IEW(現ICOM) FDAM-2
     
井上電機製作所/IEW 現ICOM製の50MHz帯1W AMトランシーバです
巾200 高さ85 奥行185mm 2.8Kg と、かなり小型
古い製品で、レタリングも一部消えかかっています
アンテナ・マイク・イヤホン、すべてフロントパネルに配されています

1966年の発売 アマチュア無線分野への進出は、この前の機種 FDAM-1
これが井上電機製作所(ICOM)第一号のアマチュア無線機だと思います、1964年の発売です
このものが売れ出したことで、次世代・・・送信CHを増やし送信出力も効率アップした本機の登場に
本格的な量産・・・すなわち同じ仕様で、数が作られだしたのは本機からかも
FDAM−1については、色々違う仕様の製品がある・・・きっと手作りかと
この頃の井上電機製作所は、大手メーカーの下請けなどが中心で、ディップメータなども作っていました

送信は、3ステージ LPFも入っていません
クリスタル5個を切り替えて選択できます
受信は、ダブルスーパーヘテロダイン方式、とは言っても、かなり高い周波数の自励発振により1st-IFに
1st-IF(多分5〜10MHz前後)から2nd-IF(455KHz)への変換は自励発振です
この当時、クリスタルは貴重で、手持ちの周波数でCQを出して、どこで応答があるかわからない(相手がどんなクリスタルを持っているかわからない)ため受信ダイヤルをグルグル回して自局を呼んでくる相手を探す・・・今では考えられないような運用が行われていました
これは、50MHz帯に限ったことではなく、HFでも同じでした
VFOを使えば使ったで、「VFOですから動きます・・・」と、QRHも大きく、それでもQSOが成立する、おおらかな時代でした
もちろんAM(CW)の時代です

底面には、なにもありません
シンプルそのものです
このまま縦置きして、何も問題なく運用できます
外部電源を接続するためのコネクタは、横面に用意されています
昔懐かしい、フィーダーコンセント(3P)です
くれぐれも+接地の本機、場合によっては要注意です
ビスは、入手時付いていなかったので、手持ちの旧JISを使っています
本機は、合計3枚の基板で構成されています
受信1st-IF段以降は、電池収納スペースの裏側に基板1枚で配置されています
その右端に、外部電源接続コネクタが配されています
  電池ホルダの部分
ベークライトの板を加工してあるのですが、ケースにはハトメで留まっています
このハトメが経年変化で留めが緩んで、ベークライトの板が外れるようになっていました
電池を装着してしまえば問題ないかもですが、気になりますので真鍮製のハトメをいいことに、内側に半田を盛って抜けないようにしました
見えている基板は、受信1st-IF以降の部分です(1st-IFから2nd-IFへの変換部分)
3連VCは、受信RF同調と、1stOSC用です
クリスタルは、送信用 5波 フル実装!です
受信ダイヤルは、お決まりの糸掛け式です
見えている左側基板は送信部と、送受兼用のAF部です
右側基板は受信部(RF−1stMix)です
電池ケース部のシールド板の下側に、受信1stIFから検波までの基板1枚が収まっています
下のスペースは乾電池収納エリアです
ご覧のようにケースを開けないと電池交換ができません
単一電池を使用します
     

フロントスピーカーのTR-1000
下向きケース取付スピーカーのFDAM-2
大きな音量が得られるのは、FDAM-2です
近い時代の製品、TR-1000と比較ですが、本機が随分コンパクトです
TR-1000では、電池交換用の窓が用意されています
その分使い勝手は良いのですが、如何せん大きく重たいのが難点です
ユーザーインターフェイス重視は同じでも、その切り口が2社違ところが興味深いです
デザインを専任者が行うのか、無線機の設計者が行うのか・・・そんな違いがあるのかもしれませんね 
入手後、しばらく放置してしていたものです
送信について
意外なことに、入手時そのままで、すんなりパワーが出ました、送信動作OKです
ただし1Wは無理で、0.7〜0.8W程度
ところが受信については全く音が出ません
CALを取るとSメーターはバッチシ振れます
どうやらAF部がNGなようです
試しに送信をモニタしたところ、やはり変調がかかりません
AF信号を、AF-VOLからAFユニットをオシロを使って追いました
ファイナル直前までは正常そうです
まず、順当に?AFファイナルTrを疑いました、2SB220プッシュです
外してチェックしましたが正常です
+接地なもので、日頃と感覚が違います
エミッタ/コレクタ間の電圧が異常に低い・・・・よくよく目を凝らして見たら、エミッタ/アース間の多分50Ωと思われる1/4W抵抗器が損傷していました
犯人発見です、1/2W51Ω抵抗器に交換、これで正常と思われる動作となりました

調整の結果
送信
   50.15〜50.8MHz 内蔵されていた5クリスタルの範囲で均一化し、おおよそ0.7W
受信
   30%変調 1μV入力で、ぎりぎりS/N10db(この当時としては、非常に高感度だと思います)
   得られる音量も十分です

回路図ほか資料が全く無い中での修理、調整の結果です

2021.01   JA4FUQ

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