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 日本野鳥の会岡山県支部 
錦海塩田跡地の再開発について考えよう!
経 緯 等  私たちは、錦海塩田跡地の広大な自然環境の価値を知ってから約40年近くの間、野鳥を中心とした自然環境全般について、観察を続け調査して来ました。
 「再生可能エネルギー活用」という美名に隠れて進められているメガソーラー事業に群がって来た事業者にとっては金のなる木かもしれませんが、果たして生物界や地球環境全体の保全に役立つのでしょうか。地域町民や子どもたちにとって本当に良い選択になったのでしょうか。
 生き物は正直です。一度壊された自然は、人間がいくらお金を積んでも元に戻りません。
 
S31 ・錦海塩業組合が、堤防を築造し干拓工事に着手。
S37 ・錦海塩業(株)設立し、製塩事業を開始。
S46 ・国の第4次塩業整理で全国の塩田廃止されたため、イオン交換法による製塩へ転換。
S48 ・塩田での作業が行われなくなってから7〜8年後。流下式槽に残骸が多数放置され、塩分に強い植物がほんの少し歩く歩道の横に生えている状況であつた。しかし、多くの水溜まりがあり、湿地状態あるいは干潟状態とでも言う方が良いであろうか。たくさんのシギ・チドリを見ることができました。 
S53 ・塩田跡地で産業廃棄物最終処理事業を開始。
  ・その後、会社の存続を図るため。塩田跡地に浚渫土砂による造成計画を立案していたが、私たちは、この浚渫土砂による造成計画に多くの疑問点があることを指摘し、県に対して許可の白紙撤回を求めた。 
S55 ・日本野鳥の会岡山県支部が、この地で初めて探鳥会を開催した。 
S57 ・昭和57年に1年間を通して塩田跡地で確認できる野鳥の調査を実施した。
結果:33科120種を確認した。(当時、岡山市百間川で確認されていたのは33科120種であった。)岡山県最大の野鳥生息地でした。
・全国に情報を発信し、兵庫県や大阪府からも多数のバードウォッチャーが訪れた。一番遠方からは北海道の方がペンション宿泊して訪問して下さいました。 
S58  ・昭和58年7月に植物の調査を実施した。23科57種を確認、その中で海浜性植物は8種類を確認した。アッケシソウも含まれている。 
・牛窓町議会で、「塩田跡地の野鳥を子供たちの生きた教材に」と議員提案がありました。 
S62 11月、日本野鳥の会 岡山県支部創立10周年記念誌「やませみ」上で、錦海塩田跡地の調査報告があった。
H02 ・牛窓町教育委員会は、牛窓町内の野鳥調査を1年間行い「牛窓の野鳥観察手帳」を発行しました。 
平成2年9月15日発行 (15頁) (21頁)
   ・その後、塩田跡地に立ち入ることは困難となった。主に外部からの観察を行っていました。それらを加えた野鳥確認種は、現在37科144種である。
・(当時、岡山市阿部池・児島湖が「野鳥の楽園」として親しまれているが、確認されている野鳥は、35科138種である。)それをしのぐ数を確認している。やはり、岡山県内最大の野鳥生息地であり、生物多様性を示す素晴らしい環境でした。 
2011
12月 ・環境省よって、日本の重要湿地500」に選出される。
2014
・錦海塩業(株)は、製塩業を廃業。
2014
・錦海塩田跡地の開発計画が噂されていた。
2005
3月 地元より「錦海塩田跡地 埋め立て計画に反対します。」の運動が持ち上がる。
2016
5月 「錦海塩田跡地の埋め立て計画破棄を求める陳情」を5団体連盟で、県へ提出し、本埋め立て計画は、「埋め立て後の土地利用計画が不明確」「埋め立て浚渫土の安全性」「近隣の地盤への影響」などが不明確である上、日本の重要湿原500選の湿地であり、チュウヒなどの猛禽類が生息する地である。本計画の破棄を陳情した。
 
5月24日 環境省中国四国環境事務所のアドバイスを求めた。
9月23日 錦海塩田跡地の見学会を実施。 
10月11日 「錦海塩田跡地の開発許可に対する申し入れ」を県に行う。(平成18年10月4日付けで、県は開発許可を出した。「岡山県県土保全条例」の理念に背くものであるとして、許可に至った経緯説明を求めた。) 
12月1日 「錦海塩田跡地埋め立て許可に対する異議申立書」を提出。(県土保全条例の精神との整合性が取れていない。許可は現行条例の規制緩和である。塩田跡地は公共水面を埋め立てた公共性のある土地である。浚渫土砂の安全性の確保について。猛禽類の保護について。曖昧な排水施行計画と治水・防災計画について。) 
12月9日  「錦海塩田跡地保護シンポジウム」を開催。この問題は、日本国内においても、例が無い広大な塩田跡地の埋め立て計画であり、今後さらに大きな問題となると予想されました。 
運動に関わっている10団体名    ・錦海地区の生活環境を守る会 ・尻海地区環境対策委員会
・岡山の自然を守る会  ・日本野鳥の会岡山県支部 
・岡山ワシタカの会  岡山の緑と水と空気を守る連絡会 
・エコウェーブおかやま  ・日本消費者連盟岡山グループ 
・環瀬戸内海会議  ・緑・川・人フォーラム 
2017
2月4日 ・日本野鳥の会岡山県支部 支部総会で講演会開催。講演者「 錦海地区の生活環境を守る会」代表 出射克祐氏により、錦海塩田跡地への理解を深めてもらう。
6月30日 ・シンポジウム「『錦海塩田跡地の未来』〜埋めてて、ええんかな?子や孫の代はどうなるん?」(瀬戸内市邑久町公民館)を開催。このシンポジウムを契機に地元の方々のご理解が深まり、新たに「瀬戸内の海と魚介を守る会」が発足。9月、岡山県知事に「錦海塩田跡地浚渫土砂処分場開発に関する許可見直しの要望」を提出し、漁業者の立場からの問題提起をされました。そして、連絡協議会への所属もされ、11団体の活動となりました。  
2018
・産錦海塩業(株)は、廃最終処分事業の許可期限切れで、産業廃棄物最終処理事業を廃業。
4月28日 瀬戸内市長に対し、「錦海地区の生活環境を守る会」と「瀬戸内海の海と魚介を守る会」が、錦海塩業(株)に事業中止の働きをするように申し入れを行った。
5月12日 喫茶ラグリマにて、錦海問題の経過報告と今後の活動について打ち合わせを行った。
5月27日 午後1時「錦海塩田跡地埋立に反対する市民集会」を瀬戸内市役所前にて実施。約300名のデモ参加者があり、大漁旗等を立てて集まりました。支部からは4名参加。
6月29日 「錦海湾の海を守り、魚介を守るために、塩田埋め立て問題の学習と話し合いの会」を瀬戸内市牛窓公民館で実施。 
8月7日 バードライフ・インターナショナル副会長市田孝則氏を錦海塩田跡地に案内し、保護問題の状況とこれからの問題点を聞いてもらう。将来のラムサール条約登録の希望を持ってあたる。 
12月下旬 ・島村俊一新市長が、錦海塩業(株)社長を市庁に呼び、今後の会社の計画を聞いたようです。
2019
4月2日 ・錦海塩業(株)は、岡山地裁へ自己破産を申請した。負債額126億円。干拓地の排水ポンプの運転が中止される見込みとなった。500haの塩田跡地の利用問題をどうするか。地域の保護団体と共に、これから検討を進める。
・支部のこれまでの調査では、鳥類37科144種が記録されている。植物は23科57種が確認されている。しかし、これらの記録は、昭和57年(1982年)、58年(1983年)当時のものであり、現在の環境は大きく変遷している。再度調査を行う必要がある。
2010
4月より
・4月より、現状の自然環境状態について調査すべく、支部では塩田内部にも入って鳥類の生息状況調査を実施した。その結果4月〜12月までの9ヶ月の鳥類生息確認種は 31科94種でした。
・今後、「瀬戸内市の自然を考える会」と共にさらに詳しい自然環境調査を計画して行く予定。
・大きな水面があるので良く見られるのは、カイツブリ類、サギ類、カモ類である。2010年冬にはツクシガモが飛来。広大な牧草地とヨシ原です。タカ類も多く、ミサゴをはじめとしてオオタカ、ハイタカ、ノスリ、ハイイロチュウヒ、チュウヒが冬季には頻繁に見ることができます。
 問題は、干潟が少ないためか、昔のようにシギ・チドリの姿が少ない点です。圧倒的な個体数を示すのは、やはり草原の鳥としてのヒバリやウグイス、オオヨシキリ、セッカなどです。また、秋口にはヨシ原に大きなツバメのねぐらも形成されているようです。
12月 ・排水ポンプの停止は干拓地や周辺低地への浸水につながるため、
 塩田跡地は、瀬戸内市の所有となる。
2011
5月29日 シンポジウム「錦海湾の未来を考える」=塩田跡地の利用を考える= を開催。
(瀬戸内市中央公民館ホール)
主催:瀬戸内市の自然を考える会
後援:日本野鳥の会、日本自然保護協会、日本野鳥の会岡山県支部、岡山の自然を守る会、(財)おかやま環境ネットワーク、NPO法人グリーンパートナーおかやま
講演1.「錦海湾の歴史と住民のくらし」 錦海地区の生活環境を守る会 代表 出射克祐氏
弥生時代から師楽式土器の発祥から江戸時代の新田・塩田開発そして昭和30年の錦海堤防までの歴史について講演していただきました。
講演2.「塩田跡地の現状と利用計画案」 瀬戸内市の自然を考える会 丸山健司氏
  現在の自然環境、錦海大堤防について、塩田の自然環境の状況について、塩田跡地の利用計画案について発表がありました。 
 
講演3.「海の生物多様性と鳥類」 バードライフ・インターナショナル特別顧問 市田則孝氏 
  2010年10月開催された生物多様性条約・名古屋会議の意味するものから、生物多様性の重要性について、中でも海の生物多様性の重要性について熱く講演されました。 
講演4.「干潟・藻場を中心とした浅場の重要性」 香川大学・瀬戸内圏研究センター 一見和彦准教授 
  瀬戸内海における干潟面積の推移から主要種漁獲量の推移など瀬戸内海の現状を説明して頂き、錦海塩田跡地が海に再生された場合は魚の産卵場、幼稚魚の成育場となり大規模な生物生産の場となり多様な生物群が形成されるであろうと講演されました。 
講演5.「湿原復元と自然再生事例の報告」 北海道アクアコーポレーション 部長 和田哲也氏 
  十勝川水系において自然系河川として築堤工事で湿地のビオトープを整地して湿地性動植物を再生し、タンチョウの代替営巣地も造成した事例が紹介されました。 
・参加者からは、「干潟の自然は人間の力を超えた浄化能力を持っていることを改めて認識した。」とか、「自然再生の新しい土木工事は全国で見習ってもらいたい。」等の積極的な意見も頂きました。
・これは、塩田跡地利用計画の民間からの意見として第一歩です。
6月13日 産経新聞で、 岡山県知事へチュウヒの営巣地であり計画の縮小を要望していることが掲載された。
9月5日 ・瀬戸内市、第1回錦海塩田跡地活用検討委員会を開催、平成24年6月までに6回開催。
10月25日 ・瀬戸内市、第2回錦海塩田跡地活用検討委員会を開催
11月4日 ・瀬戸内市、錦海塩田跡地活用プロジェクトチーム会議を開催
12月13日 ・瀬戸内市、第3回錦海塩田跡地活用検討委員会を開催
2012
2月19日 ・日本野鳥の会岡山県支部は、この錦海塩田跡地で月例探鳥会を開催。
2月21日 ・瀬戸内市、第4回錦海塩田跡地活用検討委員会を開催 
4月 「錦海塩田跡地自然環境調査プロジェクト」を組織して、自然環境調査を実施。
プロジェクト構成員
@野鳥 日本野鳥の会岡山県支部 丸山健司氏
A魚類・底生生物 岡山淡水魚研究会 江木寿男氏
B哺乳類・爬虫類・両生類 岡山理科大学理学部動物学科 小林秀司准教授
C昆虫 倉敷昆虫同好会 山地修氏、守安敦氏
Dクモ類 野嶋宏一氏
E植物 岡山理科大学環境理工学部環境管理センター 沖陽子教授 
F海洋環境 香川大学瀬戸内圏研究センター 一見和彦准教授
調査成果については瀬戸内市も利用する条件で、塩田跡地内への立ち入り許可を頂いて調査に当たっています。調査報告書は平成25年5月下旬に完成予定です。
3月26日 ・瀬戸内市、錦海塩田跡地問題特別委員会を開催 
4月24日 ・瀬戸内市、第5回錦海塩田跡地活用検討委員会を開催 
6月26日 ・瀬戸内市、第6回錦海塩田跡地活用検討委員会を開催 
6月27日 ・瀬戸内市、錦海塩田跡地問題特別委員会を開催 
6月28日 ・瀬戸内市、錦海塩田跡地活用検討委員会が「錦海塩田跡地活用基本構想」を、市へ提出。
7月 ・政府は、再生エネルギーの推進を目的に太陽光などで発電した電力を全量固定で電力会社が買い取る制度を導入した。発電事業者の内部投資収益率(IRR)を太陽光の 場合は6%と試算し、今年度平成24年の買取価格を(20年間)1キロワット時42円に決定した。(ドイツや中国の約3倍に相当)
9月 瀬戸内市は、「瀬戸内Kirei未来創り連合体提案概要」を発表しました。500haの塩田跡地の400haに250MWの出力メガソーラー発電計画です。 
 @ メガソーラー発電所ゾーンに400haを検討しています。
 A 親水公園ゾーン100haは環境省の「日本の重要湿地500」に選定されている「邑久郡の塩性湿地」73haを含むアッケシソウ生息地部分です。 
 B 安全・安心ゾーンは、大堤防と水路部分です。
 C 文化・芸術ゾーンは、林原生物科学研究所がモンゴルで発掘した化石保存している建屋を充てる計画です。 
・こうした中で、この塩田跡地の豊かな自然、多くの生き物たちが生息しています。この地の生物多様性をどう評価して頂けるかが問題です。 
鳥類調査 「錦海塩田跡地の鳥類調査結果リスト(全確認種)、(繁殖種)、(希少種)」 (2010/4月〜2013/3月)
チュウヒ
 岡山県レッドデータブック2009  
 国内のチュウヒの現状とさらされている脅威 (財)日本野鳥の会 自然保護室 (浦 達也さん)
  岡山県内におけるチュウヒ類の越冬状況 (阿部池および錦海塩田跡地) (岡山県支部 多田英行) 
2013
2月5日 ・瀬戸内市へ対して、錦海塩田跡地におけるチュウヒ最終報告書を提出しました。
2月8日  ・瀬戸内市から、「錦海塩田跡地活用基本計画提案書(環境計画編)」の提示がありました。 
2月12日 瀬戸内市は、非公開の「市議会 錦海塩田跡地問題特別委員会」で、民間企業7社による「連合体」が建設を予定しているメガソーラー(大規模太陽光発電所)の出力が、最大230メガワット規模になる見通しであることを説明した。
・平成25年11月着工予定、5年後完成予定。(2月13日付山陽新聞朝刊)
2月28日 瀬戸内市に対して「錦海塩田跡地活用基本計画提案書【環境計画編】への意見書」を提出しました。
4月4日 瀬戸内市は、「錦海塩田跡地活用基本計画」を発表した。(環境対策は、231頁から283頁まで)
4月15日
瀬戸内市に対して「錦海塩田跡地活用基本計画への要望書(パネル設置面積を250haから150haへと縮小する提案)」を提出しました。
ソーラーパネル250ha「錦海湾塩田跡地基本計画」( 264頁) ソーラーパネル設置面積縮小(150ha)案
ソーラーパネル設置予定地区でのチュウヒの採餌行動の割合(繁殖期)
設置予定地区での採餌行動  33%  設置予定地区での採餌行動 7%
非設置予定地区での採餌行動 67% 非設置予定地区での採餌行動 93%
(この割合は、4月〜10月における、つがい及びヒナの採餌行動176例から算出しました。) 
 ・ 3図面の中の青色部分がソーラーパネル設置部分です。(基本計画250ha、縮小案150ha)
 ・ 「錦海湾塩田跡地基本計画」 262頁の中には、下記の図が掲載されています。 
 ・ 是非、「錦海塩田跡地活用基本計画」(PDF) の231頁から283頁までの環境対策部分を読んでみて下さい。
2013
5月7日 瀬戸内市長より、4月15日の「縮小提案について」回答
 「太陽光パネル設置面積をこれ以上削減する部分に関しましては、事業の存続の観点から困難でございます。」の回答であった。
6月12日 岡山県に対して「錦海塩田跡地開発行為に対する自然保護協定への要望書」を、公益財団法人 日本野鳥の会 理事長 佐藤仁志と連名で提出しました。
 「岡山県内におけるチュウヒの唯一の繁殖地である。事業規模を最低でも150ha以下に縮小して自然保護協定を締結するよう要望します。」
同日 岡山県環境文化部自然保護課 課長宛に「錦海塩田跡地のチュウヒ保護に向けて」を提出して、「ヨシ原群落を保全し、引き続きチュウヒが塩田跡地内で繁殖できる内容とするように」強く要望した。
(結果) 県の努力も頂き、面積削減に難色を示していた計画250haから230haに削減して「自然保護協定」を事業者・瀬戸内市・岡山県で締結した。
8月6日 18時30分より「ツバメのねぐら入り観察会」を実施。
9月14日 今年6月・7月・8月の「越夏チュウヒの採餌行動エリア」と「メガソーラー設置区域」との位置関係をまとめた「錦海塩田跡地の越夏チュウヒの概要(2013年 中間報告)」を公開する。 
 9月20日付 事業者が行っている「錦海塩田跡地チュウヒの生息・繁殖確認調査報告書」を提出してもらい、その内容を確認した。 
  その後のチュウヒの調査のために、瀬戸内市より錦海塩田跡地内への立入許可証の発行を受けて、調査を継続している。(〜2014年3月31日期限) 
10月20日 「錦海塩田跡地の越夏チュウヒの概要(2013年 最終報告)」を公開する。 
2014
 地元の方々による「錦海塩田跡地メガソーラーを勉強する会」が立ち上がり、「瀬戸内Kirei未来創り合同会社は特別目的会社でペーパーカンパニーであり、事業責任が取れる会社なのか?92万枚の巨大メガソーラー施設で、自然環境や生態系、生活環境そして農業などへの影響はないのか?等を瀬戸内市へ問いただす活動をしている。
2月 チュウヒの雄と思われる個体2羽おり、うち1羽は繁殖可能なエリアを主な行動域としているので、繁殖の期待ゼロではない。
3月31日
瀬戸内市は、「瀬戸内Kirei未来創り合同会社」と錦海塩田跡地活用に係る施工協定および土地賃付契約を締結。(貸付面積 約470h、うち約265hに太陽光発電所を設置、期間20年間<更新可能>)
 貸付料 (建設期間) 年額1億円 累計金額 5億円 (工事期間5年間)
 貸付料 (売電業務開始後の期間) 年額4億円 累計金額80億円 (運営期間20年間)
 貸付料 (地域振興に関する事業費) 16億円 累計金額16億円    (事業期間中)
合    計 累計金額101億円
   錦海塩田跡地貸付料の活用方針 (平成27年2月) (累計101億円)
跡地等維持管理費 15億5000万円
(1) 跡地周辺環境の整備(来訪しやすい環境)としての堤防連絡通路等の整備
排水ポンプ
給水・放流設備
電気設備
維持管理費
1億9700万円
(2) 瀬戸内市の魅力、認知度向上、イメージアップにつながるプロジェクトのPR 
本体更新費用 4億円
(3)活力ある学校づくり、将来の人づくりのための学習支援
開閉弁/減速機
更新費用
1億2000万円
(4)子どもたちへの環境学習、市民の環境意識の醸成
 
PCB廃棄物処理 43百万円 
(5)利用しやすく、「まちの玄関」としてふさわしい駅前の整備
 
災害対策分としての
堤防復旧・補強費
16億円
(6)国内最大級の太陽光発電所を取り入れた観光振興、観光ルートの充実 
 
将来の跡地等
維持管理・予備費分
22億円
(7)結婚、出産、子育てについての希望をかなえる支援、環境の整備・向上 
 
 
(8)定住促進、定住環境の整備・向上 
跡地等維持管理費 61億円 まちづくりを進める費用総額 40億円
 安全・安心事業の所要概算経費 約32億円 
事業者
負担
 堤防補強工事  平成26年10月〜
 中央水路整備工事  平成27年 1 月〜5月完成
 防潮堤工事(玉津港側)  平成27年 3 月〜
 防潮堤工事(師楽港側)  平成27年 9 月〜
 排水ポンプ増設工事  平成27年10月〜
 太陽光発電所設置工事
 (パネル約92万枚、、出力23万キロワット)
 平成26年11月〜
 系統連係工事  平成26年12月〜
 売電開始時期  平成31年4月 (予定)
 瀬戸内市の「錦海塩田跡地の活用について」、太陽のまちプロジェクトの推進について 
 瀬戸内市のホームページ「錦海塩田跡地の活用について」 
「事業者は、太陽光発電所を設置するほか、排水ポンプの増設と非常用発電機の新設、中央排水路の河床掘削、錦海湾堤防の補強工事などの安全安心事業を行います。
これらの安全安心施設完成後は、市に寄付され、市が責任を持って管理します。
市は、貸付料を財源としてまちづくり事業を実施し、地域の活性化を図ります。」
4月 
・当初、ゴールドマン・サックス証券が資金調達を担う役割でプロジェクトのメンバーとして名を連ねていたが、
米ゼネラル・エレクトリック(GE)の金融部門が、過半数以上を出資する方向で協議。GEはメガソーラー向けの大型パワーコンディショナー(PCS)で実績があり、事業会社への投資に向けた交渉とは別に、PCSの納入についても交渉を進めていることが明るみになった。
5月  ・本年も、チュウヒは繁殖する模様である。事業者には「自然保護協定に沿って十分な配慮をするように要望書」(5月1日)を提出した。
・オオセッカ (センニュウ科):(環境省 絶滅危惧TB類、岡山県指定なし)が、錦海塩田跡地で越冬した模様。
6月23日 ・「2013年度 岡山県における越冬期のチュウヒ類調査報告書」発行 
7月27日  ・瀬戸内kirei未来創り合同会社より、錦海塩田跡地の立ち入り許可をもらい「チュウヒの繁殖調査」を行った。結果:チュウヒは2回繁殖を試みた様子であるが、失敗した模様、2回目の卵の破片を発見、周囲にはカヤネズミの巣も発見した。
8月31日 ・瀬戸内kirei未来創り合同会社より、錦海塩田跡地の立ち入り許可をもらい「チュウヒのペリット5個を回収した。 
9月22日 2014年 錦海塩田跡地におけるチュウヒの繁殖報告書」発行。 
9月28日 瀬戸内kirei未来創り合同会社より、錦海塩田跡地の立ち入り許可をもらい「カヤネズミの調査で多数巣を確認した。」 
・ 米ゼネラル・エレクトリック(GE)は29日、岡山県瀬戸内市の塩田跡地に発電能力約23万キロワットの大規模太陽光発電所(メガソーラー)を建設すると発表した。発電事業を運営する特別目的会社(SPC)にGEグループが60%を出資する。
10月初旬 事業者より「錦海塩田跡地チュウヒ生息確認調査業務(繁殖期)調査報告書」が届いた。
10月17日 上記報告書に対して、内容を至急精査して、折り返し事業者に対して「錦海塩田跡地チュウヒ生息確認調査業務(繁殖期)調査報告書に対する意見書」を提出した。
11月4日 野鳥おかやま誌上で「錦海塩田跡地のチュウヒ繁殖概要(2014年)」を公開した。
11月7日   「瀬戸内Kirei太陽光発電所」の起工式
 瀬戸内市は、14年度から25年間で、土地の賃貸料などで約130億円の収益の見込み。
概  要
(名 称) 瀬戸内Kirei太陽光発電所
事業主体
特別目的会社(SPC) 瀬戸内Kirei未来創合同会社
 代表社員 くにうみアセットマネジメント(株)
出 資 者
GEエナジー・フィナンシャルサービス 60% (?) 資本金16,000百万円
東洋エンジニアリング(株) 30% (?) 資本金18,190百万円
くにうみアセットマネジメント(株) 10% (?) 資本金250百万円
中電工(株)  新規に2015年3月出資 10% 資本金3480百万円 
総事業費
約1,100億円
資金調達先
総額900億円  
(株)三菱東京UFJ銀行  
(株)みずほ銀行
(株)三井住友銀行
を主幹事行とした28金融機関が参加したシンジケートローンによる融資枠設定貸出契約を締結して、プロジェクトファイナンスで調達。(H26.9.26契約締結)
ノンリコース型のプロジェクトファイナンスで資金調達し、将来は証券化。
(事業そのものの収益性を評価して融資しているので、返済原資はその事業が生むキャッシュフローに限定されることから、万一事業が失敗に終わった場合でも、出資した企業・親会社には責任が及ばない資金調達手法。)  
約200億円 (中電工出資(2015年3月)後の比率については公表なし)
(1)GEエナジー・フィナンシャルサービス(60%?) 、(2)東洋エンジニアリング(株)(3) 中電工(株)、(4)くにうみアセットマネジメント(株)の4社が共同出資。
販 売 先
中国電力(株)
・再生可能エネルギーの固定価格買取り制度により、売電単価40円/kWh(税抜)で買取期間20年に設定されている。運転開始後は、標準的な発電効率(12%)を使って計算すると、年間約100億円の収入となる試算。
 設計・工事請負   東洋エンジニアリング(株)、清水建設(株)
運転・メンテナンス 中電工(株) (OM契約に基づき発電所の運用・保守業務を実施)
敷地面積
 265ヘクタール ( 塩田跡地は約500ヘクタール ) 
建設開始   2014年10月
運転開始予定   2019年第2四半期の予定
太陽光パネル   約92万枚 (採用パネルメーカー未公開)
電力供給量   約23万キロワット (一般家庭7万世帯分の電力を生み出す)
ソーラーパネル   約89万枚の「結晶シリコン」パネル (メーカー不詳)
インバーター   GEの「1MW出力のブリリアンス・ソーラー・インバータ」 94台
2015
1月10日 岡山初カラフトワシの飛来が、錦海塩田跡地で下旬まで確認される。2月中旬にも再度確認。
3月3日 事業者「瀬戸内kirei未来創り合同会社」宛てに、「錦海塩田跡地の自然環境の保全に関する要望書」を提出し、オオセッカの保全を要望した。
「オオセッカは環境省レットリスト絶滅危惧TB類に指定され、種の保存法では国内希少野生生物に指定されています。また国内生息数は約2,500羽と推定され、日本固有亜種です。」
3月29日 「チュウヒの繁殖行動がみられたので、事業者に工事が繁殖活動に影響が出ないように配慮して下さい。」の依頼をした。 
4月6日 事業者より「チュウヒの繁殖活動を確認しました。工事は配慮して行います。」の返事があった。 
4月25日 チュウヒは抱卵にはいっている様子だったが、5月繁殖に失敗した様子。 
5月5日 野鳥おかやま誌上で「錦海塩田跡地でのオオセッカの越冬記録」を公開した。
 <注> オオセッカ とは?
5月11日 瀬戸内Kirei未来創り合同会社は、塩田跡地内を東西に走る約2.5kmの中央排水路の整備工事を完了し、所有者の瀬戸内市に引渡しを行ったと発表した。
6月6日 ・「2014年度 岡山県における越冬期のチュウヒ類調査報告書」発行。 
6月20日 ・瀬戸内市に自然保護区への立ち入り申請の許可を取ってあるので、「チュウヒが繁殖に失敗した営巣地へ調査に入った。」 
10月 開発予定地外の自然保護区域に重機が入り改変されていた件で意見書を提出した。 
  事業者側もこれを認め、重機で削った地表の復元を行った。
  「繁殖期のチュウヒ保全に関する要望書」を事業者へ提出。写しを環境省、岡山県、瀬戸内市へも提出した。 
  事業者からは「繁殖期のチュウヒ保全につきまして貴重なご意見ありがとうございました。『自然保護協定』に沿ってモニタリングを行い、影響が無いよう検証を行いながら、環境にやさしい工事を進めます。」との回答をもらった。
10月  事業者が実施する環境調査報告書「錦海塩田跡地 希少野生動植物モニタリング調査結果」(平成27年10月)を入手しして。気づいた点について以下の要望書としまとめて、提出した。 
11月10日 ・「錦海塩田跡地におけるチュウヒ繁殖期報告書」を作成。
12月8日 ・パネル設置工事が進んでいる。採餌場が大幅に消失している。
・瀬戸内Kirei未来創り合同会社へ「錦海塩田跡地における繁殖期のチュウヒの保全に関する要望書」を提出した。 その内容は以下の通り、
・繁殖個体の飛来から繁殖行動の終了までの期間を一括して評価している。春先の繁殖行動開始時期とヒナが巣立つ初夏の餌環境は異なっているのに同一視している。
・初夏育雛期の餌環境は牧草地が大きく貢献していたが、現在はソーラーパネル設置区画で整地されてしまっている。
3  ・ このように工事による影響が大きな区域でのチュウヒ活動結果が欠落して餌採行動を過小評価する結果となっている。
12月25日 事業者より、要望書に対する簡単な「回答書」が届いた。
「塩田跡地は、自然保護協定に基づき調査をおこなっています。今後も調査を継続してゆきます。」というだけの内容だった。
 年末の
状況
・事業者によるパネル設置場所の整地が進み、周囲のフェンス設置も終わりました。
・事業区域と自然保全地域の区分けが明確になりました。
跡地活用計画図
錦海塩田跡地活用事業「太陽のまちプロジェクト」の推進について 
 〜跡地の安全管理と活気があり安心して暮らせるまちづくり〜
( 瀬戸内市 平成27年2月発行 )より転載
今後、事業者は主としてパネル区域内を、そして自然保全地域は瀬戸内市が管理することになるとの事です。瀬戸内市では、どのようにこの自然保全地域を保全して行くのかまだ明確な案を持っていません。皆さんからの保全案を提示して頂かなければなりません。よろしくお願いします。
 牛窓オリーブ園から錦海塩田跡地の中央部を撮影(2015/05/03撮影)
写真の奥側(北側)での整地作業が進み、土が露出して茶色に見える場所が増える(2015/07/12撮影)
写真の手前側(南側)での整地作業が進み、土が露出して茶色に見える場所が増える(2015/09/05撮影)
全域で整地作業が進み、ソーラーパネルの土台(白っぽいブロック状のもの)の設置が進む( 2015/11/01撮影)
 整地場所には重機が入り、ソーラーパネルの土台の設置が進む(2015/11/01撮影) 
土台の設置に加え、パネルのフレームの設置が進む(2015/12/06撮影)
パネル設置予定区の草地はすべて刈り取られており、地面が露出し、土台の設置も進む(2016/01/09撮影) 
パネルのフレームの設置が急ピッチで進んでいる(2016/01/09撮影)
 シカ除けの電気柵を飛び越えて走るシカ、手前はソーラーパネルのフレーム(2016/01/30撮影) 
 
 フレーム設置が進み、採餌環境が減っていくチュウヒ(2016/02/20撮影)
 ノスリも越冬しています (2016/02/20撮影)
2016
1月19日 ・瀬戸内Kirei未来創り合同会社の工事が進み、パネル設置区域と自然保護区との区分が明確になり、自然保護区の管理は瀬戸内市となった。
・よって、瀬戸内市より「錦海塩田跡地自然保護区への立ち入り許可」を平成28年1月20日〜3月31日までもらった。
4月6日 ・瀬戸内市より「錦海塩田跡地自然保護区への立ち入り許可」を平成28年4月1日〜平成29年3月31日までもらった。
6月 ・「錦海塩田における越冬期のチュウヒ類調査報告書」(2015年)を発行。
6月13日 ・瀬戸内Kirei未来創り合同会社へ「錦海塩田跡地におけるチュウヒ類の保全に関する要望書」を提出した。
 内容は、「1.チュウヒの繁殖に及ぼす工事の影響評価を見直すこと 2.ハイイロチュウヒなどの稀少種の保全対策を行いこと」
・瀬戸内市 武久顕也市長 宛「錦海塩田跡地における鳥類の保護・保全に関する要望書」を提出。
「今期はチュウヒが繁殖しなかった。オオセッカの保全を要望」という内容。
7月12日
瀬戸内Kirei未来創り合同会社よりの回答が届く。
1.チュウヒの繁殖に対する工事の影響評価について:平成28年のチュウヒの繁殖行動は残念ながら確認されませんでしたが、建設工事とチュウヒの繁殖がなかったことには明確な因果関係は確認されませんでした。さらなる調査を継続します。
2.ハイイロチュウヒなどの稀少種の保全対策を行いことについて:ハイイロチュウヒやオオセッカ等の稀少種については、湿地環境を改変せずに維持してゆくことが重要と考えています。
3.今後の対策について:第三者(複数のチュウヒ専門家)の意見ヒアリングを行います
7月20日 ・瀬戸内市 武久顕也市長より「錦海塩田跡地における鳥類の保護・保全に関する要望書」について、「自然保護協定の遵守を基本に、環境省のチュウヒ保護の進め方等を参考として、これまでのチュウヒ保護対策を検証するとともに、必要に応じた追加の対策を講じるよう、事業者を指導しているところです。太陽光発電を軸とする錦海塩田跡地活用と自然環境の保全の両立を目指してまいります。」の回答あり。
7月27日 ・瀬戸内Kirei未来創り合同会社に対し、「錦海塩田跡地のチュウヒ保護対策に対する第三者(アドバイザー)の意見たるものを我々にも提示して欲しいと」要望書を提出した。
8月16日 ・7月27日に要望書を出していた「第三者の意見〜有識者ヒアリング結果」が届いた。その内容は、
錦海塩田跡地の環境について
・事業計画を踏まえ、チュウヒの生息環境を可能な限り保全していると思われる。
・営巣地が確認された周辺のヨシ原を改変しておらず、繁殖しなかった理由が推察できない
・保全されたヨシ原には、2〜3つがい生息できる面積がある。
・ハビタットの環境もチュウヒの営巣や狩場として利用される可能性が考えられる。 
採餌環境の減少について
・採餌環境が大きく減少していることは事実であるが、事業計画を踏まえ、チュウヒの生息環境を可能な限り保全してもらっていると思う。
・ハビタット創出事業も行われており、生息環境・採餌環境への保全が図られている。
・ここのチュウヒは、カヤネズミを主要な餌としているので、ハタネズミを餌としている他所のチュウヒより餌量は少ない環境であると思われる。 
チュウヒの定着について
・他県の環境と比較すると、錦海塩田跡地の環境も面積も条件としてかなり良好である
・今後もチュウヒが生息する環境を継続して保全する必要はある。
8月23日 ・「第三者の意見〜有識者ヒアリング結果〜」を受けて、県支部として問題と思われる点について再度の意見を提出した。その内容は、
1 ・「繁殖できなかった理由が推察できない。」は理解できない。工事前と工事後のチュウヒ行動範囲を比較しているのか?
・問題は「餌量は少ない環境であると思われる。」としながら、「環境も面積も条件としてかなり良好である。」としているが、採餌環境が貧弱であるから繁殖に至って いないのではないか。
・アドバイザー諸氏はチュウヒの繁殖可能性について、錦海塩田跡地をしっかり観察されていないため、認識不足の点がある。この塩田跡地を理解した上で再度考察をお願いしたい。
10月4日 ・太陽光発電所の基礎工事が終了し、太陽光パネルの第1枚目設置式が催された。これから順次、総数89万枚のパネルが設置されて行き、2019年に運転開始予定、出力23万kw、一般家庭7万世帯分とのこと。
11月30日 ・事業者より「平成28年 錦海塩田跡地 稀少野生動植物モニタリング調査結果報告書」の提出があった。 その内容は、
・4月段階で定着ペア確認されず、繁殖行動が確認されなかった。
・5月及び6月に若鳥の存在が確認され、これらの個体が定着することが期待される。
・錦海ハビタットは、チュウヒの餌場創出を目的としている。今後もモニタリングにより餌生物の生息状況を把握する予定である。
この内容は、「チュウヒは、繁殖期においても繁殖活動を確認されなかった。」としながらなぜ繁殖しなかったのか?の考察がされていなかった。事業者の都合の良いように結果総括しているのではないか。
・この報告書に対して、県支部から「繁殖に必要な餌状況の把握の必要性について」意見書を提出。 
・パネルの設置場所でのハンティング確認回数は、パネル設置前よりも減少していることについて何の評価もしていない。
・営巣地とハンティング確認位置について評価している月を4月〜5月だけに限定している。本来、繁殖地には育雛期も含めて6月〜7月が評価に含まれていないのは影響評価としては不適切です。
・保全エリアの考え方に採餌環境が含まれていないのは不適切です。 
 等々の内容ですが、まだまだチュウヒ保護に関して事業者とのズレが大きく問題です。
・本当にチュウヒが繁殖できる環境を作りだしてやることができるのだろうか?歯がゆい状態。
2月24日  この地では、オオセッカ(日本固有種)の冬期生息が、今年も確認されたので、岡山県はオオセッカを「絶滅危惧T類」に追加指定した(環境省:絶滅危惧TB・種の保存法:国内希少野生動植物)
 
ソーラーパネルの台座が設置されて行く(2016/07撮影)
 
牛窓オリーブ園から一面ソーラーパネルの台座で埋めつくされた錦海塩田跡地(2016/10/15撮影)
2017
 メガソーラーの発電パネルを設置したことでチュウヒの繁殖期の餌場環境が悪化し、子育てに必要な十分な餌の確保が難しく「繁殖行動」が観察できない状況である。よって事業者に改善を何度も要望しています。
5月18日 「錦海塩田跡地における繁殖期のチュウヒの保護に関する至急の要望」を提出して、チュウヒの主要な餌となるカヤネズミや草原性の小鳥類等の生息できる環境を再度構築して頂くことをお願いしました。
6月7日
事業者よりの回答: 「チュウヒ環境について」
チュウヒの繁殖中断は工事開始以前から確認されていて、ただちに工事の影響とは決めつけられず、それ以外の要因を考察するのが適切です。餌場環境の一定の個体を維持するためのボリュウムは存在しているものと考えます。
7月10日
支部より事業者宛に: 「6月7日付け、チュウヒ環境について」
年月 事業の進捗 チュウヒ類の様子
2012年 工事なし チュウヒ:繁殖行動あり (巣立ちヒナ)
2013年 工事なし チュウヒ:繁殖行動あり (つがい形成なし)
     越夏個体あり
2014年
11月
ソーラー事業の着工・土砂搬入・草地刈り取り (〜 2015年2月) チュウヒ:繁殖行動あり (抱卵中失敗)
     越夏個体あり
2015年
10月
発電パネルの架台(フレーム)の設置開始 チュウヒ:繁殖行動あり (抱卵中失敗)
ハイイロチュウヒ:越冬個体数減少
2016年
11月
発電パネル設置開始
(〜 2017年も継続)
チュウヒ:繁殖行動なし
     越夏個体数減少
2017年
5月
発電パネル設置継続中 チュウヒ:繁殖行動なし
     越夏個体なし
上記の観察記録から、工事の影響は多大であり、現状では繁殖は難しいと判断します。
「自然保護協定」に沿って、事業の見直し検討を要望します。
9月15日
事業者よりの回答
ご指摘頂いた「チュウヒの繁殖に対する影響」については、有識者から「錦海塩田跡地は、隣接して繁殖するつがいが見られない、孤立した1つがいの単独営巣であり、このような地ではつがいが営巣しなくなると翌年繁殖行動を行わない傾向がある。」単に工事の影響のみではないと、ご指導をいただいている。生息環境の維持に努めてゆきます。
9月21日 今年9月に、チュウヒは種の保存法で「国内希少野生動植物種」に指定されました。それに基づき、事業を展開する「くにうみアセットマネジメント(株)」以外の国内株主「東洋エンジニアリング(株)」「(株)中電工」へも、法を順守してチュウヒを保護して頂くようお願いをしました。
これに対する回答はありません。
12月9日 「種の保存法」の趣旨を理解して頂き、発電パネルの設置面積を縮小するように、要望書を提出しました。
11月18日 ・「チュウヒサミット 2017」で、
岡山県錦海塩田跡地の事例として、「メガソーラー建設によるチュウヒへの影響」を報告した。
2018
 支部より
要望
 チュウヒの繁殖行動は、今年も観察されませんでした。
そこで、事業者に対し以下の2点を要望した。
@  発電パネルの設置面積を縮小すること。
A  錦海ハビタットの評価を見直すこと。 
 〇さらに、岡山県と瀬戸内市に対して、チュウヒの保護に対し適切な行政指導を要望した。
岡山県からは、
   「チュウヒの繁殖活動が確認できないので自然保護協定に定める事後1年間のモニタリングを3年に延長するように、指導を行いました。」と、回答があった。
瀬戸内市からは、
 「正確性および整合性に留意して報告書を作成すること。環境省の「チュウヒ保護の進め方」を参考に事業完了後3年間はモニタリングを実施するよう依頼した。」と、回答があった。
 錦海塩田跡地メガソーラーは、11月中旬より本格稼働に入りました。
瀬戸内市との最終確認会議が行われました。
<武久市長のお考え>

  ・太陽のまちプロジェクトの推進に関しては、今後、市民の方々から、いろいろなご意見等が出てくると思う。
・その中で、建設的、かつ市にとってメリットのある提案については、前向きに受け止めながら取り組んでいける部分もあると思う。
・錦海塩田跡地のみならず、このメガソーラーの太陽光発電所がより良いものになるよう、つまり、経済発展と環境の保護の両立が図られるようにという意味での提案については、市・事業者・関係者等で必要に応じ、検討していきたい。
  最終確認会議 : 質問事項と回答
 
質問1 「チュウヒ保護委員会」の役割と今後の活動方針について
回答 (事業者から)
「チュウヒの飛来が確認されている中、繁殖行動につながるよう、引き続き、現状の体制の中で、対応していきたいと考えます。」
質問2 チュウヒの繁殖保護に対する市の取り組みについて
回答 (瀬戸内市から)
「自然保護協定を重視しながら、これまでの環境保全対策を持続し、県・事業者とも連携して、チュウヒに代表される稀少種の保護につながるよう、長期的な視点で自然環境の保全に取り組み、以て、太陽光発電施設と共存できる環境を作りたいと考えています。
質問3 自然保護区域を維持するための基金設立等について
回答 (瀬戸内市から)
「自然保護区域の活用につきましては、教育面から見た自然保護の区域の啓発と、持続的に維持管理しなければならない排水設備の意義の両面から、実現可能にするためにはどのような形が望ましいのか、必要となる財源も含めてしばらく時間を頂きたい。
質問4 「錦海ハビタット」の機能検証について
回答 (瀬戸内市から)
「塩田跡地に生息していた稀少種の保全と太陽光発電施設との共存の観点から、必要最小限での人の手を加えた事業です。その後においては、稀少種生息状況をどのように把握するかとこう事に関して、継続的な検証の必要性は認識していますが、その頻度や必要な経費については、今後の検討課題とさせていただきたい。
 
2019
3月5日
 支部より事業者宛に
「錦海塩田跡地希少野生動植物モニタリング調査結果報告書に関する要望書」
 平素より、自然保護および野鳥保護に対してご理解を頂きありがとうございます。貴社による希少鳥類のモニタリングや保全対策など意欲的な取り組みが実施されている一方で、種の保存法に指定されているチュウヒの繁殖行動は2016年以降観察されない状況が続いています。錦海塩田跡地におけるメガソーラー事業が、真に自然との調和のとれた事業となるよう、標記の調査報告書(平成30年11月作成)の内容を踏まえた要望をいたします。
  1.チュウヒの繁殖再開に向けた十分な考察と対策をお願いします
 メガソーラー事業後にチュウヒの繁殖行動が見られなくなったことの原因について標記の調査報告書では十分な考察が行われていません。また、今後の繁殖再開に向けた対策についても書かれていないことから、チュウヒの繁殖再開に向けた行動計画案を示していただけないでしょうか。
 提案として、本事業を開始する前に「錦海塩田跡地活用 基本計画」を策定されています。環境保全措置の検討において、まずチュウヒの環境保全を上げられて、チュウヒが営巣していることは特筆すべきことである。と謳われ、アニマルパスウェイを整備し、 ヨシ原の水位を安定させ、チュウヒの餌場を創出する。とされています。さらに、チュウヒの餌場創出に当たっては、ネズミ類と小鳥の生息環境を創出する。チュウヒのハンティング効率を高めるたに一様なヨシ原でなくスゲ類やエノコログサなどが生える環境創出を考えておられました。今後事業実施に当たってのフォローアップ作業に入られる訳です。当初計画した事項がうまく働いているか、環境が創出されているか。チュウヒの餌場で十分な餌の供給がなされているか。さらに、チュウヒが繁殖行動に入らない要因は何かを検討して頂き、本年または来年の春には営巣して若鳥が巣立ったとの報告を頂きたいと思います。
  2.錦海ハビタットの評価方法の見直しをお願いします
 標記の報告書のページV-3に「オオヨシキリをはじめとするヨシ環境を好む種の生息数が増加する傾向が確認されており、これにより、チュウヒがハビタットをハンティング場所として認識し、利用回数が増える傾向になったものと考えられる。」と書いてありますが、報告書の記録を見限り、これは考察間違いです。「越冬期のチュウヒがハビタットを利用していること」と「ハビタット創出した直後からの時期に関して言えば、ハビタット内でのオオヨシキリが増えている」ことは、貴社の調査で示されて
います。しかし、オオヨシキリは錦海塩田跡地において夏鳥であり、ハビタットでオオヨシキリが増えてきた近年については、夏期にチュウヒは観察されていません。このように、越冬期のチュウヒの状況と、繁殖期のオオヨシキリの状況を混同した記述は、調査報告書の読み手に事実誤認を与える不正確な記述となりますので、該当文章の修正を要望します。
4月2日
事業者より回答
 本事業の実施にあたり、事業者としては、再生エネルギー開発と自然環境の保全の両立を目指し、岡山県、瀬戸内市との協議を経て、また貴会からのご意見も踏まえて、専門家に意見を求めながら、モニタリング調査の継続、チュウヒ保全対策の実施に努めております。貴会からの上記要望に対し以下のとおりご回答いたします。
・チュウヒの保全につきましては、事業開始当初からチュウヒの専門家にご意見・ご指導を賜り、環境保全措置を検討し実施してきております。引き続き、チュウヒの専門家にご意見を伺いながら環境保全措置を実施し、チュウヒの生息環境の維持に努めていきたいと考えております。
 ・錦海ハビタットの評価につきましては、ハビタット内の環境が順調に遷移していることを示すため、ヨシ環境を好む代表種として、カヤネズミとともにオオヨシキリの生息数が増加したことを記載したものであります。オオヨシキリの増加がチュウヒのハビタット利用増に直接関係するものと誤解を招くような表現がありましたので、今後作成する報告書においては留意して記載したいと考えております。
 ・発電所の営業運転開始後の3年間につきましてはモニタリングを継続いたしますが、その後の対応につきましては、今後の調査結果等を踏まえ、チュウヒ専門家と協議・確認を行いながら、改めて検討したいと考えております。
チュウヒとオオセッカの
状況報告
 1.チュウヒ (錦海塩田跡地)
・2019年4月末時点で、錦海塩田跡地での繁殖行動は観察されず(×)
・4月の滞在個体も1〜0羽の状況なので、今期の繁殖の可能性はほとんど無し
・2018年度越冬期の多田調査報告書は、7月までのメドに作成予定
・2019年5月以降は月2回の調査で、越夏個体の有無を調査予定
 2.オオセッカ
  ・2018年度越冬期には錦海塩田跡地のみで生息を確認(〇)
・児島湖や倉敷川での今季の調査では、生息を確認できず(×)
・児島湖や倉敷川では年によってヨシの生育密度や倒れ具合に差があり、今季はヨシの状態があまり良くなかった印象
 
6月11日 支部より事業者宛に
 至急のご相談・お願い事項です。
  現在、錦海塩田跡地の太陽光発電パネル設置場所での草苅を実施されています。
 草刈の実施において、大きな問題が生じています。
    パネル設置場所において、多くの野鳥たちホオジロ、オオヨシキリ、セッカ、ウグイスなどが営巣して子育てをしています。また、これらの小鳥たちはチュウヒ の餌対象となっています。この繁殖期に草刈を実施するのは、これらの小鳥たちの 生息数を激減させることになります。今までのこの様な時期に草刈をされてきたのでしょうか。いくらチュウヒが繁殖できる環境を整えます。と言われても 全く、チュウヒの繁殖環境整備への対応ができていないと言わざるをえません。貴社のチュウヒアドバイザーは何をされているのでしょうか?と疑問に思います。
 貴社として、今の草刈は発電事業に大切な作業なのだとは思いますが、チュウヒが繁殖できる環境整備の方が貴社にとって瀬戸際の大切な事項ではないでしょうか。
 お願いです。草刈の時期をもう少し遅らせて実施して下さい
   事業者からの回答 「繁殖時期の草刈りについて」
 本事業の実施にあたり、事業者としては、再生エネルギー開発と自然環境の保全の両立を目指し、岡山県、瀬戸内市との協議を経て、また貴会からのご意見も踏まえて、専門家に意見を求めながら、モニタリング調査の継続、チュウヒ保全対策の実践に努めております。
 草刈りに関するご相談・お願い事項に関しまして、事業者としての考え方について、以下のとおりとなっております。
・発電所内における草刈り作業については、が繁殖期に確認された場合は、保全エリアやコンディショニングエリアにおける草刈り作業の制限を行うように決めております。この度は、残念ながら繁殖期におけるチュウヒの生息が確認できなかったため、有識者にも確認を行いながら、通常の草刈り作業の実施を決めたものであります。
・今後につきましても、事前に取り決めた草刈り作業に関する対応方針に基づいて実施する予定です。
  ・なお、チュウヒや餌となる生物が定着的に利用できるように、引き続き、生息環境の維持に努めていきたいと考えております。よろしくご理解の程お願いいたします。
くにうみアセットマネジメント株式会社 瀬戸内Kirei太陽光発電所サイト事務所 
 
2022
2月 メガソーラービジネス(日経BP社)で、
「235MWの国内最大メガソーラー、まちづくりと環境保全に貢献」と紹介
 
資 料
 1.錦海塩田跡地の調査   (S62/11月 やませみ 岡山県支部創立10周年記念誌より)
経緯 ・旧邑久町と旧牛窓町にまたがって広がる錦海塩田は昭和30年代に錦海湾を干拓して造られた流下式塩田だった。ところが、昭和40年代後半には、製塩方式がイオン交換方式に代わり、使われなくなった塩田はたちまちアシのおい茂る広大な荒地と化した。
・こうして現在の錦海塩田跡地ができあがった。昭和47年秋、ここへ初めて足を踏み入れた丸山支部長は、シギの多さと下流式塩田の竹組の上に並ぶアオサギの多さに圧倒されたと述懐している。
目的 ・岡山県支部が当地に目を向け始めたのは、昭和55年に初めてここで探鳥会を開いてからのこと。支部では発足当時から、県内にもサンクチュアリを作りたいという希望を抱いていた。その実現の方策を探ることになった。そこで、広大な当地の鳥相を把握するには、春秋のシギ・チドリ調査だけでは不十分なので、昭和57年4月より、岡大野鳥の会の全面的協力により、月に1回調査を行うことになった。
結果 ・1年間の調査の結果で、30科に122種の野鳥が確認され、改めて当地の鳥相の豊かさが実証された。なかでも、チドリ類7種、シギ類28種が確認されたことは、旅鳥の中継地としての当地の重要性を一層うきぼりにした。また、シギ・チドリ類の個体数については、ピーク時で900羽という数字になり、県下では最大にして唯一の大規模渡来地といえることがわかった(図−9)。
・また、ガンカモ類については、11月15日の狩猟解禁までは数が増え続けるが、解禁と同時にほとんど皆無になっている。しかし、2月の狩猟終了とともに再び増え始めるところをみると、狩猟が行わなければ、1000羽以上のカモ類が越冬するものと予想された(図−10)。 
・サギ類は、春秋に数が増えていて、当地を渡りの中継地にしている様子がうかがえた(図−11)。すなわち、ヨシゴイを除いたサギ類は当地では繁殖しておらず、餌場、休息地として利用していると思われた。また、この調査で繁殖を確認した野鳥は、可能性のあるものを含めて、8種あった。 
その後
・昭和62年現在、当地をめぐる状況は調査当時と比べ、悪くなる一方といえる。調査結果をもとに行ってきたサンクチュアリ化の運動は、土地所有者の同意を得られないことで挫折し、一方で、大規模な埋め立て工事は日ごとに進んでいる。こうしたなかにあって、支部では今年(昭和62年)の春から、変貌著しい塩田跡地の調査(シギ・チドリ類のみ)に再びとりくんでいる。しかし、その結果は、野鳥生息地としての当地の衰退を物語るデーターをつみ重ねるばかりで、前回の調査を知る者にとっては非常に残念な状況となっている。  (大塚利明) 
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