CD用DAC製作記
2003/09/25
CS8412−SM5843−BB1702DAC基板
入力インターフェース配線図 バーブラウンDACおよびIV変換回路
DACおよびIV変換回路図
DAC−バーブラウンPCM1702 IV変換回路 オフセット? とりあえず電池 乾電池を試してみる。 CDトランスポート AD797 VS OPA627 IV変換OPAmpを交換してみました。 コンデンサーを試してみました。 ケースに組み込みました。 OPAmpとDACの電源 入力インターフェースとデジタルフィルターの電源 電源回路図 DACのまわり 入力インタフェース回り DAC完成
I/V変換回路のデスクリート化と電源のレギュレータの追加をしました。これにより,当初の目論見どおりに
なりDACは一応完成です。 金田式#168−I/V変換? I/V変換用電源 DAC用電源 I/V変換用レギュレータ DAC用レギュレータ デジタル回路用レギュレータ DAC供給電源の分離 グリーンカーボランダムを試してみました。
DACとCDトランスポートをシンクロ そんなに簡単には行きません。 DACのリクロック回路 入力インターフェース基板の回路を変更 入力インターフェースに水晶とロジックICを追加 出来上がりはこんな感じ
こんな物を作るはずではなかったのですが,NakamichiのCDプレーヤの調子が悪くなってし
まったので,しかたなく作ることになりました。
NakamichiのCDプレーヤはかなり古いので今さらなのですが,修理に出してだましだまし使っ
ていました。最近は半日以上電源を入れていないと,トレースできなくて音が出なくなってしまいました。
そろそろ買い替えの時期とは思っているものの先立つ物がない!(^_^;)
ということで,いろいろ調べていたら95年ごろのMJ誌にDAC製作記事が載っているのを見つけたので,
それを参考として作ってみることにしました。
MJ以外はあまり読まないので他の雑誌のことは分からないのですが,最近トンとデジタル関係の記事が
ありません。コンセントの特集など組まないで,新技術を使った製作記事など掲載して欲しいと思う。
しかし,7年以上前に書かれた記事なので,パーツを集めるのに苦労しました。入力インターフェースの
CS8412とデジタルフィルターSM5843は共立電子で入手することができましたが,バーブラウン
PCM58PのDACは入手することができませんでした。
やむなく新しいバージョンのバーブラウンPCM1702としました。新しいだけに音は良くなっている
とは思いますが,PCM58Pは18Bit入力に対しPCM1702は20Bit入力とデジタルフィルタとの
接続に不安がありました。
しかし,デジタルフィルタのSM5843は20Bit出力があるので問題ないものと思いこれで計画しました。
何事も初めてのときは不安になるものです。
今は1702でさえもう古いようで,24Bitの1704が出ています。DVD用にデジフィルとDACが一緒に
なって,しかも2チャンネル分パッケージされた1716さえあります。
7年以上も前の記事を元に作るのは,世の中のスピードの速さを考えるとそれでいいのかという天の声が聞こえ
てきそうです。
また,いろいろ調べてみるとDVDオーディオ用に96Khzのデバイスが出回っているようで,手燭が伸びそ
うにはなるのですが,今回は初めてのデジタルオーディオでもあり,またDVDオーディオ用のデバイスはほとんどSOP
ということもあって,難易度が高く基板の加工が難しそうに思われます。
それに,新しいデバイスで作った参考になるような記事も見当たらないので,時代遅れは承知の上で作ること
にしました。
CD入力インターフェース
入力インターフェース基板はご覧のとおり,入力は2系統TOSリンクと同軸とを準備しています。
左下のシーラスロジック8412はよく出回っているようでWebでも製作記事を見かけます。
毎度のことではありますが,はじめは音が出ませんでした。そのためマニュアルを読まなければ
ならない羽目に,シーラスロジックのサイトに行って探しましたが,すでに生産修了のようで上位コンパチ
の8414のマニュアルしかありませんでした。しかたないので8414のPDFをダウンロードし,辞書とに
らめっこすることになりました。8414はDVD対応96Khzなので将来はこのICを使ってみたいものと思っ
ています。
多機能のICはピンの設定を変えることによりいろいろな使い方ができるのでしょうが,トラブルが
あったときは最悪です。いろいろ設定を変えてられるため迷路に入り込んでしまいます。
右下に見えるのはNPC-SM5843の8倍オーバーサンプリングデジタルフィルタです。こちらは日本のメーカー
と在って和文のマニュアルを入手することができました。
このICも8412同様に多機能で,ピンの設定を変えることによりいろいろな使い方ができるようになってい
ます。トラブルの原因はこのICでしたが,トラブッてから音が出るようになるまで4箇月掛かってしまい
ました。
実写と同じ配置で配線図を起こしました。今までのアンプはここまでしなくても,頭の中で組み立てること
ができましたが,ピンがこれだけ多いとそうは行きません。
8412の出力フォーマットはM0,M1,M2,M3ピンの接続により変えることができます。トラブル
があったときこれをいろいろ替えまわりましたが,今はすべての端子を接地しています。
5843はSDATA入力を1番ピン入力か5,10番ピン入力のどちらからでも入れることができるようです。
このあたりの選択をどうしたらよいのか悩むところです。
参考にしたMJの記事と変えているのはDACが1702なので5843の出力を20Bitにするため
19番ピンを接地しています。また,毎度のことですが,MJの記事では実体配線図は8412の
14番ピンを接地していますが,マニュアルと写真を良く見てみると13番ピンを接地するのが正しいようです。
8412のグランド回りは回路図では分かりませんが,ノイズを考慮してアナログ・デジタルで分離して
います。このあたりが安定度と音質に関係しそうな気がしますが?
8412の20番ピンから24番ピンの間は1kΩの抵抗を介して68000PFで接続されていますが,
このコンデンサーは良質の物を使うほうが良いようで,音質にかなり影響があるようです。
積層セラミックからシーメンスの積層フイルムに変更したら,今ひとつだったもやもやしていたベースの
分解能が良くなりました。
電源は+−15VとしIV変換回路のOPAmpにはそのまま供給しBB1702へは3端子レギュレータで
電圧を5Vに落として供給しています。DACとIV変換を一枚の基板へ作りましたが,DACICを替える
とかIV変換を変更する時に融通が利かないので,分ければよかったと思っています。
アナロググラントとデジタルグランドは分離して一箇所で接続しています。デジタルノイズをアナログ
回路に回らないようにする対策です。
10番ピンに接続されているコンデンサー47μFは,高音質の物を使うことが推奨されているようです。
私の場合OSコンをすべて使っているためこれ以上のものは有りませんが,音質調整のために変更してみる
ことも考えています。
今では24Bitタイプの高性能なDACが出ていますので時代遅れの観も。韓国製となっていますが,
中身は日本で作ってパッケージを韓国でしているそうです。
DIPタイプですがSOPタイプもあるようです。自作派にはDIPタイプでないと二の足を踏んでしまいます。
この小さなICが今でも1個¥5,100−ぐらいします。出始めたころはもっと高かったことでしょう。
IC内部の抵抗体をレーザートリミングするようで,そのため高価になるのでしょうか。
ICをパッケージングした後にこの調整がずれるため選別してグレード分けしているそうです。
外付け部品はコンデンサーだけ,すべてOSコンにしました。しかし,これには少し疑問も,パーツは適材適所で
同じものを使いすぎると,パーツのカラーが出すぎて音質が偏ってしまうと言う話もあります。
IV変換用のOPアンプはアナログデバイセスのAD797を使いました。外付け部品はSEコン,OSコン,
スケルトンなど使い分けています。
このOPにより音質が変わるようで,いろいろ差し替えてみようと思っています。ちょっと高価になりますが
バーブラウンOPA627も良い評判を聞きますので今後実験してみようと思っています。
2枚目の写真に足を長くしたOSコンが見えます。(二本見えますがその内の小さい方)これは,ハンダ付けしたとき
に熱が伝わらないようにするためこのようにしました。
このコンデンサーは差動入力のプラス側に入っており,バイポーラ・トランジスタ入力のOPアンプを小さな
オフセット電圧で動作させるように抵抗で接地されていますが,この抵抗の熱雑音を低下させる目的です。
したがって,通常入力端子は0Vであり,コンデンサーの電圧による自己修復作用が期待できないため
(OSコンにそのような性質があるのか知りません(^_^;))ストレスを与えないためのテクニックです。
また,3.9kΩと100Ωにスケルトンを使っています,これは高音質対策です。1/4Wタイプ
の小さい物を使いました。進からスケルトンに替えましたが,奥行き感が増して立体的な音場が再生できる
ようになりました。違う音を狙うのであれば他の抵抗を使うなどして,好みに合わせて使い分ければい
いと思います。
AD797は6mV以上オフセットは出ないという事なのでしょうか?
どうした物かと,AD797を差し替えてみましたが変化無し,それならばとPCM1702をLR差し替える
とオフセットが入れ替わってしまいます。PCM1702に原因があったようです。
これではDACを余分に買って選別しなければならないのかとしばし考えましたが,WEBにアップしている
諸先輩の製作記事などを調べてみると,オフセット専用に回路を組んでいるのを見かけました。
ただその回路はDACの出力側(IVの反転入力)にオフセットに見合う電流を注入するようにしてあり,
今ひとつスマートさに欠けるので,私の場合幸いIV変換用OPAmpの差動入力の+側に抵抗を挿入して
あるので,ここにオフセット電圧を打ち消すように電圧を入れました。
最初は+-15Vへ100kΩのボリュームを直接いれましたが,変化範囲が大きい上に安定化されていない
電池では消耗の具合でオフセットがずれるため,何のために付けたのか意味の無いことになってしまいました。
最終的には上記のようにダイオードの順方向のジャンクション電圧(0.6V)を利用した回路を挿入したため
+−20mV調整できます。この範囲で収まらないときはダイオード(1S1588)を追加すれば範囲を広
げることができます。
しかし,回路の消費電流が+側32mA−側68mAと電池の減り方が+−で違うため,充電するときに一
つずつしなければならず煩雑になり,かないません。
AC電源を製作中ですが最初は耳を疑いました。それを使うと今までのCDプレーヤーに後戻りしたようで,
とても電池にかなうような物ができません。
なお,デジタル回路用の電源はACにしてもたいして影響は出ないようです。アナログ回路だけ元に戻
すと前のように戻りますので,アナログ回路が肝のようです。
その内の半分の10個です。後半分は済ん
でしまいました。捨てるのはもったいないので,残しておいた物です。
水銀0使用と表示しています。水銀を使わなくなってからも作っていたのですね。
なんてことはどうでもいいのですが,2次電池と比べるとやはりというべきか,土俵が違うといった
感じです。
全体のバランスがよく尚且つパワフルです。エモーションが伝わってくると言っていいでし
ょうか。黒人の女性ボーカルなど聞くとエネルギッシュで特筆ものです。
ますます,AC電源でここまで高音質に仕上げるのは,難しいと思えてなりません。
Aopenのパソコン用CD−Romドライブです。このプロジェクトが失敗しても2980なら惜しげは
無いしパソコンに流用できます。(元々パソコン用だって!)
CDを再生するには最低限再生ボタンと早送り等のボタンが必要ですが,このドライブが一番使い易そうでした。
と言うかこれより機能が多いものがありませんでした。
CD−Romドライブでは,最近のコピープロテクトのかかっているCDは再生できません。ので,純正の
CDトランスポートは必要ですね。
本体後部にデジタル出力が出ているのでここからDACのコアキシャルに繋いでいます。
電源はトランスを使った簡易型ですが,5Vはかなり電流が変化するので大容量のレギュレータが必要
です。最初1.5Aを使いましたが音が飛んで駄目でした。3Aぐらいは必要です。一方12Vはあまり
気にしなくても良さそうです。
フロントパネルの左下に見えるボタン2個はボリュームです。このボリュームデジタル
アウトにも利きます。てことはデジタルアウトもアッテネーター用のチップを潜っていると言うことのよ
うですね。この価格なのでとても音に期待は持てませんが,結構いけます。
参考にした文献
MJ 1994/10 デジタルオーディオデバイス最前線 上ケ原裕彦
MJ 1994/11 デジタルフィルターと音質の関係 上ケ原裕彦
MJ 1995/1 マルチビット型DACICの使いこなし 河合 一
MJ 1995/1 マルチビット型DACICの徹底解明前編 河合 一
MJ 1995/2 マルチビット型DACICの徹底解明後編 河合 一
MJ 1995/5 DACICパラレル接続のポイント 河合 一
MJ 1995/6 I/V変換方式とローパス・フィルター 河合 一
MJ 1995/6 シンプルDAコンバーター 上ケ原裕彦
MJ 1995/7 シンプルDAコンバーター改造編 上ケ原裕彦
03/12/05
予告したとおりバーブラウンOPA627を取り寄せました。OP627にはAPとBPが有りますが,
バーブラウンのホームページで調べてみると,オフセットの精度による仕分けのようです。
また,入力の差動TrがJ−FETで構成されているため,高入力インピーダンスとなっています。
オーディオ用に持って来いです。
キャンタイプもバーブラウンのHPに載っていますので,使ってみたいものですが入手はどんなものでしょ
うか?と思ったら○松に有るみたいですね。
さたさてAD797の約倍の価格ですので期待も多きいわけですが,差し替えて聴いた第一印象は,ム?
それほど変わらないのでガックシでした。一瞬にして分かるほど変化がないように感じたので似
ているのでしょうか?。
しかし,時間がたつにつれてその良さが分かってきました。
AD797に比べ奥行き間が増したように思います。AD797が普通のテレビとするならば,O
PA627はプロジェクターと言った感じで,一段とワイドになってそれぞれの色彩の質感をよく表現し
堀が深くなったといった感じでしょうか。
複雑な音を表現するのが得意のようで,シンホニーの弦の重圧感とかコーラスの声の重なり具合などはよ
く表現します。
MJ誌では,AD797は筋肉質で低域のDレンジが広く,OPA627は繊細で見通しの良さに
特徴があると評価しております。
私の耳ではOPA627も低域が見通しがよく楽器の質感をよく表現します。のでその差を感じません。
むしろ音の分離が良いのでベースなど低音楽器の音色まで聞き分けられるように思います。
高域はシンバルの鳴りかたなど繊細で質感をよく表現します。その分ソースによってはきつく感じること
も有ります。
総合的に価格のとおりOPA627が一枚上のように感じます。
金田流に言うならば,OPA627の方がCDに入っている情報をより多く引き出しています。それに比べ
るとAD797は情報の欠落があると思います。なんてえらそうなことを言っていますが駄耳のせいかも。
(^_^;)
KME 200V 2000μF 105℃
KMHの倹価版でしょうか色はKMHと同じです。この色は使用できる温度を表しているよう
です。110℃まで使えるCEがありますが,オレンジ色をしています。
SME 250V 2200μF 85℃
巷ではほとんどこのタイプです。地方のパーツショップではこのタイプしか入手できません。
最終的にはKMH50V4700μFに落ち着きました。
耐圧は20〜30V位あれば十分ですが,35V4700μFはニッケミのHPで調べても有り
ません。ので50Vとなりました。最近の金田氏のプリアンプの電源は35Vになっています。ミスプ
リントのようです。
なんでこれなのと言われれば,このコンデンサーが解像度が一番良かったからで,ほかのは低域が
不明瞭だったりで最終的にこれになりました。
オーディオ用と名を打っているものは試しておりません。が,また機会があればやってみたいものです。
音が出るようになってから,電源回路の調整をしていたため裸のまま2−3ヶ月聴いておりましたが,やっと
ケースに収めました。
真空管プリアンプに使ったタカチのケースと同タイプです。奥行きの少し長いのを選びました。
中央部分がまだ開いておりますが,デスクリートのレギュレーターなんぞ組み込むためにスペ−ス
を開けています。
使用したトランスは以前,地元の電気店に転がっていたジャンクのRコアトランスです。何かに使える
だろうと思い購入していた物です。整流して9V位になる端子があったので使用しました。しかし,9Vは
1回路しかないため2個使うことになり大げさになってしまいました。このトランス引出しのリード線がスズ
メッキ銅線だったのでダイエイ電線に取り替えました。この改造は案外簡単でした。
整流ダイオードはお決まりの30DF2,コンデンサーはKMH4700μF50Vとしました。
ためしに,EIコアと思われるトランスを試しましたが,Rコアの方が力強さの点で勝っていたので,
ご覧のとおりとなりました。好みの問題ですからEIコアが悪いとは限らないので試してみる価値はあると
思います。
今回ジャンクのトランスを使いましたが,OPAmpは一般的に耐圧が+−18Vまでのものが多いので,
トランスの電圧はそれ以下になる物であれば使用できると思います。なお今回はレギュレータは付けていませ
んが,追々に追加するつもりです。
アナログ回路と同じトランスです。ダイオードは31DF2の弟分と思われる11EFS4です。10DF2
を関西の店に注文したら品切れだったのか替わりにやってきました。
コンデンサーはKME2000μF63Vです。アナログ回路ほど音が変わらないようなので手持ちの物
で済ましました。
平凡な回路ですね(~_~;)
主要な部分である入力インターフェースとDAC基板はケースの1/3弱しか占領していません。
残りの部分はほとんど電源になります。ちょっとアンバランスですが,アマチュアのアマチュアたる
ところですね(~_~;)
キャノンプラグが見えますが,電池と繋ぎ替えて比較できるように残しています。AC電源でも遜色
ない物になれば取り外すつもりです。
デジタル部分なのでアルミ板を使ってほかの部分とシールドしています。が今は効果ないみたいです。
唯一アナログ回路のIV変換はDACといっしょの基板にしていて,ほかにアナログ回路が無いので当
り前ですね。(^_^;)
むしろ狭いところに詰め込むことの方が,悪影響があるように感じています。
訳けあってトスリンクのユニットを裏側のパネルに取り付けました。このユニットは基板取り付け
タイプでどうやってパネルに取り付けようかと思案ていました。見てのとおりアルミのアングルへ蛇の目
基板を取り付けそれをパネルへ取り付けました。
メーカーのセットではパネルに直接付けるタイプが多いようですが,今回は入手することができません
でした。
巷の噂によりますと同軸の方がクオリティが高いとも聞きます。価格の安いCDプレーヤーには
同軸出力が付いていないのがほとんどです。そもそも安いのだからそれを改造しても惜しげは無いのですが,
金欠の私にとっては必要です。
04/04/06
このシャーシかなり大きめなのですがご覧のようにほとんど埋まってしまいました。右側1/3弱が本体のDAC
部分です。その手前にデジタル入力部の+5V電源を配しました。
真中の一番奥にI/V変換基板を,手前に+−17Vレギュレータと+−5Vレギュレータを配しました。
この部分は裏側から配線しやすいように長めのポスト立てて基板を吊り下げるようにしました。ここ方が格段に
配線はやり易いですが,見た目は見苦しいですネ。
左側にI/V変換とDAC用に使うトランスとケミコンを配しました。
まずはデスクリートで作る前にOPアンプでI/V変換を考えてみます。
バーブラウン PCM1702の出力は電流出力でありMAX+−1.2mAで内部抵抗は1kΩとなっています。
このままでは,電圧で受けるオーディオアンプには入力できません。ので図のようにトランスインピーダンスアンプ
で電流を電圧に変換します。最初は反転アンプだと思っていましたが,入力抵抗がないため回路が微妙に違っている
のでこのように言うようです。m(__)m
OPアンプの+−両入力端子はイマジナリショ−トの原理により常に0Vです。従ってDACの出力端子も常に
0Vになります。図の中の式により信号通過帯域内ではOPアンプの出力はVo=3.9kΩ*1.2mA=4.7V
(P−P),実行値=4.7/√2=3.32Vとなります。
トランスインピーダンスアンプなど使わずにシンプルに抵抗1本だけで変換する方法(なかなか良いらしいと,噂を
聞きます)もありますが,DACの出力は+−0.6V以上にならないように保護されています。また,ダイオードの
否直線領域を考慮すると,実際はO.4V位までが限界のようです。よって,抵抗値の設定に気を配る必要があります。
したがって,+−0.6V以上の出力を必要とする場合はアンプを追加する必要があります。
私の場合プリの手前で入力電圧を分圧して減衰いますので,この値を変更すれば抵抗変換方式でも充分に満足できる
出力電圧になります。また,DACの後ろに何が繋がるか分からない場合はバファーを入れなければならず,使い方が
はっきりしていないメーカー製CDはアンプが一台必要と言うことになります。
DACの出力には高周波が混ざっています。オーディオアンプでは不要な物ですからカットしなければなりません。
むしろ後に繋ぐ機器のことを考えると積極的にカットする必要があります。
3.9kΩと1000pFがそれをカットするローパスフィルターを形成しています。カットオフ周波数fa=1/
(2×3.14×1000pF×3.9kΩ)=40.8kHz(6db/oct)となります。
CDはサンプリングが44.1kHzですから44.1kHzの高周波ノイズを除去しきれないようにも思えますが,
DACの入力はデジタルフィルターで8倍オーバーサンプリングして送られてくるので,デジタルフィルターの遮断性
能にもよりますがこれで十分と思います。もっと高くても良いかもしれません。無責任(~_~)
なお,1段では遮断性能が不十分と思う場合には,CRでローパスフィルターを追加して特性を改善することもで
きます。
徹底して高周波を除きたいときには,高次のフィルターをOPアンプを使って作ることもできます。
メーカー製は責任問題もあるでしょうから,このような対策をとっている物が多いと思います。
私の場合人に使ってもらうわけでもないし,不具合もないのでこのままにしています。そんな物があるかは分かり
ませんが,高周波に敏感なパワーアンプを繋ぐとかで,気になる場合は対策する必要があるでしょう。
金田式はまさにそれかもしれませんが,(・・;)
さて,このトランスインピーダンスアンプを金田式#168プリアンプを応用してデスクリートで作ったと言った
話は聞きません。
バーブラウンのOPアンプも気に入っていて自分では悪くないと思っていましたし,何をそこまでしてこだわらな
くてもとは思うのですが−−−−−−(~_~)
ただ不安もないわけでは有りません,何よりも発振が心配です。オリジナルとは回路が違うので位相補償の量は大丈
夫であろうかとなかなか実行に移せないでいました。
何事もやって見なければ分からないし良くなれば儲けものと思い実行に移しましたが,あっけなく何のトラブルもな
く差し替えできました。
回路は#168とほとんど同じですがトランスインピーダンスアンプにするためNFB回路が違います。Pre
で使う時ボリュームが入っているところに3.9kΩを入れています。+側入力端子の100Ωは,私のDAC−IC
は出力にオフセットが出ているため,半固定抵抗(200Ω)でオフセットを調整し,それでもだめだったときはここ
に打ち消しするための固定電圧を入れようと思い付けていたものですが必要ありませんでした。
帰還抵抗3.9kΩで出力電圧4.7Vですが,電源電圧が高いのでもう少し高い値を使って電圧を上げても
良いかもしれません。ただし遮断周波数を変えたくない場合はコンデンサーも合わせて変更する必要があります。
フイードバック回路の1000pFはジャンク箱に有ったデップマイカを使っていますが,減衰特性が緩やかな
フィルターなので,もう少し容量を少なくして帯域を広げた方が良いかもしれません。容量が少なくなれば高価な
SEを使う気ににもなります。
デスクリート回路用には金田式に習ってRコアトランスにKMH4700μFを使いました。トランスは
金田式純正ではなくジャンクです従って電圧が+−21Vになっています。純正ではTrの耐圧がぎりぎりだ
とも聴きます。ので良しとしましょう。ただ,レギュレータを追加したので関係有りませんが(^_^;)
このトランスはカットコアです。電圧が丁度良かったのでビデオ機器から剥がしてきました。このトランスを
使う前はRコアでしたが音は多少変わったようです。
どう変わったのと言われれば以前使っていたRコアは+−を別々のトランスから供給していたせいか,このトランス
に替えて,音がまとまったような気がします。その代わり力感が多少減ったようです。
丁度良い電圧のRコアトランスが見つかったら変えてみたいものです。
ケミコンはKMH50V6800μFです。容量が大きいのになんと同じ耐圧のネジ端子4700μFより
小型です。???
金田式のGOA・Preアンプに多用されていた+−17.5Vレギュレータです。#168は元々
+−28V動作ですからできるだけ高くしたいのですが,トランスの電圧との関係で丁度この
電圧に収まりました。ほとんどオリジナルと同じですが帰還用のコンデンサーはデップマイカを使っていま
す(~_~;)
インプレッションにも書いてますが,レギュレータがない場合は中低域の力感が薄く感じていました。
このレギュレータを付けることでエネルギッシュな音に変身しました。回路を追加すると往々に悪い方向に
なることが多いですが,レギュレータを付けることによって中低域が改善されたのは予想外の収穫でした。
金田式テクニクスSP−10モータドライブ用の+−5VレギュレータをそのままDAC用に作りました。
このレギュレータは基準電圧を作るゼナーダイオードの電圧を,否安定化電源から取っています。なぜなら出力側
の安定化された5Vは電圧が低すぎるため,ここから取ることができないためです。
安定化された17.5Vから取ることも可能ですので,追い追いには考えてみたいと思っています。
以前から気になっていたのですが,PCM1702の資料に−側電源が電流出力のグランドになっているよ
うに書いてあります。DACの消費電流を測ってみると−側が+側の約倍ぐらいあります。−側電流のかなりの
部分がこの回路で消費されているようです。
従って−電源の質が音質に与える影響が大きいのではないかと推測できます。
なお,リファレンス回路は+−両電源から作っているようなので,+側が重要でないとは言いきれません。
DACを作るために,読み漁った資料の中にデジタル回路の電源にはあまり気を配らないものだが,予想外に
音質に与える影響が大きい,ような記載を見たことがあります。
ということでここにも金田式のレギュレータを配してみました。なお,制御Trは金田石では有りませんが
手元にあったSanken2SA765を試してみました。(~_~;)
全段金田式レギュレータになってしまいました。(^_^;)
2004/04/23
PCM1702チップの電源はデジタル回路とアナログ回路に供給する電源の端子が分離されています。
この電源供給についてMJ95年2月号で日本バー・ブラウン河合一氏が高音質対策として分離供給するテクニックを
紹介しています。図はその一例ですがデジタル電源とアナログ電源の分離方法を示しています。
デジタル回路の供給電圧はできる限り低い方がノイズが少なくなるようです。R1=560Ω・R2=56Ωと
すればVdd=4Vとなり30%ノイズを少なくできます。ただしVddの保証値は4.75Vであるので自己責任という
ことにはなりますが,実力的には問題ないとのことです。
デカップリングコンデンサーは高周波特性の良い物を使うのはもちろん常識ですが,電解コンに抱かせてフイルム
またはマイラーコンの採用も考慮の余地が有ります。私はOSコンだけで済ましています。
次に,アナログ回路へのノイズ混入を防ぐ方法として回路図の「CH」コモンチョークコイルの採用も効果がある
ようです。
究極はトランスおよびレギュレーターの分離でしょうが,私の場合すでにそれを付けるだけのスペースがありません。
したがって,現状で大改造せずに改良をするにはレギュレータからDACまでの配線を分離することです。
大げさなことを書いてますがやったことはたいしたことではなく,ダイエイ電線を追加配線しただけです。
写真のように配線をLRそれぞれ2本ずつ追加しました
写真の銅箔の裏側にDAC−ICが付いており,銅箔の上側がデジタル部で下側がアナログ部です。新規に赤と黒の
ダイエイ電線をそれぞれレギュレータから配線しました。左側の白い線がグランド配線で,グランドについては
デジタル・アナログ共通のままです。
2004/06/24
2004/07/19
DACとCDトランスポート(CDT)をシンクロさせるのを知ったのは,CDM-12を購入したプラクトサウンドシス
テム
店主のホームページを見たからです。最初にDACを作ることを思い立ったときには考えもしませんでした。
ここでDACとCDTのシンクロってなんだろうって方に,ちょっと説明してみましょう。もう知ってるヨって方は
読み飛ばしてください。
デジタルデータはCDTからDACに届くまでにデコーダIC−DAIトランスミッタIC−入力インタフェースIC
−デジタルフィルタ−DACと実にいろいろなICを潜ってきます。この間データにジッターが混入されてしまいます。
ジッターとはデータの時間軸の揺れのことです。これだけのICを潜ってくれば,最終的にDACに入力されるデータ
にはかなりの量が含まれることが予測できます。
そこでジッターを取り除くために,DACとCDTのシステムに使うクロックを,単一のクリスタルの発生する信号
を使って同期を取り,抑制してしまおうという訳です。
更に言えば,最終的にアナログデータに変換される直前のDACの入力部分で,力ずくでデータの足並みをそろえてし
まえば,一番効果があるわけです。
現状
当初高精度のクリスタルに取り替えたのはCDM−12側ですが,シンクロするためには同じクリスタルの信号をCDP
とDACで使う必要が有ります。
まず,構成を考えなければなりませんが,CDP側は現状のままとしクロック信号をDAC側に送るか,またはクリス
タルをDAC側に移して反対にCDTに送ってしまう,2通りの方法が考えられます。
元信号をDAC側に送る
大げさな改造を施さずDAC側にICを1個追加すればそれですみます。しかし,信号を伝送する距離が長くなるの
が気になります。それと発振器でそのままケーブルをドライブできなければICを追加しなければなりません。
また,CDM−12専用にするのなら良いのですが,CDM−12を外してしまえば74F74の信号がなくなってし
まうため,メーカー製などの他の機器を接続できなくなってしまいます。
クリスタルをDAC側に移す
DAC側に付け替えるとDACの近くに信号元を置けるので信号経路のことを気にしなくて良くなります。
ケーブルのドライブはDAC側に74F04のユニットが余っているのでこれを使うことができます。
また,DACデータのリクロックという目的から,最短経路にすることにより完全を期すことができます。
今回は改造が大掛かりになりますが,DAC側にクリスタルを移すことにしました。
まず,シンクロする前にクリスタルをDAC側に移してうまく行くか実験してみます。今までの経験から2つのこと
を同時にやってしまうと,調子が悪い場合どちらに原因が有るか分からなくなって,ほとほと手を焼いてしまうこと
になるからです。
案の定でした。予備実験でDAC側にクリスタルを移し仮接続して,動作確認したときは問題なく動作しましたが,
いざ実際にラックに入れて使ってみようとしたらCDM−12の機嫌が良くありません。回転はしますが安定しません,
あげくの果ては反対方向に廻ったりします。
これは困ってしまいました。(T_T)
また元に戻そうかと,いろいろいじっていたら,ケーブルの芯線に触ると調子が良くなることがありました。
そこで,はたと気が付いたのがインピーダンスマッチングのこと,最初は何も気にしていませんでしたが,30MHzの
信号が流れているので,当然高周波のテクニックを使うのが常識の周波数なわけです。
やってみたのが上の図74F04の出力側に75Ωを74ACT107の入力側に200Ωを接続しました。
どこに書いてあったか忘れましたが,インピーダンスマッチングらしきことをやってみました。受け側の200Ω
は75Ωが理論的には正しいかもしれませんが,これでも今のところ安定に動作しています。
本当はオシロで確認してみなければ分かりませので,波形がどんなことになっていることやら(~_~)。
ところで74F04のユニットは,並列接続でドライブできるゲートの数は4〜5ぐらいだったとどこかで
読んだ気がします。ユニットからみたインピーダンスは75Ω+200Ωと74ACT107の並列接続とな
りますが,これがユニットのドライブ容量内に収まっているか?気になるところです。
DAC側 CDT側
シンクロするための環境が整ったので次に進みます。本来の目的を達成するために超えなければならないハードル
があるのは常です。
DAC直前でシンクロさせるため,リクロックをビットクロックとラッチイネーブル(L/R信号の切り替え)に
掛けることにしました。
DACにはそれ以外にL/Rの信号も送られていますが,それにはリクロックを掛けていません。マニュアルを読ん
でその必要がないと判断しました。
2つの信号にリクロックを掛けるのでフリップ・フロップ(F・F)が2個必要です。74F74には2個分のF・Fが
入っているのでこれを使います。
左上の74F04のところからクロック信号が入ってきます,このICはDAC用に元から有った物で気休め程度に
入れたものです。もし使わなければ水晶発振子の出力に3回路並列にゲートが入るようになるので,水晶発振子の
負担を軽くするため74F04の余っているユニットを使って2回路になるようにしてみました。
なお,この改造にあたってプラクトサウンドシステムさんにご指導をしていただきました。m(__)m
例によってまずは回路図を描いて部品配置や配線を検討してみます。上の図はパーツを実装する表側から描いた実体
配線図です。これをひっくり返した裏側から見た図も作ります。配線するときはそれを見たほうが確実に配線でき間違
いがありません。もし参考にしたい方がありましたらメールを下さればお送りします。
回路に追加したデバイスは右上と中央左の74F74と33MHzのクリスタル二つです。改造は実装点数が少なかった
ことも有って比較的楽でした。
赤枠で囲った部分が追加した水晶とロジックICです。基板の上をのたうっている白い線がCDM−12に行っている
33MHzの信号線です。
プラクトさんから購入した高精度クリスタルに交換して,もうこれ以上手を施しても高音質など望めないだろ
うと思っていました。
改造が終わって音質的な変化をそれほど感じなかったためか,改造前との差がないような気がしていましたが,
各楽器の定位が今まで以上にキッチリ定まるようになりました。
左右のスピーカーにへばりつくのではなくその間にはっきりと定位し,ソロボーカルとコーラスの位置関係
なども違和感がなく,前後の位置関係も再生できるようになりました。また,アコースティック楽器が特になま
めかしく聴こえてきます。
Nagasさんが「スピーカーが意識から消えてしまう」と表現されていましたが,このことであったのかと
実感いたしました。
これはDACのクロック精度が向上したため,左右のSPから出る音の大きさだけではなく,位相特性まで
キッチリ再生できるようになったためではないかと推測します。
予定修了のはず