Echophone  EC-1A
EC-1Aは、 家庭用ラジオの標準的で平凡な、日本でいうトランスレスのシングルスーパーヘテロダイン構成になっており、 いわゆる5球スーパーにBFO発振管を追加した6球式です
スピーカーも内蔵された軽量の受信機です

サイズは、298W 198H 202D  重量は、約4.9Kg です

BC帯から30MHzを3バンドでカバーします
1.550KHz−2MHz
2.2MHz−8MHz
3.8MHz−30MHz
発売は、ハリクラフターズ社からです
バンドスプレッド用VCは、メインVCと一体・・・糸掛け方式で左右のツマミで駆動します
一体型2軸VCに直接指針を取り付るこの方式は、後のS-38シリーズにつながる特徴的な半月(分度器?)2つのダイヤルが生まれ、その後多くの日本メーカーからも模倣した製品が作られました
使用している真空管も、当時のアメリカの一般的なラインアップになっています
1942年から1946年にかけて販売されたEC-1の後継機です
EC-1ですが、1935年にエコーフォン・ラジオ社がハリクラフターズ社に合併されて以来数年ぶりに、 エコーフォンのブランドが市場に復活したことになります
このEC-1Aは、第二次大戦直後の1946年初頭頃に発売開始されたEC-1の後継機です
ここでも、ハリクラフターズ社の名前を表に出してはいません
価格は、$29.95だったようです(EC-1から低価格化を図ったようです)
大型のスピーカーが天板に取り付けられています
結構な迫力ある音量が得られています
シャーシ上蓋を取り外した様子です

本機ですが、GT菅6球で構成するトランスレスの5球スーパー+BFOです
12SA7(周波数変換) 12SK7(455K-IF増幅)) 12SQ7GT(検波・AF初段) 12SQ7GT(BFO/ANL) 35L6GT(AF出力) 35Z5GT(整流)

シャーシ上の様子をリア側から

OSC、Mix管を挟むようにスプレッドVCのローターが動きます(上写真でも、お分かりいただけそう)
こんな配置で問題が発生しないのは、メタル管のおかげでしょう
リアの様子
裏蓋を取り外して写しています

ACケーブルの左に見える穴
BFOの周波数調整用トリマです
最終的には、リアはこうなります

左からアンテナ接続端子
PHone出力
BFO周波数可変トリマ
AC入力
です
シャーシ底面部

左下のでかい円柱はコンデンサです
AFパワー管のカソードに入っているもので、これはどこかの修理で???
今風な小型の電解コンデンサに交換しました
本機は、トランスレスです
シャースは、ACラインの片側がそのまま接続されます

ケースとはご覧のように、左右4点でシャーシを絶縁させてあります
こうしておけば、極性を気にせずに感電が防げます
PLへの配線ケーブルが劣化
硬化してボロボロ・・・VCのステーターに接触して、火花が散ってブレーカーが落ちました
ステーターは少し溶けています(やすり掛けして補正しています)
この劣化した赤白ケーブルは、青白ケーブルに交換しました

この手の製品は、ブレーカー付きのステップアップトランスを使用して動作させていますので、他に影響は生じません
今回の作業中3回、このブレーカーが落ちました!
内蔵されていたスピーカー
天板に取り付けられています

「FUKUYO ACOUSTIC」 Tokyo Japan となっています
福洋電機・・・後のCORAL音響でしょうか?
オリジナルでは無いのかもしれません
折角絶縁してあるはずのケースがシャーシにつながっています
調べたところ、AF音量調整VRのアース処理に問題を発見、修正しました
Humレベルが高かったので+Bラインに47μの電解コンデンサを追加しました
ACラインに入っているチューブラコンデンサがパンクしていました
劣化(硬化)のひどいPL接続ケーブルを交換しました
ACケーブルの引き込み部のブッシングが付いていなかったので取付
BFO発振周波数が異常に高い・・・発振コイルに並列にCを追加して455KHzに合わせられるようにしました
80年近く経った製品ですが、僅か以上の取り組みで、それなりに動作するようになりました
これはこれで驚きです
見た目の劣化は致し方ありません(時の長さを感じられます!)

電源をONすると、PLがだんだん明るく点灯してきて、音が鳴りだします
このレトロな雰囲気も良いです
BC帯はガンガン聞こえます
短波帯もAM放送は結構感度よく聞くことができます
7MHz帯SSBも、モガモガ良く聞こえますが、BFOが貧弱です
信号レベルをかなり下げてやらないとまともにビートがかかりません
アマチュア無線向けには、CW以外現状では実用になりません
     2023.09  JA4FUQ

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