱舞する源氏ほたるを描いたものです。
 ここから北へ1km上がったところにある星田川の水辺は自然がそのまま残っており、数少ない自然のほたるの生息地となっています。毎年、初夏になると、一帯に幻想的な光景がひろがり、神秘的なひとときを体験することができます。


早雲の里荏原駅
 早雲の里荏原駅の駅名標は、戦国大名として関東で活躍し、のちに北条五代百年の繁栄の礎を築いたと言われている北条早雲を描いたものです。
 北条早雲の出自については諸説がありますが、最近の有力説として、備中荏原荘が出生の地ではないかと言われるようになりました。謎の部分は多いのですが、一代で築いた早雲の栄華は、歴史ロマンを感じるものです。


井原駅
 井原駅の駅名標は、井原市が生んだ近代彫刻界の巨匠、平櫛田中が制作した代表的作品の鏡獅子を描いたものです。
 明治維新後、我が国における彫刻文化は多様な変化を遂げてきましたが、その中で田中の彫刻は、日本の伝統的な木彫に西洋彫刻のリアリズムを加え、近代彫刻界に不滅の金字塔を打ち立てたといえるでしょう。その作品の多くは、ここから北へ900mのところにある田中美術館で鑑賞することができます。


いずえ駅
 いずえ駅の駅名標は、経ケ丸グリーンパークを描いたものです。
 いずえ駅から車で10分のところに広がる丘陵地に造られたこの施設は、キャンプ場をはじめ、パットゴルフ場、野外活動施設、82mのロング滑り台などたくさんの施設があり、大人から子供まで楽しむことができます。


子守唄の里高屋駅
 子守唄の里高屋駅の駅名標は、子守をしている女性を描いたものです。
 高屋は「中国地方の子守唄」発祥の地として知られており、この貴重な文化的財産である子守唄が次世代へ継承されるよう子守唄の里音楽祭などのイベントが開催されています。
 また、親子のふれあいの場となるよう「わくわくドラゴンハウス」が、子守唄の里高屋駅から車で約10分のところにあります。


御領駅
 御領駅の駅名標は、堂々公園と鬼を描いたものです。
 御領駅から車で7分のところにある堂々公園は、自然を生かした公園であり、各種イベントやハイキングのコースとして利用されており、毎年秋に催される祭典「ウッドフェスティバル」は子供からお年寄りまで楽しむことができます。
 また、堂々公園から東へ3km行くと鬼の足の伝説を伝える八丈岩があります。その名のとおりこの付近には大きな岩や奇石が多く、オリエンテーリングのコースも設定されています。


湯野駅
 湯野駅の駅名標は、古墳を描いたものです。
 神辺町は多くの古墳群が残っているので有名です。湯野駅から北へ車で15分ほど行くと大坊古墳や迫山古墳などがあります。迫山古墳群は11基の古墳が確認されており、その中で最大規模を誇る第一号古墳は昭和58年に発掘調査を行い、当時の有力な豪族の墓ではないかと言われています。


神辺駅
 神辺駅の駅名標は、神辺二上り踊りの様子を描いたものです。
 神辺駅から徒歩10分のところにあり、1335年頃に築城されて以来、約300年間備後地方の拠点として栄えた神辺城跡。この踊りは、中でも最も栄え誇っていた1443年から1622年にかけて城下に広まったと言われています。
 現在でもこの踊りは「神辺二上り保存会」が中心となってお盆や秋祭りに踊れています。