じんそんDAC製作記
<TDA1541A−Epi>

2006/12/06

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 今まで使っていたDACはバーブラウンのDAC−PCM1702でこれといった不満もないのですが、いにしえの名機といわれMarantzCD94 などにも使われているフィリップスのTDA1541Aの音も聞いてみたくなり、回路設計など妄想していたときにWeb上でDACの製作を公開 していたじんそん氏の基板配布を知り早々に申し込んだのがこの基板です。(すでにじんそん氏は配布を終了しており今では入手することはで きません。)
 一応組みあがって音だしに成功したのでじんそん氏に敬意を表してここに製作過程を報告してみることにしました。ただ、基板の入手は不可能 ですから公開する意味もないかも?(~_~;)

jinson004.jpg  これが届いた基板で非常に丁重に作られています。(当たり前でしょうか)はんだ付けしてしまうにはあまりに綺麗でもったいないので飾っておこうかと 思うくらいです。回路設計もこれまでのじんそん氏の集大成といった具合でいろいろと工夫が凝らされています。なかでもPROST氏考案の LED電源は斬新さに目を見張られます。
 ただ一点気になることもあります。TDA1541の直前でリクロックをかける設計になっていないことです。今までの真空管バッファー・ OPAMP基板ともにリクロックをかける設計になっていましたが今回は省略されています。何か理由があるのでしょうか?

面実装部品のはんだ付け
jinson005.jpg  まず最初に取り付けるのは面実装タイプの部品からです。基板の表側はロジックICとチップコンデンサーを取り付けます。ICは基板側とはんだ がしっかり付いているか後で入念にチェックします。チップコンは小さくはんだ揚げしにくいので根気良く行います。チップの裏側にはんだが染み込ん でいないか、後でテスターでチェックしておきます。このようにチェックを入念に行っておくのが成功への早道です。基板の裏側はDACチップの近くへ ダンプ抵抗をはんだ付けします。チップコンより少し型が多きので簡単です。

回路電圧調整
jinson006.jpg  LEDは30個ほど必要ですサトー電気で安売りの緑色LED100個を調達しました。電圧はVf=2.0V前後の値でした。赤色は地元のパーツ屋さん から調達したものでVf=1.7V前後でした。LED電源は調整が必要です。+−15Vはそれほど気にする必要はないようですが、5V電源は調整 が必要でした。5Vに赤色を使うと仕上がりが4.6V位になります。この電圧では一部のICが動作しませんでした。従って緑のダイオードを1個差 し替えて4.9Vとしました。0.2X上げただけです。動作が不安定ならば上限まで上げておけば良さそうですが、あまり上げると発熱の多い デジタルフィルターのSAA7220が気になります。

デカップリングコンの選択
jinson007.jpg  デカップリングは双信のQSコン91000pFを今回使ってみました。手元に在庫がいくらかあ有ったのと、不足分は若松に購入時点で大量に在庫が 有ったので調達しました。今は91000pFの在庫はないようです。聞き 比べたのはASC・WIMA・双信QSなどです。選択に当たってはすでにじんそん氏から譲ってていただいていたTDA1541_OPAMP基板で 予備実験をしました。
 実験結果からWIMAのMKP10が総合的に私の嗜好に合っているようなのでそれに決める予定でしたが、28個必要でありその数を調達することが できませんでした。いずれにしてもほとんど区別が付かない状態で見た目とそのときの気分で決めたといってよい状態です。最近0.1μ近辺の評判の 良いポリプロピレンなどのコンデンサーが枯渇しているようですが、ひょっとしてこのDACの製作をする人が多いためかもしれません。

デジタル入力近辺
jinson008.jpg  デジタル入力カップリングはWIMAのMKC4 0.01μFを使いました。ほかの銘柄でもかまわないとは思いますが手元にちょうど良い大きさのものが なかったため新たに調達しました。CS8414の入力側でリクロックかけるためRS422I/Fを挿入する設計になっています。手元にはじんそん氏から配布 を受けたSN75179も有りますがここはLTC490を使ってみました。ST490も評判のようですが調達できませんでした。
 オシレータの出力は外部に取り出せるようにBNCコネクターを設けています。トランスポート側とシンクロしようという魂胆です。したがってオシレータの 発振周波数は、ほかの機器に合わせて33MHzとしています。シンクロを考えないのであれば80MHzにするところです。シンクロについて 詳細を知りたい方は1号機のDACの記事を参照してください。

OSコン
jinson009.jpg  デジタル回路用の平滑コンデンサーはすべてOSコンデンサーとしました。最近デジタル関係の高周波を扱う回路にOSを多用していますが、音が皆似て きたような気がします。もう少し考えたほうが良いかも知れません。さて、OSコンは音が安定するまで3日ぐらいはかかります。最初は高域が 少しうるさく感じますが時間を追うごとに音が馴染んできてうるささが消えてきます。選択を間違えたかと早々に取り替えるのはしばらく待ってから でも良さそうです。
 整流用のダイオードはSBD(ショットキー・バリア・ダイオード)を使ってみました。SBDは構造上高耐圧のものが作り難く、出回っているものは 30Vぐらいの低耐圧のものがほとんどです。したがって、使用する箇所に気を付けなければなりません。デジタルの+−5Vと+5はOKですが、 +−15Vは耐圧を考慮して選択することが必要です。今回+−15Vは耐圧100VのFRDを使いました。

デジタル+5Xの制御Tr2SC1013
jinson010.jpg  デジタル+5Xは3端子レギュレーターではなくデスクリートの回路なので、その回路用に消費する電流も多くIcの比較的大きなトランジスターが 必要です。じんそん氏の指定は2SC1826ですが入手できませんでした。その代わりと言ってはなんですが。2SC1013を手に入れることができました。 この石はじんそん氏のお仲間のBlogを渡り歩いていたときに知ったもので前記のものより高音質との評判です。ただし足の配置が違っているためコレ クターの位置を交差しなくてはなりませんし、そのままでは太くて穴に入らないのでヤスリで削る必要があります。おまけに放熱器にはそのまま付か ないのでごらんの有様です。こんな感じでも触ってほんのり熱い程度なので問題はなさそうです。

CS8414・SAA7220
jinson011.jpg  入力インターフェースとオーバーサンプリングフィルター周りです。じんそん氏は永らくオーバーサンプリングフィルター付きのDACを設計していません でしたが、このひとつ前の基板からフィルターを使ったDACの設計をしています。この基板の中で一番熱を持つのはこのICで放熱器を付けたいぐらいの 熱さになります。
 CS8414は基板じか付けにせずソケット式にしました。使い回しができることと、CS8412との比較ができるようにするためもあります。

TDA1541A
jinson002.jpg  1個でステレオDACが作れるように2CH内蔵のTDA1541ですがこれを2個使った贅沢な設計です。L・R別のICを使っているのでチャネル 間のクロストークに有利です。また、DACがパラ接続になっているので音の厚味の点でも有利ではないかと思っています。が、もともとTDA1541は 低音域が厚いとの噂なのでどのようになるか気になるところです。
 デカップリングコンは 前記のとおり双信のQSコンですが表側に16個しか乗りません、残りは裏側に付けました。コンデンサーの間隔がもう2mm離れていると表面側に実装でき たのですが、その点は残念です。抵抗類はじんそん氏からアナウンスがあった株式会社パーツランド(旧 有限会社ナリタ)「1541 EPI 抵抗セット」に何も 考えずに決めました。

IV変換OPA627
jinson013.jpg  IV変換はお決まりのバーブラウンOPA627です。バイパスコンは表側に付けていません。じんそん氏の設計では小容量のOSコンなど の電解コンを付けるように考えて設計しているようですが、金田式傾注の私は電解コンでは気が進みません。したがって、基板の裏へ少々大きめの フイルムコン0.47μFを直付けしています。
 カップリングコンはEROのポリプロピレンMKP−1845 0.47μFを使ってみました。 20年ぐらい前に真空管のプリを作ろうと画策し購入して死蔵していたものですが、今頃になって役が回ってきたようです。ここには10μ前後の 良質のコンデンサーを使うことになっていますが、フイルムコンはその容量になると大きさも半端でなく価格もそれなりに高くなります。今までの経験から この位の容量でも出力抵抗を選べば十分実用になるものと思います。

デスクリートOPAMP
jinson003.jpg  じんそん氏から配布を受けた基板を使って作ったものです。何のコメントもなしに基板のレーアウトのみが公表されただけですが、見る人が見ればすぐ に正体が分かるはずです。やはり良くできたICといえどもデスクリートの回路には敵わないようです。おかげでOPA627は宝箱にしまわれることに なりました。


じんそんDACケースへ収める

2008/02/21

jinson020.jpg  金田式のアンプを作る私の場合タカチのケースを使うことが多いので今回も同様タカチのケースとしました。(実のところ探すのが面倒だったのですが) ケース内は比較的余裕がありまだほかにも入りそうです。ヘッドホーンが使えると何かと便利なのでその基盤も一緒に収めていますが今は使えるように していません。
 ケースは高さが70mmの物を選択しました。これはQSコンを基板の裏表に付けたため基板の高さが高くなり必要になったからです。ほかのコンデ ンサーならもう少し低くくできてスマートに仕上げることもできました。

トランスポ-ト TL51
jinson021.jpg  一緒に使うトランスポートはCECのベルトドライブTL51です。購入したときに感じたのはとても重いことです、ちょっとしたメインアンプ ぐらいの重さはありそうです。たかがCDにこの重さは大げさなようで何が入っているのでしょうか?。DACのケースはこのトランスポートの幅に 合わせて購入しました。私の場合コンポーネント機器を購入することがめったにないためケースのサイズはそのときの思いつきで作ってしまいますが、 このように重ねて使うときには便利が悪くて困ってしまいます。


jinson022.jpg  ケースの右半分へjinsonDACを収めました。裸で使っていたときはLEDの明かりが付いて存在感がありました。ケースに収めると残念ながら 見えないので普通のDACと代わり映えがしません。


jinson023.jpg  デジタル入力部分を写したものです。コイルが付いているのが見て取れますがこれはパルストランスです。ここは普通コンデンサーが付いている ところです。これには理由がありTL51の同軸から入力してみたところ旨く繋がりませんでした。もしや入力電圧が不足しているのでは と思いコンデンサー入力から変更してみたところ旨くいきました。トランスの巻き数は10:20位に選んでいます。トランスのコアはDSIXを 作ったときにサトー電気で購入していた物です。
 DACを自作した方で旨くつながらなくて困っている場合にはこのような方法もあります。今はTL51にデジタルバランス出力があるので ここへ繋いでバランス入力としています。


jinson024.jpg  キャノンの端子が平衡入力です。ケーブルはモガミ 3080のデジタル用のケーブルとしました。インターネットで販売していたものを購入しました。 BNC同軸端子はオシレーター33MHzの信号を取り出す端子ですがTL51には必要ないので現在は使っていません。もちろんTL51側を改造 してシンクロすることも可能であることはすでに確認済みですが、TL51の使っているパーツは良さそうなので手を付けるのが憚れるため、 しばらくの間このままで使ってみることにします。


13/06/21

Jinson真空管DAC
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 JINSON氏の手による真空管バッファーDACです。3年以上放置していましたが今回タカチのケースに入れました。 真空管ソケットは基板上にありますが、高さを低くするため真空管を横に向け基板側は変換プラグにしました。音質的にはソケット とプラグが増えるので不利ですが高さを低くするには仕方ありません。ほかのDAC(1541A)に比較すると真空管のほうが、高音が マイルドになったように思います。エージングが進めばさらに高音質になるものと思われます。



jinson31.jpg フィリップスのTDA1541AのDAC部分です。今回は真空管のカソードフォロアーとした基板です。入力はcs8412とし DAC部分はご覧のとおりWIMAコンデンサーがずらりと並んでいます。全段WIMAで統一してもよかったのですが、適材適所に使っています。



DAC部分jinson32.jpg 電源トランスは近くのパーツショップで調達したRコアトランスとお気楽なページから調達したものです。 1541は必要な電圧が多いため電圧を分割するために、トランスが2個必要になりました。 



jinson33.jpg 電源はごらんのとおり9電源構成です。電圧は+5V、+−5V、+−15V、+25V、ヒーター電源は3端子レギュレータとなっています。 整流はFRD・SBDそれぞれ電圧にあわせて使い分けています。



jinson34.jpg  真空管はロシア製の6DJ8を使っています。カソードフォロアなので出力はWIMAのMKP−10の0.47μFを使って切っています。プレート電圧は 真空管派から言わせると25Vと少々低めです。これといって問題は起きていません。この電圧は50Vぐらいに上げてみるともっとよい結果が 出るかもしれません。



jinson35.jpg  入力回路周りです。インターフェースは8412、コンデンサーはOSコン・QSコンなど。なお、リクロックをかけるため33MHzの 高精度型の水晶発振器を使いました。この信号は
CDプレーヤーに出力しシンクロするようにしました。



jinson36.jpg  こんなところでバーブラウンのOPA627の出番がやってきました。部品箱に眠っていたものが目覚めました。ローパスフィルタのコンデンサーは マイカを抵抗はデールの無誘導巻き線タイプとしました。全体から見るとアンバランスですが、アマチュアだからできる構成といえます。


24/01/17
jinson37.jpg この真空管DACにも手を入れました。常用しているCDプレーヤーはCRC3300なのですがやはり上手く繋がりません、試しにDDI(デジタルデジタルインターフェース) を接続すると繋がります、CDプレーヤーのデジタル出力の電圧が低いせいかもしれません。TDA1541A−Epiと同じ様にデジタル入力にフェライトコアを入れました。 思った通り上手く行きました。やはりCDプレーヤーのデジタル出力の電圧が低かった様です。TDA1541A−Epiと同じ様に1次10ターン2次側20ターンでやってみましたが 不安定になりました、1次10ターン2次側30ターンにしたところ安定になりました。