Heath-kit SB−303
1970年代に販売された、オールソリッドステートのHF受信機で、もちろんキットです
当時$340で広告されています
日本では、ソニートレーディングが輸入して、ソニーサービスルートで販売されました
私は、当時SB-102(HFトランシーバ)を購入して組み立て、DXに向けてON-AIRしていました
添付マニュアルは、オリジナルの英文に加え、日本語のマニュアルがありました

本機の先輩には、管球式のモデルSB-300、SB-301がありました
いずれもLMO(VFO)を含むすべて管球式、整流のみダイオードが採用されたもので10球で構成されていました
SB-300は、1963年の発売、SB-301は、1966年の発売のようです
価格は、いずれも$260だったようです

SB-303は、従来のSSB、CW、AMに加え、RTTYモードに対応します
3.5MHz〜30MHz(28MHz帯は4分割)と15.0〜15.5MHzをカバーします
311 x 203 x 356mm  7.7Kg と、コンパクトです

コリンズタイプのダブルスーパーヘテロダイン方式で、TRIO/KENWOODが手本とした周波数構成は、1st-IF:8.4〜8.9MHz 2nd-IF:3395KHzです
当時最新のMosFETが、RF段を中心に採用されています
余談ですが、組み合わせを意識した送信機は、SB-400、SB-401です

BCL向けに、SB-310という一見見間違うようなモデルがありました
3.5MHz〜27.4MHzの短波放送帯を中心に、9バンドでカバーするものです
こちらはAMフィルタが標準装備で、SSB・CWフィルタはオプションです
先輩は、SB-310というSB-301の時代の管球式の製品です
アマチュア無線目的とBCL目的とに、機種を分けてあるところに、当時の様子が想像できます

フラットでシンプルなリアパネルです
VHFコンバータや、送信機との接続(トランシーブ)など多用途に向けた入出力端子が用意されています
中央に見える白のRCAプラグは、LMO(VFO)出力端子に差し込んだダミーロードです(SB-401等を接続しない場合のため)

以下、ご覧のようにキットとして上手い構造が採用されています
すっきり、がっちり、さすが、Heath-Kitです 
外ケースから中身を取り出した様子
トップ側
Heath製品は、アルミニウムシャーシの採用で、年数が経過しても錆びることなく綺麗です
上部には、基板が差し込まれるソケットが並んでいます
クリスタル・フィルタですが、SSB・CW・AMフル装備です(CW/AMフィルタは、元々オプション)
同調VCは、RF同調用
その上に見える基板は、
1st-MIX/2nd-MIX部です
基板上のグレーの容器?は、8.4−8.9MHzのBPFです
左端に見えるシャフトは、HF−VHF-CONV切替SWに繋がっています(ANT入力切替)
トップ側前側です
中央LMO(VFO)の上に載せてある基板は、RTTY検波用

照明ランプは
メーター、メインダイヤルの左右の計3個が配置されています
外ケースから中身を取り出した様子
ボトム側
ボトム
リア側から
BFO−電源−マーカー基板
IF−DET−AF基板

下に見えるのは
フロント側から
ANT入力基板
RF基板
局発基板
中央に見えるプリント基板は、いわばRF部のマザーボードです
ボトム
モードSWのシャフトを抜くことで、リアの2枚の基板のメンテができます
同様にバンドSWのシャフトを抜けば、ANT-RF-局発基板のメンテができます

※メンテ
調整については、このような基板の取り外しは必要ありません
ボトム
モードSWのシャフトを抜いて、IF−DET−AF基板を持ち上げている様子
調整以外の基板のメンテには、このような作業が必要になるということです
入手時に空回りを確認
メインダイヤルを分解
ご覧のように、駆動はフリクションドライブ
Collinsと同じ方式です
円盤を摘まんで(挟んで)回す・・・です
ダイヤルエスカッションを取り外して、最初から駆動部の組み立てを行いました
これで正常にダイヤル駆動ができるようになりました
メインダイヤル下が駆動シャフトです
入手時の様子から
電源は入りましたが(ヒューズは飛びませんでしたが・・・ノーヒューズブレーカーです!)、パイロットランプは点灯せず、スピーカーからは大きな「ブーン(HUM)音」がします
メインダイヤルが空転・・・LMO(VFO)の駆動ができません(この対応は上記の通りです)

パイロットランプの件は、シリーズに3個のランプを接続・・・1個が切れていました(BA-9 8V球)

「ブーン(HUM)音」は想像通り、電源平滑コンデンサの劣化
40WV2000μFでしたが、50WV2200μFに交換しました(体積が1/2になりました)

ここまでは簡単だったのですが、わずかに残留ノイズが聞こえるだけで、何も受信しません
いろいろとチェックした結果、複数個所に接触不良が・・・基板がユニット単位で、そこここに差し込む相手がある構造がとられていますので、それだけ接触不良を起こす個所も多く存在することに
順番に修正していたら、突然大きな音でSSGの信号が聞こえました
ここからはいつもの調整で、結果として全バンドにおいて、0.15μV入力でS/N10db以上が得られました
聴感上のS/Nも良好です
LMOもアナログVFOとしては極めて安定です
高感度といえばそうなのですが、大信号入力には強くありません
AGCラインにマニュアルでマイナス電圧をかけるミュート式のRFゲインコントロール以外に、アンテナ入力部には、ボリュームによる簡易なアッテネータが用意されています(分かっていらっしゃる!)
どう使うのかなと思ったのは、そのRFゲインコントロールつまみを引くと、スピーカー出力が「断」になる機能が用意されていることです
2025.03    JA4FUQ 

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