展覧会案内・感想

2008年10月27日

 特別展 五姓田のすべて
五姓田のすべて展チラシ表

五姓田のすべて展チラシ表
岡山県立美術館で 特別展 五姓田のすべて が開かれています。会期:2008年10月7日〜11月9日

山陽新聞文化欄での紹介に引かれて出かけてきました。いや〜面白かったです!。サブタイトルにー近代絵画への架け橋ーとありますが、まさしくの世界でした。

幕末から明治初頭のこの国での絵画の動き、短絡的に日本洋画の黎明期とひとくくりにして、通り一遍の見方しかしてこなかったと反省するばかりでした。

私自身が関わる日本画の世界を見直す時、幕末から明治がやはりポイントとは思っていましたが、今回この五姓田派と呼ばれる絵画の流れを見て、これから考える上でのもう一つの目をもらったようにも思う展覧会でした。

展示の流れも面白く、絹の裏彩色の様子が紹介されていたり、豊富なデッサンなどの資料も楽しめました。

絹本上の描写、絵の具の使い方、デッサン。また、素描、デッサンでの鉛筆の使い方など、先日、友人たちと話した空間意識に対する感覚のはじまりを感じるような部分もありました。

明治14年頃の色合い、生きの良さ。不思議と時代が進むにつれ鈍くなるのはなぜでしょう。勝手な解釈も自分なりに加えながら、非常に面白く見る事が出来ました。

そして展示最後のあたりに紹介されるさまざまな美術教科書!!。「明治期美術教育史」の紹介。岡倉天心などの動きの中にも関係しているのは大変興味深い事でした(※展覧会カタログがよく出来ています。)鉛筆と毛筆、使用する画材の関係。臨画、粉本。技術伝承。言葉!

関東ではすでに神奈川県立歴史博物館で同展が開かれたそうです。もし絵を描くことがお好きなら、ある種の黎明期に触れられる意欲的な展覧会です。

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