Collins  32V-3
コリンズ 80〜10m AM/CW アマチュアバンド専用送信機です
公称入力120〜150W
VFOはもちろん、AC115V入力の電源も内蔵した、一体型の送信機です
超重量級の製品です
536W 310H 350D 重量は、約54Kgあります
1951年の発売のようです
この時代、USではTVの普及によりTVI問題が深刻化したようで、40年代後半から登場していた32Vシリーズですが、TVI対策というキーワードでのモデルチェンジ、本機がこのシリーズの最終モデルです
相方の受信機としては、75A-2の時代でしょうか
AM:120W入力 CW:150W入力という仕様のようです
アマチュア無線用となっていますが、発売当時一体おいくらしたのでしょう・・・$475 という情報があります、1$が¥360の固定レート、大卒初任給が¥5〜6,000の頃です
ハンドルは、オリジナルではないと思います(MICジャックも)
バンド切替とメインダイヤルには、大きな特徴があります
メインダイヤルの上の赤い△マーク
このものが左端のバンドSWの動きに連動して上下します
その示した先が、バンドであり、メインダイヤルの周波数でもあります

左写真の状態は、14.000MHzを表示した状態です(下から、3.5−7、そして14MHz帯です)
本機の構成
終段:4D32 変調:807プッシュプル
4D32には、Hi:700V Lo:600V を切り替えて給電できるようになっています
700V 0.2Aが最大入力としてあるようです
整流管3本、定電圧放電管3本を含み、全体で16球で構成されています

5バンドに対応
 3.2−4.0MHz
 6.4−8.0MHz
12.8−16.0MHz
19.2−24.0MHz
25.6−32.0MHz

VFOは、「70E-8A」というPTOです
発振周波数:1.6−2.0MHz シャフト1回転が25KHzというもののようです
このPTOの発振管6SJ7には、専用にヒータートランスが用意されています

逓倍に、3段のステージの用意があります(21MHzだと12逓倍、28MHzだと16逓倍必要な計算)
初段6AG7:2〜4逓倍
2段目7C5:2逓倍
3段目7C5:2逓倍

終段出力は、π-Lマッチとなっています
高調波対策の一環・・・コリンズでは、ずっと採用されている方法です
一般には、バンド切替SWが1回路少なくマッチング範囲の広いπマッチが普及しています(高調波対策は、後にLPFを用意する)
電源ですが、中圧・高圧回路共にチョークトランス、そして高圧回路にはオイルコンデンサが組み合わされています

807プッシュプルの変調器
大昔ですが、中学校にあった放送アンプを思い出します・・・
当博物館で、最もヘビーな代物です
あまりのヘビー級に、通電して何かをしようという気になりません
半年前のぎっくり腰が、完治していない・・・そのせいもあります
ここでは見た目だけのご紹介です
  ダイヤル(周波数)読み取り精度について
14MHz帯を例に、2KHz毎の目盛になっています
一段下の7MHz帯では、1KHz毎の目盛です
余程、安定度に自信がないと、こういうダイヤルにはなりません

21/28MHz帯にあっては、読取り精度は1目盛5KHzです
  横長ダイヤル
バンド切替ごとに、左端のランプでそのバンドを照らすようになっています
見ずらいでしょうが、横長ダイヤルの左端の裏側です
縦に5個のランプが並んでいます
大きなシールド
これは前オーナーの手による加工と思われます
この左サイド、冷却ファンの下が終段で、その手前パネル側に前段が続いています
全体の中央あたりにVFO発振管6SJ7が配置されています
右上:高圧整流管は、ダイオード(ソケット組込)に置き換えられています
右サイド:変調器部 807が2本見えます
電源トランス、チョークトランスx3、変調トランスと重たいものが一杯載っています
前オーナー特性のシールドケースを取った内部です
左端下から上に向かって処理され、タンクコイルの左上の終段4D32へ
PTO後ろの穴は、元々ブロックコンデンサが取り付けられていたところで、チューブラー型に交換されています
終段を含むRF部と、VFO(PTO)が、お隣同士という配置です
  PTO部のアップす
「70Eー8A」
発振管は、6SJ7です(右端の円柱の中)
本体向かって右サイド
変調器部です
807が見えます

電解コンデンサは、前オーナーの手で交換されています
上写真のパネルと変調器部の間に見えているツマミ
CWサイドトーンのピッチコントロール用です
細かい配慮があります・・・・
こちらのメーターは
終段プレート供給電圧、グリッド電流
変調器(807)のグリッド電流と、プレート電流
を、切り替えてモニタすることが出来ます、
こちらのメーターは、終段のプレート電流表示です
やはり、常に監視しておかないといけないのは、終段電流ということですね
リアの様子
前オーナーの手で、ANT切替リレーが取付けられています
この時代は、送信機にアンテナ切替リレーの内臓が無いのは一般的・・・外付けアンプに持たせることも意識されていたと思われます
AMのハイパワー機
電源・変調トランスなど考えれば当然重くなります
われわれ日本人の体力では扱えそうにない無線機、ということになるのかも知れません
それ以上に、当時の日本では到底作ることのできなかった設計内容の送信機・・・US(コリンズ社)の技術レベルがいかに高いかを知らしめる送信機です
本機も、キャスター付きの台の上に載せて移動させているような状況で、電気的な様子を確認する気にはなりません
     2023.09  JA4FUQ

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