展覧会案内・感想

2017年11月16日

 廣島晃甫 回顧展 近代日本画のもう一つの可能性
廣島晃甫 回顧展 近代日本画のもう一つの可能性 展チラシ表

廣島晃甫 回顧展 近代日本画のもう一つの可能性 展チラシ表
徳島県立近代美術館で「廣島晃甫 回顧展 近代日本画のもう一つの可能性」が行われています。10月21日(土)〜12月10日(日)まで。開館9時半から午後5時まで。月曜休館。

 1997年に開催された<近代日本画への道程「日本画」の19世紀>、カギカッコ付きの日本画、問題提起は行われました。そして2002年の <自然を見つめる作家たち「現代日本の自然表現と伝統」>では、テーマとしての自然、また自然との関係の作り方を問いました。2007年の<日本画-和紙の魅力を探る>では、素材としての和紙に注目することで継続すること、地域との関係などに目を向けることになったのです。2012年の<墨と紙が生み出す美の世界>展では、墨、再び広く東洋に目を向けることになりました。
 徳島県立近代美術館が行ってきた「日本画とは何か」を問う展覧会の数々。そして2017年の今年、地元徳島出身の作家、廣島晃甫の展覧会を開いています。20年に渡るこの一連の展覧会の軌跡が指し示すものは何か。

「日本画」は、定義できないから「無い」と言って消費したかに見える都市部での流れ。一方、四国、この徳島で手がかりを求め、「日本画」を定義するべく具体的な姿・形を求めてきた研究の姿。

 廣島晃甫の輝かしいデビューとその後の活躍の姿。しかし、それらも新しいことを次々に求める社会、時の流れのなかにいずれ埋もれ、沈んでしまうことはしょうが無いことかもわかりません。しかし、それでも誇れる作家としてこのように顕彰、回顧展を開いてくれる郷土があることの素晴らしさを思うのです。

「日本画なんて無い」と通り一遍に片付けてしまうのではなく、誇れる素晴らしいところを探し、見つけ、明らかにする地道な作業は、こうした地元作家の見直し、顕彰する回顧展の開催にもつながっているように思います。


 日本画再発見ワークショップ 森山知己(担当させていただきます)
11月25日(土)、26日(日)。2日連続の開催です。一日のみの開催では難しい体験、気付きの機会が提供できればと思っています。
 ※定員あり・要申し込み・問い合わせは徳島県立近代美術館まで