Galaxy R-530
1968年の発売 
オールソリッドステートで、アップコンバージョン・ダブルスーパーヘテロダイン方式を採用、HFOはシンセサイザ方式、ハイフレ9MHzクリスタルフィルタ4種類を切り替えて選択できる本格的なゼネラルカバレッジレシーバーです
0.5MHzから30MHzまで500KHz単位で、AM/LSB/USB/RTTY/CWに対応 
仕様的には、いわゆる業務用を目指したものと思われます
製品の位置づけとしては、National HRO-500 Collins 51S-1 の廉価版といったところでしょうか
変換周波数(HFO)の得方は、National HRO-500 と同じ方法です
$600〜で販売されていました
発売当時、何かの新製品ニュースで見た覚えがあります(まだ日本は真空管全盛時代でした)
アナログダイヤルで±1KHzの精度という、当時としては非常に優秀な読み取り精度だと思われます
この仕様ですから、当然ながら周波数ドリフトは非常に少ないし、リニアリティについても大変優れています
1stIF  42MHz台
2ndIF  9MHz
1st-Mixは、DBM方式が採用されています
CW受信時は、BFO周波数が±1KHz可変できる微調機能を活用します
メーターは、一般的なRF信号強度と、音声出力レベルを切り替えて読むことが出来ます
本機の改良版ということで、アンテナでお馴染みの hy-gain ブランドで、R-1530というモデル名でも販売されていました(1972〜3年頃)
下が100KHzから受信可能だったようで、頭のRF-Amp(プリセレクタ)をパスして、いきなりDBM TOP-Mixで使えるような切替を持っていたようです(プリセレクタのバイパス)
リアの様子です

ANT、SP以外に
LINE出力、外部DC12V出力や、スタンバイ端子に加え、VFO出力、AGC出力、検波出力などなど信号取り出しができるよう用意されています
フロントパネル側よりシャーシ上面を見る

巾430mmと、結構大型です
そして、構成がユニット化されている様子が分かります
アナログ方式で、1KHz直読 誤差±1KHzという仕様
そのメインダイヤルです
一番外側のカーソルを動かして校正します
もっと大きな表示/ダイヤルにすれば良いと思いますが、なぜか小型のものを採用してあります
真ん中のスケールダイヤルを持って回せば、高速で?周波数移動できます(1回転100KHz)
メインダイヤル(ノブ)は、1/6に減速してあります
YAESU FT-101Sイメージです
パネルに3つある窓の左側の窓
プリセレクタダイヤルです
500KHzから30MHzの間を6バンドでカバーします

なかなかシャープな選択度です
ある面アバウトな周波数ダイヤルによるバンドの選択時に、このプリセレクターでノイズ最大点を探すことで、どこのバンドに合っているかが分かります
本機の現状・・・上限が30MHz帯まで伸びず、展開範囲が異なる=周波数ダイヤルの表示と一致しませんから、このプリセレクタの周波数表示は、下段の周波数ダイヤルの代わりになります

表示は、バンド;4−8MHzレンジ
7.150MHzの最大感度が得られる位置です
この周波数ダイヤルにある赤ランプが消えないと正しくLockされたことになりません
National HRO-500 と全く同じバンド選択方法です
周波数ダイヤルを回して、目的のバンド近辺で、このランプが消えるところを探すことになります
500KHz毎のマーカーの用意もあります(CAL)
シンセサイザの調整を試みるために、ここまで分解せざるを得ない羽目に
ここまでバラせば、お掃除はしっかりできます・・・
右端の大きなサブケースが、目的のシンセサイザ部です
取り外したフロントパネルです
VFO(メインダイヤル)部のダイヤル分解は難しかった・・・他人の考えた仕組みは分かりませんが、分かってしまえば、コロンブスのなんとかです
目盛りやカーソルの描かれた透明のシートですが、ここまでの接着の跡ほか、経年変化も含めダメージが大です
整然としたシャーシ上面です
電源部は非常にコンパクトというかほかに比べて貧弱に見えます
そのパワートランジスタの上にフィルタ部があります

左の一番大きなサブケースは、シンセサイザ部
中央は、VFO(PTO/スラグチューン方式です)
VFOの下は、DBM部、その右がHF-MIX部
右端は、9MHz-IF部、その左はPRI-MIX部
左からAM用、SSB用で、AM用はオプションで追加されたもの
本来、SSB用の隣はRTTY用に1.5KHz巾のもの、そして一番右端にはCW用の500Hzフィルタが収まりますが、本機ではCWフィルタはシャーシ下側に600HZのフィルタが装着されていました(後述)
シャーシ上 RFプリセレクタ部
左に見えるVFOと同様に、μ同調方式が採用されています
見づらいですが、中央のシャフトを挟んだ下にRF初段Trが2個、ソケットに刺さっています
カスケード増幅回路が採用されています
この特性というか選択度の鋭さで、今どこの周波数を受信しているかはすぐに想像がつきます
シャーシ下の様子
右下の基板は、電源とオーディオ関係
その上にシンセサイザユニットが別ケースに収まって取り付いています
中央のシャフトは、IFフィルタ切替のもの
左中央の基板は、AGC/メーター関係
その上のサブケースは、RFチューン(プリセレクタ)部
9MHz帯のクリスタルフィルタ装着部の真下
フィルタ切替SW部です
前オーナーの手で、YAESU FT-301用9MHz帯CWフィルタが装備されています
これで、AM用6KHz巾、SSB用2.4KHz巾に加え、CW用600Hzフィルタ装備です
このクラスの受信機によくあるパターン

メーターの機能に、信号強度以外に600Ωライン出力のレベル表示ができるようになっています

信号強度スケールは、DBです

古いギアですし、前オーナーの手も入っていますので、細かい点では色々問題を起こしていました
・電源
2回漏電ブレーカーが落ちました
モードSWでON−OFFできるはずの電源制御ができません
電源トランス一次側に入っているコンデンサが焼け焦げています
どう見ても変な電源コネクタ配線です(12P角型ジョンソンコネクタを使って、AC115/230V,DC18V運用ができるようになっている)
回路図にあるオリジナルの配線にすることで、モードSWの動作も正常になりましたし、漏電ブレーカーが落ちることもなくなりました
・BFO
フロントパネルに微調用VCの用意(±1KHz可変)があるのですが、USB側 基板からここに配線するハトメの半田が割れていました、当然目的のfにはなりません
改めてf調整しました
・IFTトランスの調整
基板の取り付けビスの緩みや調整などにより、BFO信号のAGCへの回り込みが発生
単純にIFT調整(ゲイン最大点を求める調整)を行ったところ、モード切替をLSB/USBにするとSメーターが大きく振れる現象が著しい状態が生じていました
取付ビスをしっかり締めこんで、IFTの調整・・・・ゲイン最大点(Sメータ最大点)ではなく、検波出力最大点に調整することで問題解決となりました

こちらが、今回一番の問題であるシンセサイザ部(フェーズロックオシレータ部)
サブケースを、ここまで取り出すのが大変だったし、ここから調整も大変そう
ここに見えている位相検出に向けたトランス2個(T702/703)の調整はシビアでした
小型真四角な基板に見えているクリスタルは、500KHzのものです

シンセサイザ部(フェーズロックオシレータ部)の調整について
Webで見つけた、W8ZRの記事を参考にしました
なにせ本機のユーザーマニュアルには、調整のことは全く書かれていません
闇雲に調整を試みてはみたのですが、全バンドにLockがかかりません
とある周波数でLockさせることはできるのですが、広範囲にLockさせることが出来ず、受信できないバンドが多く生じます
この記事を見つけたときは「ヤッター」です

まず動作不安対策として、2つのコンデンサの交換をという書き出しです
1μF16Vのコンデンサは、既にタンタルコンデンサに交換されており無事でした
10μF16Vの電解コンデンサは、全くの容量抜けでしたので交換しました
この点は、パッチを当てた痕跡が・・・基板の上ではなく、シャーシの給電端子のところに電解コンデンサが追加してあります
劣化していたのは、電源のバイパス目的には違いないのですが、RFCを通った先にあるコンデンサです
結果として、このコンデンサに起因した問題ではありませんでした

先に闇雲(無勝手流?)に調整をしていたので、折角の情報ですので、記事に従って最初から調整を行うことにしました
±12Vの電源が必要ですし、100MHz以上に対応したオシロスコープに周波数カウンタ、そしてスペアナを使ってと、結構要求レベルが高い調整です(相手が相手ですから当然かも、ですが)
シンセサイザ基板上の、T702とT703の調整ですが、とてもシビアです
4.875MHzの計測のための周波数カウンタの接続(検知)はとてもやりずらいです
500KHzクリスタルの調整に向けては容易にピックアップできました
同様に、ノコギリ波(スイープ波形)の検出、及びその周波数範囲の調整は容易に行うことが出来ました
シビアな調整はここからで、周波数ダイヤルの動き(位置)に従ったノコギリ波の変化・・・Lockされたら直線化、この確認をします
スペアナで、出力の波形変化を見ながら、3組のT及びCの調整を行います
本機の場合、VCのローター側アースに接触不良が見受けられ、アースベロの調整というか強化を図りました
バラックの状態で、これでOKかなという状態になりました
実際に元に戻して様子を見ると、やみくもに調整した時より多少カバー範囲が広がりましたが全帯域をカバーすることはできません
スイープ周波数範囲と、その波高値に問題はないと思われるのですが・・・
それでも頑張って調整を進めた結果、500KHzから27MHzまで受信ができるようになりました

Loop全体の利得低下でしょうか、経年変化が疑われます(御年60代後半です)
National HRO-500 においても同様の症状が見られました
Lockしてしまえば、極めて安定(低ドリフト)な受信ができます(感度もいいです)
Sメータの振れ方が時間の変化で変わるほか、部品の経年変化に起因していそうなトラブルが散見されますので、もうしばらく遊ばせてもらえそうです

シンセサイザ部(フェーズロックオシレータ部)調整時の参考写真
位相検出部の出力をスペアナで見た様子

この状態でLockがかかり、下左写真のように、フィールドスルー端子(E702)出力はDC出力に
Lockが外れると、下右写真のようにノコギリ波形(スイープ波形)になります
周波数ダイヤルにある「Lock外れ警告ランプ」が点灯することになります

あとメーター部以外の照明ランプが取り外されています
変わった形状のソケットが取り付いています
専用に用意したランプがあったものと想像されます(回路図上では、一般的なランプのようです)
この機会に、強引に一般的なBA9ソケットに変更し、LEDランプをセットすることにしました
ランプ交換を意識しなくて良いから、ある意味取付は楽です!?

結果、照明はこんな感じ・・・メーターは、メータースケール裏側にPL、それ以外はいわば間接照明です
白っぽいのはLEDであるがため仕方ありません(メータ照明もLEDに変えようかなぁ)

最後に感度測定結果
+10KHz SSB/CW:RF信号のON/OFFで、
S/N10dbが得られる入力
AM:30%変調のON/OFFで、S/N10dbが得られる入力
2.4KHzフィルタ採用時  6KHzフィルタ採用時
500KHz 0.8μV  3.5μV 4.5μV
2MHz 0.17μV  0.7μV 0.9μV
5MHz 0.15μV  0.6μV 0.8μV
10MHz 0.25μV  0.65μV 0.9μV
20MHz 0.25μV  0.6μV 0.8μV
27MHz 0.5μV  1.2μV 1.7μV
感度、安定度、音質など受信機に要求される性能を高いレベルでクリアしています
 2022.04   JA4FUQ
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