DELICA  DX-CS-7
DELICA 三田無線(研究所)という、今はなき戦前から戦後にかけて業界の雄であった社から、昭和30年代後半に発売になった小型通信型受信機です
アマチュア無線的には、プラグ・イン・コンバータ― 、あるは ディップメータ など、計測機器のほうが有名かもしれません
あのハリクラフターズS-38のデザインを踏襲しているように見受けられます
1963年のCQには、CS-7 DX ということで、商品紹介されています
1966年のCQ誌には、DX-CS7(正価¥27,000)で広告されています
ということは、1965年ごろの発売でしょうか・・・

純正スピーカーと一緒に   本体はコンパクト(330Wx230Dx180H 4.5Kg)
スピーカーが大きいですから、より本体がコンパクトに見えます

以下、CQ誌1963年の三田無線の広告から引用
DXer向きのCS-7 DX
アンテナコイルにHigh Qコイルを使用し、一次二次の結合を疎に作り、アンテナ線の接続よって起こる二次側のQ低下をおさえイメージ比を高くしました。また、IF段にポジチブフィードバックを施して約6dBのゲインを増加させ、さらに選択性が良好となりました
完成品 スピーカー球付  ¥24,000
TRIO 9R59 完成品が、¥33,000だった頃です(キット:¥18,500)

以下、CQ誌1966年の三田無線研究所の広告から引用
小型で高性能・CS-7型全波受信機
最小のノイズと最高の感度を得るため、特にQの高いコイルを使い球数を少なくした通信用全波受信機で8球式以上の性能を誇ります。535Kcから34Mcを4バンドでカバーし、バンドスプレッドダイヤル、Sメーター等必要なものは全部揃っています。DX・CS-7は更に感度が高く、アンテナコンペンセーターを持ち、ハム用としては最適です。

CS-7  完成品¥25,500  キット¥10,700(メーター、球、SPは別)
DX-CS7  完成品¥27,000  キット¥11,500(メーター、球、SPは別)
この時には、TRIOからは、9R-59D ¥19,900(球付オールキット)が、発売されています

本機は、MT管5球を使用した、言ってしまえば5球スーパーです
BC帯から4バンドでHF帯をカバーします
一番の特徴は大きなIFT
基本に忠実というか、Qを高くとることで利得と選択度を得るという独自の設計がなされたものです
RF増幅なしのTOP-Mix/オシレータに 6BE6  1st IF:455KHz 6BZ6 1本による1段増幅  BFOとSメータを振らす+ノイズリミッタ用に 12AU7を1本、そして検波・増幅に 6AV6  低周波増幅は、6AQ5 という、MT管5球構成です
CS-7とは、構成が異なります
電源整流は、シリコンダイオードが採用されています

受信範囲
  535KHz 〜 34MHz を、4バンドでカバー
受信モード切替
  A3/A3ANLとA1(BFOピッチは可変)

ケースからシャーシを取り出すとこんな感じ
ハリクラフターズ製品とは異なり、本機は、トランスレスではありません
リアパネル側から
大きな円柱2個は、HighQをうたっているIFTで、ご覧のように巨大です・・・
シャーシ上面左下の黒く見えるもの…ツマミですが、Sメータのゼロ点調整用です
ヒューズホルダが2個分?(カバー欠品)
ヒューズを左側に移すことで、商用電源の電圧低下に対応した90V入力が選択できるようになっています
危ない仲間同士?で、その右がアウトプットトランスに接続する、+B電圧がかかる端子です
糸掛けダイヤル
実は、入手した時点では、メインとスプレッドのツマミの使い方が逆にしてありました
メインノブの方が直径が大きく、またツマミの周囲もスペースがあり操作性も良い、確かにこの選択には合理性がありますが、今回はオリジナルに忠実ということで、元の状態に戻しました
ダイヤル糸については、以前入手していた細いものですが、これを使用しました
シャーシ底面/ケースから取り出した状態です
ツマミは、バンド切替用に仮に取り付けたものです
リアパネル左寄り、ヒューズホルダ近くに見えるコイル、こちらがBFO発振コイルです
BFO信号の検波用6AV6との結合は、2本の配線をよじってC結合としてあります
これら、あるいは上記広告文に興味のある方は、創業者の茨木悟氏(J1FQ/J2IH)の記事を探してご覧ください、うんちくが一杯書いてあります
フロントパネル側からシャーシ上面
ダイヤル部のアップです
2個のPLで照明されます
片方切れていました(空気が入って白濁していました)
古いFL-100Bからパチって交換しました
E10 8Vの電球・・・まだ売っているかなぁ!?
シャーシ底面/ケースに収めたままの状態
ご覧のように、ケースに収納しても、底板を外すことで必要な調整は可能です
IFTの調整も底面からOK、トリマです
右端中央に見えるトランス風のものは、平滑用チョーク・トランス(コイル)です
トラブル対策を終え、仮に組み立ててみました
この後、最終調整とデータ取りです
リアの蓋?を取り付けた様子です
このように、ちゃんとカバーが用意されています
ヒューズホルダとアウトプットトランス接続端子については、安全策を考えたいところです


純正のスピーカーです
裏ブタを開けて写しています
スピーカーが、出力トランスを背負っています

+B電圧がかかった端子が本体背面にあることに
貴重な純正スピーカーかと思います(本体完成品での購入時しか入手はできなかったのではないかと想像されます)
パイオニア製のユニットが内蔵されています
本体背面には、スピーカーに接続する端子が用意されていますが、ここには+B電圧がむき出しということ
昨今の安全管理の上では、考えられない構造です
免許を持った人しか使わない前提でしょうね、きっと

さすがに古いもので、今回はベーシックな?ところから問題が一杯ありました
まずテスターによる電源回路チェックでは問題がなかったので、通電してみました
2分足らずで1Aのヒューズが飛びます(6Aのヒューズが入っていた)
真空管をすべて抜いて通電しても同じ症状です
発煙を確認・・・0.01μのオイルコンデンサが熱くなっています
絶縁不良のオイルコンデンサが複数ありましたので、AF段カソードバイパス用以外すべて交換しました
これで電源問題は解決

AFボリュームのガリが酷い・・・結合コンデンサの絶縁不良で電圧がかかっていたことも余計劣化を進めたか・・SW付き500KΩ/Aカーブのものを持っていたので交換、これで本件は落ち着きました

次にダイヤル・・・メイン/スプレッドいずれも糸掛けによる駆動ですが、その糸が劣化により完全に緩んでいました
ちょっと苦労しましたが、ダイヤル糸の張替えを行いました
ここまでの対応で、BC帯についてはローカル放送が受信が出来るようになりました
この時点では、RFコイル、IFT等の調整は行ってません
HF(短波帯)については、全く感度が取れていません

IFTの調整
きちんと455KHzのSSG信号を入れて調整、です
ここできちんと455KHzに合わせておかないとBFO周波数にも影響します
確かにシャープというかクリチカルです
この調整で大きく利得が向上…調整が外れていました!

OSCの調整
BC帯/バンド1から、バンド2、そしてバンド4は、ほぼ正常と思わえる受信ができるようになりました
バンド3についいては、カバー範囲の下半分が受信できません(OSCが発振停止)
これには悩みました
結論は、マイカコンデンサの劣化でしたが、回路図に容量の記載がなく、現物も劣化していて値が読めません
実体配線図から、0.005μであると読み取れ、交換することで正常に発振するようになりました

Sメータ動作が変
「0」点調整が出来ないし、その動きもおかしい(逆ブレする)
メーター「0」点調整用VRに+Bから加電する20KΩ固定抵抗が断線していました

以上で、見つけた問題はすべてクリアできました
劣化の進んだACコード、ゴムブッシングなども交換、整流ダイオードは劣化は無かったのですが、短い足をリード線で延長して配線してあったので、長いリードのダイオードに交換しました
  

最終的に得られた受信感度について
いずれもS/N 10dBが得られる条件です
SSB 信号ON/OFF AM 30%変調 ON/OFF
 7.10MHz 2μV 10μV
14.15MHz 2μV 10μV
意外と高感度
それ以上に静かです
SSB(ビートをかけて)の受信時は、AGCは強制的にOFFですが、7MHz帯のQSOがちゃんと復調できます
BFOを固定して、スプレッドダイヤル操作で選局できます、これは驚きです
分離もそれなりに出来ています、少なくとも一般的な455KHzIFTの能力とは比較になりません
余程強い信号でない限り、RFゲイン調整もないのにちゃんと復調できます
RFゲイン調整の代わりに、アンテナコンペンセーターでわざと離調して逃げる手もありそうです
先頭に記したセールストークにあるように、たった5球の構成ながら、当時の8球クラスの通信用受信機の対抗馬として十分使用が可能であったと思われます(ただしSSB受信であれば、14MHz帯以下)
誇大広告ではありませんでした
 2022.05   JA4FUQ

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