Drake TR−7 | ||||||||||||||||||||||
35年前の製品・・・1979年製の古い無線機です 本機が登場した頃の国内は、FT−101EとかTS−520の全盛時代でした アップコンバージョン、ハイレベルDBMの採用によるトップミキサ(RF増幅なし)の受信部、送信250W入力をオールトランジスタでと、当時の最新の技術を盛り込んだアマチュア無線機としては挑戦的なものではなかったかと思います 当時、Atlasが、SWANの構成/シングル・コンバージョンで同様の設計思想の製品を出していましたが(Atlas210x)、が業務にも通用する本機の作りには、ほど遠いものでした コンパクトな作りは、DrakeのDNA テーブルから天板までわずか130mm足らずです |
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取り組み初期の、メインダイヤルあるいはメーターのバックライト 青パワーLEDを採用して、そのハイパワー過ぎに弱っていました(下段写真参照、眩しい!) しばらくぶりにそのことを思い出して、改めて照明を見直しました(2024.09.30) |
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外部スピーカー MS7、パワー計 WH7 と、一緒に |
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清掃&ツマミ・メーター/アナログ表示周りを修正 電気的な部分の対応は、これからの状態 |
まずは、別電源から通電して様子を見ます 送信ファイナル部とそれ以外が別給電になっていて、これはテストにはうってつけです バンドSW、あるいは送受切替リレーの接点接触不良が目に付きます 基本動作については、バンドによって不安定ではありますが、それなりに動作をしているようで、清掃、メカ・パーツの補修からスタートしました しばらく使用していなかったもののようで、汚れが目に付き見た目はあまり良くありません メイン・ダイヤルを回せばカタカタ音がします なんとアナログVFOの窓が外れてダイヤルメカに引っかかって音を出していました フロントパネルを取り外して清掃を開始 ツマミの掃除、あるいは飾りの欠落などに対応 35年選手ですから、そこそこのところでOKとしましょう |
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リアパネル 面白いのは、デジタル表示器を周波数カウンターとして使用できる切替SWと入力コネクタが用意されているところ(〜150MHz) 空冷ファン(スケールファン)が取り付けられるよう目隠しパネルとACコンセントが用意されています RTTY、AM連続運用の時には、ファンの増設を・・・ですね |
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トップ 大きな基板は、デジタル表示基板です 左 RFフィルタ部 上部には送受切替リレーが 下部には、内蔵スピーカーが見えます 右 黒い固まりは、、250W入力の送信パワーユニット パワーユニットの下の半固定VR群・・・BFOの周波数調整をするものですが、設定によって音色がかなり変化します(キャリアサプレッションも) 今回は、サービス・マニュアル通りのfに調整しました 40MHzの基準信号から、IFシフト用、BFO用と、各水晶発振周波数調整が結構大変でした デジタル表示基板下側に見える横に並んだ8つの穴は、周波数拡張用ボードの調整用/固定CHのf調整のものです(この下に、AUX−7を内蔵) |
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TOPから見たシールドケースの中(アップ) 各種ユニットが4段にわたって収まっています
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4枚のうち、一番上に見えるユニット 2ndIF−検波/AGC−AFアンプ部 FastAGC時定数を決めるセラミックCがリーク Fastでは使い物にならない状態でした またローカットが過ぎているのでカップリングCを 大きくしました 値は、送→受時の立ち上がりの様子で妥協です このボードは、ダイオードによるリング検波でした Ver2では、DBM-ICが採用されているようで 機会があれば、入れ替えて聞いてみたい・・・ 元気が出れば、スペースは確保できそうなので HQ−215で実績あるDBM検波にTryしてみます その下が、1stIF・コンバージョン部 ここの40MHzXtalが200Hzくらいずれていて、 補正ができませんでした(そのまま表示誤差に) コイル2T巻き足して目的通りの周波数に またトランジスタの足はちょっとストレスを与える だけで簡単に折れる、劣化で動作確認も大変! フェアチャイルドの石たちですが・・・ 利得の低下もあり、いくつか交換しました (国産品の手持ちのもので代用しました) フィルタはフル実装 動作に問題ありません、クリスタルフィルタは丈夫 メカニカルフィルタは、経年変化により劣化しがち その下、右側がNBユニット(元々オプションだったかと) |
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ボトム 大きな1枚の基板は、各ユニットを接続する(載せる)マザーボードです この写真に写っているマザーボードの上部にX−Lockを組み込む予定です 左見える黒い固まりは、250W入力の送信パワーユニット |
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周波数拡張ボードAUX−7を使って、WARCバンドに対応 | ||||||||||||||||||||||
ダイヤル照明を見直した後の様子 ずいぶん?落ち着きました(2024.09.30) |
折角、AUX−7が内蔵されていたので、WARCバンド対応を行いました このAUX−7ですが、デジタル表示基板下に収納されていますので、出し入れについてはちょっと面倒です 発売当初、本機のデジタル表示はオプション(DR−7)でしたので、構造はその名残と思われます 元々、0.5MHz 〜 と、1.0MHz 〜 の2つが設定されていました(受信用の設定) 説明ではプログラム・モジュールと称した、「TIのBC1206」と刻印のある14P DIP型をした「もの」の足を折ったものが2つ入っていました Pin1をアノードに、その他のPinに対してカソード接続になるダイオードを13個内蔵したもののようです 必要なPinだけ残して、あとは折って使用・・・みたいです ここは、ピンヘッダを用意して、小型のSWダイオードを使って代用しました 元々1.2.に入っていた2つの「もの」は、7.8.に移動させました |
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バンドSWの二重表示には、意味があります → |
AUX PROGRAM スイッチ 1.に、10MHz帯(送信可) 2.に、18MHz帯(送信可) 3.に、24.5MHz帯(送信可) 7.に、0.5MHz〜 (受信のみ) 8.に、1.0MHz〜 (受信のみ) となるように、AUX−7のプログラム・モジュールをセットしました 左写真2枚は、18MHz帯を選択したところです AUX PROGRAMスイッチで指定した周波数が含まれるところにバンドSWが切り替わっていないと、きっちり警告灯が点灯します(ちゃんとバンドSWをセットしなさい!です) NORMポジションでは、バンドSW白色表記のアマチュアバンドが選択できます バンドSW黄色表示の間は、500KHz単位で切り替えて(UP/DOWNスイッチで)連続受信できます(アマチュアバンド以外は、送信できません) |
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以下、改造について | ||||||||||||||||||||||
メーター・フェイス WEBを探せばあるもので、ホワイトラベルに印刷して張り替えました 指針が赤のままで、見づらいのですが、ここは我慢することにします 指針を白に仕上げる自信がありません(重くなりそうで) バックライトは「白色」LEDに交換しました 左端に見える小さな●は、X−Lockの動作表示LEDで、メーター裏から透過して照らしています 「青」Lock状態です 選局時には「赤」UnLock表示になります |
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メーター裏 ベークのスペーサを加工して、この中にX−Lockの2色LEDを差し込み、透過して表から見えるようにと言う作戦です 後述しますが、高輝度LEDの採用で、今回採用した手法で、問題なく使用できるようになりました 青の配線で接続されているものが1WのパワーLED(糊付け)、ただあまりに眩しい 元のBA9ソケット(PL用)は、電球だけ抜いてそのまま残しています(後に、ここに白色LEDを差し込んで眩しさを解消) |
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アナログ・ダイヤル窓 非常に薄いフィルム状のもので、日焼けしたのかブルーの色が完全に抜け落ちています そこで、窓は透明のアクリル板を切って用意 バックライトをパワーLED(1Wブルー)に交換することで、元のイメージを出すことにしました メーター・フェイス パワーLEDで照明するよう白抜きのフェイスを用意したため、オリジナルのフェイスは取り外し交換しました 今回の修理&改造のために交換した(取り外した)主な部品 |
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先にユニット説明のところで記したように、受信AFアンプのカップリングCについては、立ち上がりの影響が出ない範囲で値を大きくしています 送信も、試しにOnAirしてみると、昔懐かしい音がするね・・・って言われましたので(そりゃ、昔の機械ですからね!)、やはりローカットが必要以上に効いていると言う判断からカップリングCを、少し大きくしました あとは、プロダクト検波をオリジナルのリング検波から、お気に入りのDBM方式に変更するだけ・・・かな!? 左写真は、DBMによるプロダクト検波回路の組み込み実験中の様子です(バラック状態!) 元の回路(部品配置)はそのままで、必要に応じて線を引き出して実験を行っているところです |
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蛇の目基板に組み込んだDBM検波部分を、本来のユニットに組み込みました(この際、格好は無視!です) 言わば、ドーター・ボードのイメージです これで、元通りにシールド板を取り付けることが出来ます 右に写っているビニル袋の中身は、ユニットから外した ・BFOバッファ ・リング検波 に関係したパーツです これで、あとからボードを乗せるスペースが出来ます BFOレベルを下げたことが、結果としてS/N(感度)向上に貢献した気がします |
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最後に、X−Lock組み込みについて こちらもWEBに色々情報がありますね 制御はRIT回路を少し改造して利用しますので、PTOそのものを触る必要が無く、苦労は収納だけになりそうです(いかに、高さを低くしっかり収納するか) 左は、実際に組み込んだ状態の写真です 本体底面、マザーボード上です 念のために、X−Lockとマザーボードの間には、絶縁シートを用意しました 底カバー側には当たっても電解コンデンサと言うことで、何も養生はしていません(当たってはいません) 上に伸びて見える3本の線は、動作表示用2色LEDへの配線です |
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旧型無線機を実用化しようとするときの最大の問題は、きっとこのVFOのドリフト対策でしょう このX−Lockについても、DBM検波同様、信者になってしまいそう・・・ |
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通信そのものに何ら影響を及ぼすことではありませんが、オリジナルより低域を出すようにオーディオ回路の定数を変更したものの、内蔵のスピーカーで聴く分には音圧は高くて良いのですが、中音が強調された狭帯域な音色に聞こえます ここで312B4から取り外したスピーカー・ユニットがあることを思い出しました ダンパーが弱った感じでイマイチしゃっきりしない・・・ということで交換したものです このスピーカーが意外と上手くマッチ・・・口径が大きいだけ低音も出れば、ふんわかした音色です 音圧は少々低いのですが、まずまず好みの音色を得ることが出来ました(最近の無線機の音に対抗するようなものではありません!) 同じ4Ω系ではあるし・・・「もの」は持っておくものです 裸で置いて聞くわけにはいかないので、今度はスピーカー・ユニットの収納を悩むことに・・・ でもでも、やはりプロダクト検波は、DBMタイプに改造したい/HQ−215の改造経験から、ハイクォリティな音質が得られる期待が・・・ |
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2014.12 JA4FUQ | ||||||||||||||||||||||
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