YAESU  FT-50

10年近くにわたって販売されました、会社ロゴとFT-50のロゴで発売時期が分かるとか?
1967年に、八重洲無線から発売されたHFトランシーバです
3.5〜28MHz帯をSSB、CW、AM(A3H)でカバーします
車載オプションを追加すれば、DC12V運用が可能な管球式の出力10Wのコンパクトなトランシーバです
TRIO TS-500が、多分ですが国内最初のHFトランシーバだったように思いますが、FT-100と合わせて、ほぼほぼ同時期に発売された歴史的なトランシーバかもです
終段、ドライバ以外ソリッドステート化されたのは、FT-100が国内最初で、世界的に大ヒットしたトランシーバはFT-101で、1970年の発売です
この時代は、まだ真空管が主役でした
このFT-50ですが、FT-100同様に、あとから同じ型式でまったく別のトランシーバが登場しています
普通に考えれば、機種名の重複は避けると思うのですが・・・社内に、社歴を知る社員がいないのかしら?

受信部
中間周波数5MHz台のハイフレ・シングルスーパーヘテロダイン、高1中2の構成です
ANT入力コイルは、送信πマッチの流用で、昇圧効果は得られませんので、高感度設計とは言えないでしょうが、ローバンドにあっては、少々の利得差は関係ないかもです
フィルタは、5素子のクリスタル・フィルタが採用されています
多分ですが、このフィルタは、八重洲無線が最初にアマチュア無線向けに発売した製品・・・A型SSBジェネレータ・キットとして販売されましたが、このものに採用されたものと同じだと思います
通常はVFOのところが、VXOとなっています(14MHz帯以下で4KHz程度、21〜28MHz帯で10KHz程度の可変と説明されています)
車載を意識し、またコストを低く抑えるためVFOは内蔵せずVXOの採用で、VFOはオプション設定でした
同じ時期にセパレート形式で発売されていた、FR-50(B)/FL-50(B)ラインのFL-50(B)用のVFOと兼用のオプションとなっています
そのVXOですが、FL-50(B)では一般的なVCによる可変が採用されていますが、本機はバリキャップダイオードの採用で、メイン・ダイヤルには可変抵抗器(ボリューム)が使用されています
これは、外部リモート採用の都合でしょう
送信部
平衡変調器に7360を採用、VOXを内蔵(セミ・ブレークイン可能)、終段はサイズの小さいTV水平出力12V管を2本パラで採用(高い周波数でパワー不足が予想されます)と、極めて標準的?な構成です

外ケースから取り出すと、シャーシ上面はこのようなお姿です
終段部天井には、単独でのシールドはありません
両端に見える2本の丸棒は、フロントパネルの補強用です
メインVXOダイヤル・ツマミの裏からの押さえに使ってあるフェルトが痩せて、しまりの無いゆるゆるの動きをしていましたので、代替品を見繕って交換しました
シャーシ上面をリアパネル側から写しました
清掃するときれいになりました
中央にメーター、スピーカーが内蔵されている様子が見てわかります
リアパネルを外して写してみました
終段12BB14x2が見えます
プレート電圧は300V程度ですので、プレート同調VCも受信機用のVCが使ってあります
電源トランスには、DC−DC用の巻き線が用意してあり、外部に発振用のトランジスタとトランスを用意すれば、DC運用ができるように設計されています
シャーシ底面です
保存状態が良かったようです
湿気の影響も少なそうで非常にきれいです
RF部に、単独のシールド板(上蓋)の用意はありません
リアパネルの様子
外部VFOの接続には、昔懐かしいカーラジオアンテナ接続に使われていたプラグが必要です
ツマミのついたVRは、MICゲイン、AMキャリアレベル、そしてVOX関係です
外部VFO FV-50と一緒に
FV-50は、ソリッドステートです
そうは言っても、シングル・コンバージョン・タイプで、バンドごとに高い周波数を一発発振させますので、その安定度には問題が・・・
FV-50Cになると、受信周波数が単独で数KHz可変できるクラリファイア(RIT)機能が用意されています
DC-50Bという車載オプションがあったようです
スピーカーを内蔵(音量調整VRも)、マイクジャックと、VXOダイヤルを装備・・・外付けのコントローラですね
DC12V入力端子と、本体接続12P電源ケーブル、そしてMT9Pのリモートケーブルがついていたものと想像されます(回路図から)

入手時点では、思いっきり汚れていましたが、頑張って清掃すると、特に内部はきれいになりました
通電に向けては、電源ケーブルを作るところからの取り組みになります

2025.01 
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