Collins 75A-4 |
受信機 | |
1955年の発売 お隣にちらりと見える KWS-1が当時の送信機 |
オール・アルミ構造、ダブル・スーパー・へテロダイン、プロダクト検波、尖頭値型AGC、PTOによる周波数読み取り精度&安定度など、とても60年以上前(1950年代)の設計とは思えません 30年くらい前に、一度入手して使用していたことがありますが、管球式受信機で過去聞いたSSB受信音では、この上はありませんでした 全く改造などせず、そのままQSYしました(こんなことは珍しい!) IF3段増幅、3.1KHzフィルタ、AGCのための独立IFアンプの採用などが、きっと功を奏しています SSB受信のためのプロダクト検波回路も、USではこの頃より標準装備されるようになってきました この時代、日本は・・・・AM全盛時代 それも、まだまだ水晶制御が主流の時代でした そう考えると、USの技術はいかにそのレベルが高かったか!!が実感されます とてもとても戦争(競争)をして勝てる相手では無かった!! どこかの橋を見る以上に、実感するものがあると思います 国産では、地○号とか呼ばれる受信機が、当時軍用として使われていましたが、その差は歴然・・・きっと今現在、実用になるものは皆無・・・鉄シャーシ故きっと錆びて腐っていると思います |
75A-4 初期モデル | |||||
初期型 S/N:3桁です 刻印に流した塗料の剥げなど時の経過を感じます 1950年台・・・この時代に、SSBを現在同様にきちんと受信できる受信機があったことが驚きです 当時の日本では考えられません(プロダクト検波すら採用してなかった) その昔、好印象であった本機を、つい改めて入手してしまいました |
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本機の構成 1stIF:2.5−1.5MHz 2ndIF:455KHz のダブル・スーパー・ヘテロダイン方式です(1.5−2.5MHzは、シングル・スーパー・ヘテロダイン) 周波数関係は、基本的に2世代前の75A-2と同じです 75A-2にあっては、26〜30MHzの受信時には、1st-IFを5.455−3.455MHzとしていたところを、全てのバンドにおいて、2.5−1.5MHzとしてあります 従って、全バンドにおいて1KHz直読となります 1955年の発売のようで、SSBを意識した当時最先端の設計になっています 具体的には ・プロダクト検波の採用 ・メカニカルフィルタの採用(例えば、AM・SSB・CWと3本切替が可能) ・メインダイヤルの減速 1回転25KHz ・信号系とは別にAGCアンプの採用 ・パスバンドチューニング機能を採用 など 採用されているPTOは、70E-24 1.955−2.955MHzを、シャフト10回転でカバー BFOと機械的に連動した、パスバンドチューニング機能を有しています 電気的には、75A-2に採用された70E-12と同じです 小型化が図られました
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電源をONすると |
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上蓋を開けた状態 高周波系(PTOを除く)すべての真空管に対して、放熱性の優れたシールドケースが採用されています |
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こちらはRF部のシールドを外した状態 Collinsお得意のスラグ・チューン部が見えます 普通は、RFチューン、プリセレクタということで単独で同調をとることが多いRF同調機構ですが、本機では、メイン・ダイヤルに連動します 1st-IFの同調も併せて取ります 一般的なコリンズタイプのダブル・スーパー受信機なら、ここは固定(バンドパス・フィルタ・イメージ)・・・です |
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Collinsお得意のスラグ・チューン部のアップ 左下にブロックコンデンサ風に見えるのは、マーカー/100KHzクリスタルです |
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455KHz メカニカル・フィルタ 3.1KHz幅/SSBと、500Hz幅/CWを装備 あとひとつはAM用に、かなぁ |
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IF部以降の様子 真ん中のシールドケースは、BFO部 BFOの可変に合わせ、銅製のベルトで、PTOボディを回そうとしている構造が見えます その右に整流管5Y3GT、AF出力トランス、AF出力6AQ5が見えています 右上のシールドケースは、455KHz Tノッチ部です |
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こちらは、シャーシ下(底)部 ゆったりと組まれています 左下がアンテナ入力で、上に向かってRF−1stMIXー2ndMIX−1stIF−メカフィル 中央にPTOを配して、右上がTノッチ部 下に向かって2ndIF−検波−AGCアンプ−AFアンプというように、信号は流れていきます オールアルミ製ということで、経過した年数ほどの劣化は感じられません 青い電解コンデンサは、国産品でオリジナルの劣化に伴い交換したものです 実際は、このものにもうひとつ追加しました(後述) |
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メインダイヤル−PTO ジョイント部 メイン・ダイヤルを回していると、カップリング(銅製のリング状のもの)が脱落・・・いったい何があったのでしょう PTOとダイヤルの位置関係にちょっと悩みましたが、実際のSSG信号を受信することで、無事合わせることができました 真空管の下に見える銅製のベルトは、パスバンドチューニング動作にBFOと同期させてPTOをメカ的に動かすためのもので、この発想がなんともユニーク!! |
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入手した時点でのV-15 6BA6の様子、良く見てください 頭が白く見えます、そうです管(球)が割れています 突然受信ができなくなった、というものを入手 455KHz以降は、動作しているようだ、と その原因は、ここにありました PTOが動作していません 上記の問題やケースの状況を見て判断するに、落下かぶつけるかそんなシーンがあったのではないかと想像されます パスバンド・チューニング BFOとPTOの周波数を同期して可変するわけですが、本機ではメカ的に処理されています(見えている銅製ベルトにより同期がとられています) |
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インチ・ヘキサレンチ・セット 99PS60N カップリングの取り付けなど考慮すると、きちんとしたレンチが必要不可欠 以前、Collinsメンテ用に、このレンチ・セットを持っていたのですが、誰かに貸し出して戻ってきていません?? 当時は、入手が大変だったことを覚えています 今回のことがあって、再度入手することにしました 今では、国内で簡単に入手できます(約11Kくらい) US製品のメンテには必須の道具かも、です 昔のセットは、コンパクトにギュッとまとめたケースに収まっていました |
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メインダイヤルの軸とPTOの軸を結ぶ、カップリングの取り付けをどうしようかとPTO回りを分解して様子を見ました 結論とすればここまでの分解は必要ありませんでした ヘキサレンチをちゃんと入手したので・・・・ |
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メータです フロント・ガラスが脱落していました やはり落下事故? 分解して、瞬間接着剤を使って対処しました メータ針の引っ掛かりも、合わせて修正しました スペード頭の、時代を感じさせられるメーター針です よくある赤の色落ちは気になりません |
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こちらはメイン・ダイヤルのシャフト固定&減速部です しっかりシャフトを固定することと合わせ、1/4に減速します 結果、ダイヤル1回転25KHzです しっかりとした構造になっています 75A-2では、100KHz表示そのままに(PTOシャフトに直結で)ダイヤル・ノブが付いています |
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7.000MHzにて、100KHzマーカーを受信中 40dbμemfで、S9に調整してみました 偶然ですが、マーカー信号がS9で受信できました |
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メカニカル・フィルタの構造について 写真は、F455J-31を分解したもの トランスジューサ類の絶縁材は、ゴム材が使用されています しばしば問題になる国際電気製メカニカル・フィルタは、スポンジが採用されています このスポンジがベタベタになってしまうことで、性能が劣化する結果になりますが、こちらのゴム構造では問題は生じないようです |
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フロント・パネルを取り外した状態での写真を撮り忘れました(もう一度、分解する元気がありません) メンテの時に、ケーブル接続のままきちんと前に倒せるようワイヤー・ハーネスも考慮されていて、保守性はGoodでした 最後の問題は、SSB/CWで感度が得られない・・・AMと同程度の感度です(むしろAMのほうが高感度!?) その原因は、Humです 入手した時点で、結構な数の電解コンデンサが、国産品に交換されていましたが、プロダクト検波部のデカップリング部のコンデンサが付いていません 初期モデルは、もしかしたらこの取り付いていないのが正しい状態なのかもしれません(半田付け部分に変化なし) 後期モデルの回路図には、C94:40μFの記載があります ということで、手持ちの47μFの電解コンデンサを追加しました これでSSB/CWが感度UPです(Humを大幅に軽減!) これだけHumに影響される…セット・ノイズは、いかに少ないかということですね |
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旧型マシンを保有しようとする方は、なるべく後期のそれも程度の良いものを持ちたいと考えるのが一般的でしょう ところが、私は、初期モデルが好きです(程度は、二の次!) 生みの苦しみを垣間見ることができる、これで完璧と思って商品として世に送ったのだが・・・など、関わった方の意気込みや空気を感じられるものが好きです 良く出来ていて当たり前ということより、ここに苦労した、ここにこだわった、このアイディアを形にした・・・など、語ってくれる?ものが好きですHi |
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2023.09 追記 |
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