展覧会案内・感想

2019年04月07日

 花の心 春のコレクション
花の心 春のコレクション 展 チラシ表

花の心 春のコレクション 展 チラシ表
 井原市にある華鴒大塚美術館で「花の心 春のコレクション」展が開かれています。2019年3月26日(火)〜6月2日(日)休館4月1,8,15,22, 5月7,13,20,27, 開館時間9時〜午後5時 ただし入館は4時30分まで

 館内改装のため、しばらく休館していた華鴒大塚美術館。リニューアル、やっと開館です。私の県南西部の美術館廻りコースでは、まずは笠岡市立竹喬美術館、そしてその次の訪問に予定しています。ここを出て後は、家路に付きながら国道313号沿いの田中美術館、成羽美術館などに立ち寄ったりします。まさしく私にとって313号線は美術館ロードなのです。

 もともと手入れの行き届いた美術館です。今回もどこが変わったの?という印象でしたが、壁のクロスを張り替えたのだとか。同じく手入れされた庭には、春の花が咲き、窓から差し込む光も変わった季節を実感させてくれました。

 さて、展覧会の話。

 印象に残ったのは、はなとり展示室に飾られていた郷倉千靱の「椿」でした。椿の緑濃い葉の彩色に感銘を受けたのです。決まった形をただ綺麗に塗ることは、ある意味で誰にでもできることかもしれません。しかし、本来ならありえない姿、微妙に荒い粒子の絵の具が葉の形よりわずかに大きくはみ出して塗られており、それが濃い緑と空間の緩衝材となって画面全体の柔らかな印象につなげていたのです。

 もう一つ印象に残ったのは、第一展示室、池田遥邨の「祇園夜桜」でした。描かれた月の様子、光の感覚が見事伝わってくるように感じたのです。
 
 そういえば、京都画壇と東京の画家の違いも感じました。東京だろうが、京都だろうが、もちろんそれぞれ異なった個性の持ち主達ではあるのですが、筆の扱い、絵の具の使い方、グループとして大きく違う部分があるように感じられたのです。

 今回、私の好きな土田麦僊の「藤の花」が展示台に入っており、間近に見ることができました。群青と金泥、墨、限られた絵の具を見事に使いこなしての絵です。

 川端龍子の「さくら」の山鳥、たらしこみが効果的に使われた桜の木の枝。こうして感想を書いていると頭にいろいろ浮かんできます。

 展覧会会期は6月2日まで、岡山県南西部美術館めぐりなどいかがでしょうか?