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3.5〜28MHz帯をカバーするアマチュア無線専用受信機です
サイズは、155H x 308W x 250D で、重量は約7.6Kgです |
1962年発売の製品です
3.5MHz帯〜28MHz帯 HF5バンドをカバーする、8球構成のアマチュア無線専用レシーバです
1959年から販売されていた MR-1/Comanche と極めてよく似ています(同じ筐体!)
MR-1とは、AM検波、AGC、NLに使われているもの、オーディオ段に使われているもの、2本の真空管は異なりますが、回路構成と球数で言えば同じ8球構成です
MR-1は、MT-1/Cheyenne という、AM/CW送信機とセットになっていたものです
電源供給は、専用電源から送信機を経由して給電されます
モバイルニーズを想定したもののようで、このような方式がとられています
このことは、本機シリーズにも継承されています
Heath-Kitとして、最初に製品化したモバイル対応のSSB送信機HX-20とペアで用意された受信機です
MR-1との違いは、大きくは次の3点
1.プロダクト検波のBFOが、LCからクリスタルへ
2.AGC切り替えが、OFF−ONから、OFF−FAST−SLOWへ、2段から3段切替に
3.DC12V運用時、オシレータ管(VFOと表記されています/6EA8)のヒーターを定電圧化
車載時におけるバッテリ電圧の変化の影響を避ける目的でしょう
いずれもSSBをより強く意識した内容となっています
が、まだコリンズタイプのダブルスーパー構成にはなっていません
中間周波数3MHzを採用した、高1中2のシングルコンバージョン方式です
きちんと、3KHz(−6db) 10KHz(−60db)のクリスタルフィルタが採用してあります
SSB黎明期の製品です |
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左写真上は、ペアとして用意されていた送信機
HX-20です
HR-20と、上下に重ねてベンチシートの車にセットするイメージです
USのベンチシート車ならこその設定です
この時代から、HFそれもSSBモバイル運用をという設定は、いかにも自動車社会の進んだUSらしいことでしょう
しかし、どちらがどちらか、ぱっと見では見分けがつきません
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シャーシ上面
バンド切替ごとに、メインダイヤル表示部が回転して各バンドを横に目いっぱい展開します
ダイヤル構造については、こちらのHG-10Bを参考に、よく似ています
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シャーシ上面
リアから
電源も内蔵せず、とてもシンプルです
3MHzクリスタル・フィルタが大きく見えます
USソケットは、相棒の送信機 HX-20より給電を受けるためのものです
電源ソケットは、11Pです |
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シャーシ底面
一部コンデンサは交換済みです
右サイドにBFO/クリスタルが見えます
VFO(自励発振部)の構造については、こちらのHG-10Bに、よく似ています
写真ではわかりづらいですが、中央シールド版にVFO(オシレータ)用6EA8のヒーター安定化のためのトランジスタとツェナーダイオードが見えています
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シャーシ底面
リアから |
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BAND(MHz) |
AM
30% 1KHz 変調ON/OFFで
S/N10dbが得られる信号強度 |
ビート受信(CW/SSB)
RF信号のON/OFFで S/N10dbが得られる信号強度 |
3.5 |
μV |
μV |
7 |
μV |
μV |
14 |
μV |
μV |
21 |
μV |
μV |
28 |
μV |
μV |
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電源を外付けにしている点などから、とてもコンパクトにまとめられた受信機だと思います
このくらいのスペースと部品数であれば、しっかりしたHeath-kitのマニュアルで、何ら問題なく組み立てられると思います
SSB黎明期を語るには、HX-20共々とても良い素材かと思います
が、実用で言えば、シングルスーパー方式の限界…周波数安定度、そして送信機とのトランシーブ操作にかなうはずもなく、トランシーバの登場で一気に商品価値はなくなったのではないかと、容易に想像がつきます
しかし、国内では9R-59/TX-88AがヒットしたAM全盛時代に、USではSSB機がキットで入手できる時代を迎えていたことには、当時の技術レベルの差を感じざるを得ません
余談ですが、日本で初級ハムに、21/28MHz帯が解放されたのは、1961年/昭和36年です |