展覧会案内・感想

2009年12月04日

 生誕120年 小野竹喬展
生誕120年小野竹喬展リーフレット表

生誕120年小野竹喬展リーフレット表
笠岡市立竹喬美術館で生誕120年「小野竹喬展」が開かれます
平成22年1月3日(日)〜2月14日(日)
休館日/毎週月曜日:
1月4日(月)1月11日(月)は開館・1月12日(火)休館
問い合わせ 笠岡市竹喬美術館
電話 0865−63−3967

岡山県笠岡市出身の画家、小野竹喬さん。この瀬戸内を故郷にもつからこその作風といったものを感じるように思います。温暖で豊かな自然、穏やかな海の存在。
季節の折々に見ることができる風景、そしてその色。

明治から大正、そして昭和。社会の価値観が大きく変化するなか、その眼差しがいつも見つめていた先は「おおきくおおらかな自然」だったように感じます。

現在の東京発とは違った時間の存在。
自然との関係はもちろんの事、それは作画においても感じられるように思います。

未公開作品も出品されるとか、楽しみな展覧会です。
なお、現在(平成21年12月4日現在)は、大阪市立美術館で公開中です。なお、平成22年3月2日から4月11日までは東京国立近代美術館で公開が予定されています。


関連行事として1月24日(日)には、「春のきざしを描く」というテーマでワークショップ(13:30〜15:30:要予約 問い合わせは竹喬美術館まで)をさせていただく事になっています。「前兆」とは何らかの姿が現れた状態を言い、「兆し(きざし)は、まだ現れる前、気配の状態だとか、、、、はたしてどんなワークショップが出来る事やら、思案中です。


2010年(平成22年)2月11日追記

会期あと残りわずかとなった9日、展示替えのあった後期作品も見たいと、竹喬美術館を訪れました。
「宿雪」の下地に見える箔の存在。またその上での筆遣い、それぞれの絵の具の積層の様子。ビリジアンのような緑の絵の具の存在。金泥、青金泥の使いこなし、秋の風景画に見られた金箔を使った表現。基底材の肌、繊維が感じられるマチエールと絵の具の乗せ方、洗いだし方。

87歳頃の作品制作充実具合の凄さ!!。オーソドックスな筆遣い、絵の具使いから、竹喬が一歩踏み出した時、そしてその後の展開など、これまで知っていた竹喬さんのイメージとまた違った姿が感じられた展覧会でした。

2010年1月24日 「春のきざしを描く・ワークショップ」について

定員20名いっぱいの参加者にお集まりいただきました。感謝です。
参加者の方々には、地塗りをした3枚の和紙葉書を使って、「全体が濡れた状態の時に絵の具を塗り分ける」作業や、水の感覚を知ってもらう「たらし込み」の作業、ゆっくりとした運筆により、「線を描いてもらう」といったある意味、単純な作業を行ってもらいました。
ただし、一見単純に見えるそれらが実はそうでは無い事、絵の具を薄く淡く使う難しさを体験できたことと思います。
これらは竹喬作品の中にそれぞれ使われている技法で、絵の具を積層した表現や、日本画の材料が天然の物である事、描くときに使う水の重要な役割を知ってもらい、竹喬の苦心、苦労の一部を体験することを主目的としました。

実際に材料に触れ、描いてもらう事で、竹喬の自然表現に見る事が出来る「きざし」、いわゆる「雰囲気」とか「空気感」呼ばれる様な「柔らかい表現」を支える技法、材料の使いこなしの理解につながっていれば幸いです。