LAFAYETTE KT-200 (TRIO 9R-4J)
1959年に、USにてLAFAYETTEブランドで、Kitとして発売されたものです(OEM)
完成品の型式は、HE-10 です
手元の資料では、日本ではTRIO(現ケンウッド)から、9R-4Jとして、1958年9月の発売となっています
ダイヤルデザインは、ハリクラフターズ S-38のコピーでしょう
本機は、電源トランスが採用され、高一中二のきちんとした通信用受信機です
当時のKitの価格は、$64.5で、非常にリーズナブルだったと思われます
別途入手した SANWA STM-406 が、あまりに保存状態が良かったので、つい当時の受信機を探す気になり、国内を見渡したのですがあまり程度の良いものがなく(やはり日本は高温多湿!)、結果このものにたどり着きました

SANWA STM-406DELICA VFO EXCITER と一緒に
当時、これだけメーカー製のギアを揃えるとしたら、それは大変なことだったと思われます
本機は、
550KHz〜30MHzを4バンドでカバーする9球式のシングルスーパーヘテロダイン方式の受信機です
BFOを内蔵し、オシレータ回路は独立した真空管を採用、整流も真空管ですが、当時としては本格的な通信型受信機ということになろうかと思います

1954年に発売された9R-4の後継機ですので、受信周波数帯など全く同じです
9R-4は、GT管とMT管の混在でしたが、本機は整流管を除き、すべてMT管の採用です
パネルを止めているビスも、−ネジから+ネジに変わっています
9R-4にはなかった、BFOのピッチ調整ができる小容量のVCが用意されています(これは有効!)
他の点は、同じです
GT管からMT管に変更しても、回路そのものに変更は必要ないと思われ、多分ですがMT管の調達コストが安価になってきたのでしょう、GT管とは整流管以外お別れです

リア側です
ケースは、天板と背面の穴あけ具合が違いまますが、9R-4と同じものに見えます

左がANT端子、右がSP端子です
AFトランス内蔵で、4〜8Ωのスピーカーが接続できます
ケースから取り出した中身です
背面から

年代からしては、とてもきれいというか保存状況は良い状態です
シャーシ下面です
予想通り、湿気の多い日本での保存より湿気の少ないUSでのほうが、ケースなどの劣化は明らかに少ないです
見た目は非常にきれいです
ただ元がキットですから、作った方の力量で仕上がりは異なります・・・
整流管以外、すべてMT管です
AFトランスも内蔵されました
整流管の奥に見えているものがそのOUTPUTトランスです

ダイヤル照明が各扇ダイヤルにひとつ用意されました
こちらのブッシングは、まだ持ちそうです

BFOピッチコントロールVCが、メーターゼロ点調整VRの下に見えています
ダイヤル照明は、こんな感じです
やはりメーターには照明がありません
9R-4Jの証?
電源トランスには MODEL 9R4J と書かれています

元々117Vに配線してあったものを100Vに移行しました
取り付いていなかった(劣化して外れたと思われる)ブッシングも取り付けました
トラブル
生誕60年オーバーですから、当然色々あります
まず部品の劣化・・・これは原因が湿度だけではなさそうで、そのものの特性のようです
同じころの製品 9R-4 こちらでも問題になった 0.047μFのオイルコンデンサがやはりNGでした
他に、0.01μFのものも・・・こちらは、目の前で破裂しました!
0.047μFは,AGCラインに入っていたもの
絶縁が悪くなって、AGC電圧を分圧するようなことに
AFラインに入っていたものは、AFアンプの動作に問題を起こしていました
破裂は、ACラインに入っていたもの
ゴムブッシング
PL用は何とか持ちそうですが、ACケーブル側は無くなっていたので、一度ケーブルを抜いて取り付けました
半田付けの怪しい配線は修正しました(時々、真空管ヒーターが点灯しないケースもあった)
さて、最後はお決まりのスペック紹介
最低の調整を行った後に計測
Cバンド:7.000MHz  
AM 30%変調 ON/OFF S/N10db が得られる入力は 1.5μV
ビートをかけて受信 RF信号のON/OFFで、S/N10db が得られる入力は 0.5μV
と、なかなかです
7MHz帯SSBのラグチューが復調できます
BFOが可変できる・・・良いです! 周波数ダイヤルの微妙な(アバウトな?)動きをカバーしてくれます
ところが、Dバンドになると感度が得られません
しかし、これ以上手をかけるのは止めにしました
本式には、ゼロから組み直しをしなくてはいけなそうです
その場合、怪しい部品は交換、です
 2023.09   JA4FUQ

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