TRIO KENWOOD TS-830S
当時の上級マシン TS-820の後継
実践的なマシンをということでの発売だと思われます
1980年の発売で、当時の価格は¥180,000(100W機)でした
本機ですが、私の記憶ではかなり売れたように思います
というか、SSBは八重洲というここまでのユーザーイメージを変えてしまうくらいのインパクトがあったように思います
TRIO/KENWOODとしては初のWARCバンド対応、AMモードはありません(TS-820もない)
八重洲においては、まだ過去を捨てきれず、またCB需要を見越してかAMモードには対応しています(後述のFT-102もAM/FMオプションの用意がありました)
この頃は、70年代の八重洲の勢いが低下し、KENWOODがそこをおさえて伸びてきた時代だったと思います
余談ですが、アイコムではIC-720の時代・・・先進のアップコンバージョンのゼネカバ受信かつオールソリッドステートではあったのですが、市場の受け入れは無理の利く終段が真空管のハイブリッドモデルに軍配が上がっていたように思います
オールソリッドステートということでは、八重洲もFT-107を出していました
本機は、TS-820のシングルコンバージョン方式ではなく、R-820との中間、ダブルコンバージョン方式の採用です
VBT(可変IF帯域)を構成するうえで、R-820で採用した方法がそのまま採用されたのでしょう(1st-IF:8.83MHz 2nd-IF:455KHz)
ノッチフィルタは、455KHzIFでの対応です

当時の競合相手は、八重洲 FT-101Zシリーズでしょうか
こちらは設計が古く、パワーの出る八重洲のイメージそのままのFT-102(6146Bx3)が競合製品として登場するまでは、本機の魅力が大きく勝っていたと思います
そうこうしているうちに真空管の時代は終わりを告げ、オールソリッドステートの時代の到来となりました
KENWOODの次なるモデルは、TS-850シリーズです
PLL方式の採用に続き、次なる新技術はDSPへと進んでいきました
この流れで、現在のTS-890まで800シリーズが続いていることになります

本機ですが、しばらく通電していなかったようで、SW・ボリューム類の接触不良問題はありましたが、これは対処するしかありません
しばらく通電したのちに各チェックを行いました
接触不良以外に、ほかに問題はありませんでした(バンドSWのポジションが、やや甘いくらい)
リアパネルの様子

このモデルから、DINコネクタの採用が始まりました
GTあるいはMTソケットの採用はなくなりました
上蓋を外した様子

高圧の平滑コンデンサと並んで、ドライバ管12BY7Aが見えます
このドライバとファイナルのみ真空管で、あとは全て半導体構成です
上蓋を外した様子

上が、フロントパネル側
ファイナル部シールドを取り外して写しています
上蓋を外した様子
角度を変えて

ファイナル部シールドを取り外してファイナル部を中心に写しています
ファイナル管は、6146Bです(S2001ではありません)
RFユニット部 VC駆動はチェーンです
中和バランスが、VCの値で崩れないようにするため、TRIO・KENWOODでは、VCステーターをアースから浮かせて使用
増幅型ALCの採用と合わせて、設計の十八番となりました(TS-510以降)

RF-NFBの採用
コリンズでしか実用されていないとされたRF-NFB、確かに3pFのCで、終段プレートからドライバカソードに帰還回路が組まれています(安定な中和の成果)
上蓋を外した様子
角度を変えて

手前がIFユニットです
オプションフィルタは入っていません
TRIO/KENWOODとしては、本トランシーバに初めてVBT(可変IF帯域機能)を採用しました
8.83MHz(クリスタルフィルタ)と455KHz(セラミックフィルタ)の二つのフィルタを重ね合わすイメージです
底蓋を外した様子

上面を見ても思いますが、大型の基板を採用し、構成する基板枚数を減らすことでコストを下げた感があります
【仕様】の確認
トラッキング調整ほか、何も手を付けていない状態での計測です
受信感度   SSB/CW  0.2μVの信号ON/OFFで、S/N10db (仕様は0.25μV)
送信電力   28MHz帯を除き 100W以上   28MHz帯 50W以上
と、仕様通りの感度と出力が得られていることの確認が出来ました(全アマチュアバンド)
発売から40年以上経った今でも、発売時の性能をキープしていたことになります
ここまで大事に保管がしてあってのことでしょう
2023.05  JA4FUQ

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