National/Matsusita RJX−601
現在のPanasonicも、あるときアマチュア無線機器を販売していました
松下電器産業ラジオ事業部、と記載があります
ここでご紹介するのは、1973年に発売された50MHz帯携帯型トランシーバです
当時、50MHz帯はアマチュア無線入門バンドとして、中高校生を中心に賑わっていました
TRIO、ICOMに続き、松下も参戦・・・でした
同じタイミングで、144MHz帯10W車載トランシーバ RJX-202も発売されました
世間的には、これらの発売が、松下電器産業初のアマチュア無線分野への参入といわれているようですが、実際にはこれより10年も前の1961年に動きがあって、それはCRV-1という受信機キットの発売で、こちらはラジオ事業部からではなく部品事業部からの発売でした
CRV-1を見るとよく分かります、抵抗器・コンデンサ・バリコン・IFトランス・スピーカー・真空管など、ほとんどの構成部品が、自社製品です
昨今のPanasonicとは、ものづくりの感覚が全く異なります(部品事業部の製品という点もあるでしょう)

幅190 高さ65 奥行き230 単位mm  本体重量2.2Kg
販売当初は、¥34,000 販売終了時は、¥37,000

1975年ごろから、先行していた無線機器メーカーTRIO、ICOMは、50MHz帯もSSB化の方向に進みました
結果として、安価なAM/FMのトランシーバは、NEC CQP-6300/6400が残ったくらいで、価格の優位性もあり本機が長く生き残った、ということになります
最終的にモデルチェンジなしで約8年間にわたり販売されました
この業界では、異例と言えるくらいのロングセラーでしょう
この間、改良?が行われ、価格も段階的に値上げされました

機器構成
オールソリッドステート
送受信をひとつのVFOで可能とします(送受完全トランシーブ)
受信は、1stIF:21MHz、2ndIF:455KHzのダブルスーパーヘテロダイン方式を採用
29〜33MHzと高い発振周波数のVFOですから、安定度はそれなりです
FMモードにもきちんと対応、AMスロープ検波で・・・みたいな設計ではありません
スケルチも、本格的なノイズスケルチで、AM/FM両方に機能します
送信も、3Wと1Wに切り替え可能、電池運用を意識してあります
電池は、単二電池9本を内蔵、外部電源端子を有します

特別に目に付く機能とか性能は見あたりません、この時期ごく一般的な(真面目な)設計の50MHzポータブル・トランシーバーかと思います

リアパネルは、極めてシンプル
外部アンテナ接続コネクタのみです
ゴムカバーが取り付いているところです
必要な外部接続端子などはサイドパネルに用意されています
サイドパネルです
メーター切替
送信パワー切替
のスイッチが2個
そして、外部電源入力端子です
改めて、全体像です
移動は、この状態で持ち歩くことになります
総重量 約2.9Kgです
フロントパネルのアップです
シンプルですが、必要なものは全て機能します
VFO目盛は、100KHz間隔であり、またダイヤルのバックラッシュもそれなりにあるため、周波数の読み取り精度は今一歩です
性能を決める大きな要素
VFO/受信RF部です

RFは2段増幅、実際高感度です
めったに蓋を開けることがないであろう側です
電池収容の反対側です
ご覧のように、構造は1枚基板です
シールド部は、上記VFO/受信RF部の裏側です
こちらが頻繁に開け閉めするであろう電池側です
電池がずれないように、3本ずつ一体化させるホルダー(電池チューブ?)が用意されています
結果、1.5V X 9本 13.5Vがベース電圧です
ダイヤル照明が、緑LEDに改造されています

入手時点で、大きなダメージはありません
ほぼ50年選手ですから、使用感はそれなりにあります
が、内部は意外ときれいな状態でした
改造と思われるのが、バックライト・・・緑のLEDが取り付いていました
その他よく分からない改造部分は、元に戻しました
マイクロホンも動作に問題はなく、肩掛けベルトも硬化はしていますが、まずまず綺麗です
作業は、もっぱら清掃でした

最後にスペック・チェックです
  送信   4MHz全体にわたり Hi:3W弱  Lo:1W強  ほぼスペック通りです
       外部13V電源使用時(芯:−です、要注意!)

  受信   AM 1.5μV入力で S/N12dbが得られました(スペックは10db以上)
       FM 1.0μV入力でS/N22db デビエーション±5KHz時(スペックは20db以上)
       ナロー対応済?(初期型は、±15KHz  当時のFM-CHは、40KHzステップだった)

本機ですが、付属のマイクロホンの形状から1974年以降の製品かと思われます
ナロー化への対応は、1976年からの実施だったと思います(この時点からFM-CHは、20KHzステップに)
マーカーは、51.0MHzでした(デフォルトは50.0MHzだったはずです)
FM運用にあっては、呼び出し周波数である51.0MHzにきちんと合わせることが重要ですから、FM運用をなさる方の改造かと思われます
2017年12月実施の新スプリアス規定もクリアできるようで、例えばJARDによる保証リストに掲載があります
 2024.01   JA4FUQ

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