展覧会案内・感想

2008年12月01日

 伊藤深水展
伊藤深水展ちらし

伊藤深水展ちらし
すでに展覧会は終了してしまいましたが、岡山県新見市にある新見美術館で伊藤深水展が行われていました。2008年10月8日〜11月24日

近代美人画の巨匠と呼ばれる伊藤深水。このタイトルにある「美人画」という言葉自体、なかなか聞く事が少なくなった言葉ですね。

展覧会では未完作品の6曲一双屏風「さくら」の大作もあり、未完である事も手伝ってか、深水の制作、作業の進め方が垣間見えたようにも思います。また、軸装作品などもあって、思いのほか楽しんで見る事ができました。

描き方の変化のみならず、描かれた女性のファッション、髪型顔自体などに時代の移り変わりが描き出されており、その意味でもモチーフ、テーマを同じくしたこうした展示の持つ意味を感じます。

同じ事をすれば、それぞれの間にある違いのみが見えてくるからです。

東京国立博物館で行われた「大琳派展」での風神雷神の比較もしかり、また、現在京都の細見美術館で行われている「花の協奏曲」展で見られる梅やあじさいの比較など。


加えて、伊東深水展では、原寸大の大下図が多く展示されており、同じ人物画の中で構図上の工夫、落款の位置まで下図で研究する様子などが垣間見えました。
個人的に大きく注目したのは、それぞれの髪の毛の表現、絹の上、紙の上、基底材、塗り方に応じて絵の具も変えながら透明感、質感を描き分けている部分です。荒い岩絵の具が紙の上でいかに透明感に繋がる使い方と出来るのか。

人物の遠近を表現するのに、描いてある輪郭線の部分に施されている工夫の存在。

あれもこれも、描くものを同一にした展示だからこそ見えてくる要素でした。

< 森山知己ホームページ >