展覧会案内・感想

2019年03月01日

 蠢動ー竹喬のまなざしー
蠢動ー竹喬のまなざしー チラシ表

蠢動ー竹喬のまなざしー チラシ表
 笠岡市立竹喬美術館で  蠢動ー竹喬のまなざしー が開催されています。2019年2月8日(金)〜4月21日(日)開館時間 9:30〜17:00 入館は16時30分まで 休館日:毎週月曜日

 スケッチにもいろいろあります。ただ目の前の風景他、対象を写し取ろうとするスケッチ。何かの狙いを確認するかのようなスケッチ。自分が眼の前の何に惹かれているのかその在処を探すようなスケッチ。手の運動としてのマシーンのように行うスケッチ。・・・・・。

 小野竹喬の描いた絵がどのようにしてできたのか?。絵の元となったであろうスケッチと本画の比較ができる展示がありました。気づくのは出来上がった絵がスケッチのまま、見たままではないこと。

 あるときは視点を変え、あるときは木々の高さ、茂みの様子を変え・・・・。日本画の写実(竹喬の絵)が、ただ見たままではなく作られた絵であること、竹喬により生み出された絵であることがわかるような展示でした。

 竹喬の描いた絵、絵肌。あのような絵の具の乗り方、発色をさせるためにはどのように絵の具を使い、筆、刷毛を動かせばよいのか。

 そういった興味を持って描くこと、見ることを行うことでわかることがあるのです。何を描いてあるかとか、構図の問題とかと離れたある種のルールを守っていること。それは昭和初期頃まで表面上の問題を越えて存在していたように思います。

 若い頃にはそれが何かわからないまま見ていたように思いますが、ある程度経験を積んだ今、この国の絵画として愛でられてきたこと、古から続く普遍性の一部に触れられたように思うのです。

 それはこの国で「工芸」と名付けられた要素、存在かもわかりません。

 こんなことを書けば、何をいまさらという声もあるでしょう。この「工芸」という言葉に今日どのような意味を与えるのか、またその背景との関係など。興味深く、面白い、この国の文化を考える上ですごく大切なことのように今感じているのです。


 同時開催で「岩倉 壽」さんの追悼展が行われていました。良かったです。
本画に加えて数多く並んだエスキース。絵心のありか。エスキースそれぞれが描く未来、本画を想像して拝見しました。