展覧会案内・感想

2009年09月15日

 近代日本美術の精華(16日追記)
近代日本美術の精華展ちらし表

近代日本美術の精華展ちらし表
高梁市成羽美術館で高梁市発足5周年記念展「近代日本美術の精華」が開かれます
平成21年10月10日(土)〜11月29日(日)
休館日/毎週月曜日:
10月12日(月)11月23日(月)は開館・翌日休館

東京富士美術館所が所蔵する作品が高梁市にやってきます。日本画では、横山大観、川合玉堂、川端龍子、菱田春草、竹内栖鳳、上村松園、鏑木清方、蒼々たる顔ぶれの作品が60点並ぶとか。このほか黒田清輝、中山魏らの洋画や工芸作品も展示され、ある時期の日本美術の姿、精華を多角的に紹介する企画とのことです。

古典的な伝承に基ずくこの国の絵を描く技術と、明治になっての西洋との出会いがもたらした近代化の流れ。国家とか、個人とか、社会の混乱も確かにあったでしょうが、絵描き、社会をさまざまなテーマが錯綜し、ある意味でワクワクするような時代だったと思うのです。その動きは姿を変えながら、大正、昭和初期と続くわけですが、この展覧会はその一つの見方と出会うよい機会になるように思います。

このサイトで現在紹介している川合玉堂の「日本画實習法」の内容は、まさしくこの変化のまっただ中で書かれたものなのです。

はたしてどんな絵が並ぶ事やら。

現在、岡山や倉敷で行っている日本画講座の中では、そのおりおりに開かれている美術館企画展での作品の見所、技術などを紹介していますが、この展覧会では縁合って一般の方々に会場でお話しすることになりました。お近くの方、興味のある方、いらしていただければ幸いです。それぞれの作品実物を前にしてならではの話が出来ればと思っています。


関連イベント

オープニングギャラリートーク
10月10日(土)午前11時30分〜(40分程度)
講師/野口満成氏(東京富士美術館館長)

「日本画の魅力」
10月30日(土)午後2時〜(約1時間)
講師/平野重光氏(倉敷芸術科学大学芸術学部教授)


「日本美術の楽しみ方」
11月8日(日)午前11時〜と午後2時からの二回(各40分程度)
講師/森山知己(日本画家)


成羽美術館は安藤忠雄氏による設計のモダンな姿をしています。通常は成羽出身の児島虎次郎作品を展示、研究をされており、このほか洋画、工芸、現代美術などの企画展をこれまで行ってこられました。今回のように日本画と呼ばれる絵画を主軸とした展示ははじめてだそうです。はたしてあの建築にどのように日本画が飾られ、またどう見えるのか?それだけでも楽しみな展覧会です。
高梁市成羽美術館
電話:0866-42-4455


※10月16日追記 オープニングのあった初日、そして本日展覧会を見て来ました。
井原市にある華鴒美術館で現在開かれている<美人画-描かれた女たち・魅惑の女性美>展の人物画とこちらの人物画を見比べる目的もあって二つの美術館を同日はしごすることにしました。ちなみに国道313号線を使うと車で約40分程度でした。

風景あり、人物画あり、いわゆる花鳥画もあります。加えて雪月花や富士といったテーマも。描かれた時代が今に近づくほど絵具の塗り方、画面の構成が変わること、また同じ黒色に見えて、墨のもつただ単に黒色で片付けられない色味の面白さも見て取れます。屏風に張られた金箔の大きさ、厚み、金箔の上でいかに描くか、作業工程。

一見単純に見える葉の描き方に潜む時間の存在。
筆が入ってそして出て行く起筆と終筆に見られるこの国の美意識。

さてさて、11月8日はどんな事をお話ししようか?計画中です。現物を前にしてならではの話になればと思っています。

< 森山知己ホームページ >