YAESU FT-100
ドライバ、ファイナル以外は、オールソリッド・ステート DC-DCインバータを搭載 DC12V運用もOK
YAESU初のSSBトランシーバ、あまり多くの台数は出回っていないと思われます
時代的背景は、ほぼ同時代のFTDX100のページに記します
私も、存在は知っていましたが、実物を目(手)にしたのは、このものが初めてです
その後、FT-100という同名のHF〜430MHzまでカバーするトランシーバが出現!?
きっと、本機の存在を知らないバーテックス・スタンダードの社員が名付けたのでしょう
 

1966年7月号のCQハムラジオ紙面にて、新製品として本機の紹介がありました
記事によると、これまで輸出しかしていなかったものを国内でも販売するという紹介です

とすれば、この写真は海外向けのデザインのものでしょうか
私の知っているFT-100は、上段のデザインのものです
大筋似通っていますが、VFOエスカッション部のデザインは全く異なります

1967年1月号 「電波科学」
グラビアページにある姿は、このものではなくここに「もの」がある上段にある写真の形です
DC電源は後付け・・・簡単に組み込めるという説明で、実際DC-DCのパワーTrは写っていません
価格の提示もないので、まだ製品化途中の情報かもしれません
この本には、FT-100全体回路図が紹介されています(B5 1ページ!)
この回路図上にもDC-DCパワーTrは載っていません
端子の用意までです
時代は、カラーテレビ黎明期です

 CQハムラジオ紙面の紹介品とデザインが近いとと思われる下写真のFT-100を見つけ、入手しました
上記いずれのデザインとも少し違います(VFOダイヤルエスカッション)
そのうえ改造途中???トランスバータ利用を意識してか
FMモードの追加や、28MHz帯の2MHzカバー(4バンド化)など
メータの位置も中に寄っていますし、AF/RFゲインボリュームの配置も違います
元AF/RFゲインボリュームの位置には、AMキャリア、MICゲインボリュームが配されています
あまりにも上手にパネル加工がしてあります(私には、到底マネ出来ません)

固定CHは、VXO化、スピーカーも内臓と・・・


 
元気があればバンドSWウエハを取り外して、下記不良部と交換!?   2022.04

外ケースから出して、電源回りの最低のチェックを行った後、通電したら何やらモノが焼ける臭いがします
なんとバンドSWのウエハから小さな炎が見えます
慌てて消火しました
ベークライトが劣化/絶縁不良となって燃えたものと思われます(一部欠落、炭化))
送信ドライブ12BY7Aのプレート側です
関係して、RFCが損焼しています
RFCはともかく、ウエハについては交換しか解決策はありません
これで、本機で送信することは諦めました
(モノバンド送信対応は、やれば可能!)
シャーシ上面 フロント側より

非常にコンパクトにまとめられています
構造強化のためのシャフトが2本採用されています
固定CHのクリスタルを取り付けるLアングルも構造強化の役を担っています
この構造は、そのままFTDX100に引き継がれています
  シャーシ上面 リア側より
FTDX100には無いスタビロが見えます
器用に取り付けられてます
オリジナルか、後の改造かは??
いずれにしろ電源部の様子は少し異なります
シャーシ底面
ワイヤーハーネスを使って、整然と配線してあります
時間の経過の割には、全体的に保存状態は良いです
リレー他、接触不良の発生は、当然生じます
リアパネル
スピーカー出力は、懐かしいフィーダーコンセント
本体にスピーカーの内蔵はありません
DC-DCインバータ用TRのヒートシンクは見当たりません
リアパネルに直接取り付けることで放熱器として使用してあります
ファイナル部の強制空冷用FANオプションはありません
唯一見えるツマミは、AM送信時のパワー調整用
MICゲインは、基板下の半固定VRです!
 
本機は、上蓋が外れるという構造はありません
全てが全て、FTDX100につながる様子が良くわかります
完成形を目指した初回作品、という感じかもしれません
確か、1967年の発売
68年には、FTDX100の登場があったようですから、短期間の発売…きっと、多くの製品は出回っていないのではないかと思われます

実際に稼働をさせてみて、
AGCリリース時間は短いもので、SSB受信にはやや聞きづらい、時定数の切り替えがないことで仕方ないことでしょうが
また、非常に強力な信号に対しては、AGCだけでは追い付かず、手動によるRFゲイン調整が必要です
当時とすれば、こんなものです
今回、送信は諦めましたが、FTDX100では、本機にはパネルに用意のない、MICゲイン、キャリア(パワー)調整ツマミがフロントに用意され、リアには、VOX関係のつまみが用意されました
本機は、PTTのみの対応でVOXの内臓はなく、外部に用意して使用するように端子がリア・パネルに配してあります
受信アンテナ経路にあるトラップコイル
なぜかショート(ジャンプ配線)してあります

ショートを外すと
・7MHz帯でかなり感度低下
・3.5MHz帯で、少し感度が上昇します

このままにしておきましょう


BAND(MHz)
周波数
CW/SSB
RF信号のON/OFFで
S/N10dbが得られる信号強度
3.6 1.5μV
7.1 0.7μV
14.2 0.5μV
21.2 0.5μV
28.6 0.5μV

スペックは、1μV以下で、S/N10db です
Lowバンドに感度低下・・・FTDX100にも同様のことが起こります
要は、7MHz帯以下、特に3.5MHz帯に残留ノイズが多い、結果的にS/Nがとれない状況に思われます
実用に問題になることはないと思いますが

各バンドとも、40dbμで、おおよそS9を指示します
10mバンドですが、28.5〜29.0MHzの1バンドカバーです

リレー・SW類の接点清掃、ボリューム類の洗浄など、経年変化に伴う最低の洗浄を行いました
IFTなどに、離調はありません
一番気がかりなのは、半導体の劣化です
今回は、現状で良しとして交換等は行いませんでした(なにせTrは、一部を除きPNP型の採用です)
2019.12   JA4FUQ

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