展覧会案内・感想

2021年01月09日

 瀬戸内の日本画家たち
瀬戸内の日本画家たち チラシ表

瀬戸内の日本画家たち チラシ表
 笠岡市立竹喬美術館で  特別陳列 瀬戸内の日本画家たち展 が開催されています。2020年年12月19日(土)〜2021年3月14日(日)開館時間 9:30〜17:00 入館は16時30分まで 休館日:毎週月曜日(ただし、1月11日(月・祝)開館・翌12日(火)休館)

 コロナ禍もあり、いつもとなにかが違う新年です。年初の慌ただしさの中、ふと出来た時間に、このときと美術館を訪問しました。今回の「瀬戸内の日本画家」というくくりに私も入れていただいており、25・26歳頃描いた絵を一枚展示くださっています。一番奥の展示室、遠い壁に暗く見えています。素敵な展示をしてくださっており、見てくださった方には何かしら私があのおり描いた気分のようなもの・雰囲気を感じてくださるのではないかと思います。

 この絵、私にとってある意味で一つの転換点となる絵なのです。大学院を修了してそれほど間もない頃に描きました。暮らしていた東京、なんとなくは感じていたものの、育った岡山と、関東の文化の違い、当時の公募団体にもそれらしき性格付け、違いがあり、京都を中心とした流れと、東京とは何かしら意識の差というものがあったようです。そんなことをあらためて意識させられた、せざる負えない絵でした。

 大学院の頃、すでに私の中では「日本画とはなにか?」という問いが始まっていました。近代における個性についての考え方と、何処か相容れない要素としての「日本画の伝統継承」といったことがモヤモヤと私の中にあったのです。精神論ではなく具体的に何を継承すべきものとするのか、捉えるのか。おぼろに水を使う材料との関係、そんな何かを具体的には筆や、刷毛の使い方を通じて探っていた頃でした。

 「私(個性)」については・・・ひとまず置いておいて・・・。

 この「私」・個性をいかに画家として発信していくか?、わかりやすいスタイルの獲得なんてこともある意味でぶりっ子?で、嫌だ・・・(本当の個性があるなら何をやっていても出てくるはず!)なんてことを思っていたのですが、どうしても私にとって楽なやり方?技術とか論理の方に舵をとっての進め方となっていたのです。

 大学院修了のおり、当時の東京芸大日本画の先生方々皆さんから!まさにその私のあり方?について諭される機会(ショックではありましたが・・何故もっと早く言ってくれなかった・・なんて思ったりもしました)があり、故郷の自然他を「絵が単純に好きだった頃」に戻っての制作を始めることにしたのです。結果これがセントラル絵画館での初個展に繋がりました。

 ・・・と、昔話を書きました。

 4年前から常勤で関わることとなった倉敷芸術科学大学の修了制作展が明日(1月10日)から加計美術館で始まります。昨日はその展示作業がありました。日本画からも1名修了します。
 今と昔、違いはあるにしろ、なにかしらの刺激、学生の役に立つことが出来たかどうか。そんなことをふと思います。
 


 笠岡市立竹喬美術館を拝見したあとは、井原の華鴒大塚美術館を訪問しました。一つの展示室では、すべて屏風!!、屏風の構造、作り方の紹介展示などもあります。またガラス内ではなく露出展示もあり、少し前、大正から昭和初期、日本画の黄金期!絵の具の質感、塗り方、盛り上がり方など、普段とてもわからないい肌といったものを間近に見ることができるチャンスです!。もちろん生で見える掛け軸もたくさん。おすすめの展覧会です。