National NC109


1957年から60年にかけて販売された、いわゆる通新型受信機です
発売当時、$200くらいだったようです
TRIO(正確には春日無線)から、9R59が発売になったのは1958年です
こちらが、ご本家 NATIONALです(松下電器産業が、USで NATIONALブランドが使えなかった先駆者)
戦前からのメーカーで、HROシリーズなどは特に高名です
アマチュア無線的には、NCXシリーズ・トランシーバがなじみ深いと思います


こんな形に分解することができます
ケースは鉄製で、しっかりはしていますが重たい!

 ケースにフロントパネルが取り付き、後ろから本体が組み入れられる・・・です
本体は、底面からケースにビス止めです
本機の構成
当時の通信型受信機の標準である、IF:455KHz 高一中二のシングル・コンバージョン・スーパーヘテロダイン方式の採用
540KHz〜40MHzを、以下の4バンドでカバー
A:540KHz − 1600KHz
B:1.6MHz − 4.7MHz
C:4.7MHz − 15MHz
D:14MHz − 40MHz
アマチュア無線帯については、スプレッドダイヤルを持ちます
真空管(整流管以外MT管)11球で構成され、428W x 254H x 276D  14.5Kg と、やや大型?です

この時代に、すでにSSB受信を意識してあり、クリスタル1片による帯域幅可変フィルタとプロダクト検波が採用されています
日本では、9R4Jが現役の時代です
この頃の無線分野は、ずいぶんとUSに先行されていた時代というか、US独断場に近い時代です
見た目は同じで、クリスタルフィルタとプロダクト検波を採用していない、そして定電圧放電管を省いたモデル NC188 が廉価版としてありました(≒$160)
オプションとしては、外部スピーカー、クリスタル・マーカー、そしてFM検波ユニットがあったようです
余談ですが、同社NC88/NC98など一見見た目は違いますが、内部(回路・構造)は似通っています
NC188/NC109は、もしかしたらこれら機種の流をくむ後継かもです

メイン、スプレッド共に、ダイヤル糸をきちんと張って、切れたランプを交換
こんな通電イメージとなります
スプレッド・ダイヤル・ツマミ(右側)を、思いっきりぶつけた過去があるようで、糸をかけるシャフトが曲がって(変形して)いますが、こればかりは仕方ありません(ツマミも痛んでいます)
 リア側からフロントパネル裏を見たもの
糸掛けダイヤルの糸が、複雑に?張られています

全体を見ると、ゆったりとして見えます
シャーシ上面です
左上のシールドBOXは、クリスタル・フィルタ部
整流管以外は、MT管です
シャーシ底面です
銅メッキシャーシ・・・DRAKEは、これを真似たのかな?
クリスタル・フィルタ
シールドBOXの中身(裏側)
クリスタル一片とPHASE用VCが見えます
RF部
手前(上)がANTコイル
その奥(下)がRF(プレート同調)コイル
Qの高そうに見えるコイルたちです

その奥(下)が、OSCコイル
タイト・ボビンが採用されています

この辺りは、とても丈夫に作ってあります
リアです
本来、リアパネルがあるのですが、今回入手したものには取り付いていませんでした
内部が丸見えです!
・感度がとれない
455KHz初段のIFTの同調ずれというかコアの破損
この処置が大変で、IFTを一度分解しました
・プロダクト検波が動作しない(SSB、CWにモードを切り替えると無音) 
6BE6に+Bがかかっていない・・・真空管ソケット部分の接触(はんだ付け)不良
大きくはこの2点の対応で、あとはお決まりのクリーニング処理とトラッキング調整にて、そこそこの性能が得られるようになりました

国内で、プロダクト検波が採用されるようになったのは1963年ごろ、それより5年以上前からSSBを意識して設計された受信機ということになります

最後は、お決まりのスペックチェックです
真空管とCRについては、入手したままの状態です(CRはオリジナルのまま)

AM S/N10dB
1KHz30%変調ON/OFF
CW(ビート) S/N10dB
信号ON/OFF
7MHz帯    1.4μV    0.4μV
14MHz帯 5μV    1.4μV
 
7MHz帯にあっては、SSBも復調できます
声が震えた感じは残りますが、通信ということでいえば安定に受信できます CWは問題ありません
強い信号は、RFゲインを下げる必要があります・・・この当時は、これが普通、なにせAGC-OFFで受信です
RFゲインコントロールVRの使い方の説明に、CW受信時は音量調整に使うと、あります
14MHz帯(Dバンド)以上のSSB/CW利用は限定的、AM放送受信/SWL向きには全然OKといったところです
2024.06   JA4FUQ

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