10/15//2007 展覧会案内・感想  
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良寛展(倉敷市立美術館)坂田一男展(岡山県立美術館)

倉敷市立美術館-特別展「良寛−生誕250年記念−」
 2007年10月 5日(金)-11月18日(日)
 岡山県立美術館-「坂田一男展」
 2007年 9月28日(金)-11月 6日(火)

 

それぞれ入場券表
■ それぞれ入場券表
 

■ 良寛については説明する必要もないほど有名ですね。生誕250年を記念しての展覧会です。大きな文字だけのもの、小さな文字が延々と続くものなど、それぞれ額や軸装仕立てであったり、手紙のようなものを張り混ぜた屏風であったりと、大きさも作風も書かれている字も様々です。
使われている紙質も含めて、それぞれ興味深いのですが、私が一番気になったのは小さな文字が延々と続く作品です。筆の先に自分自身の神経が来ていないとあのように淡々と描ける物ではありません。当たり前のことを当たり前にしている凄さに感心するばかりです。
現在、普通に暮らしていると筆で文字を書くなどということは滅多になくなりました。もちろん筆・墨の感触も多くの方々はほとんど知らない世の中です。
この国の貴重な文化です、筆や墨、紙との関係など、もうすこし伝えて行くことが出来ればと思うばかりです。

日本画家安田靫彦による良寛像も展示されています。

■ 岡山市生まれの画家、坂田一男(1889〜1956)は知る人ぞ知るという画家かもわかりません。岡山県立美術館では今回のような企画展ではなくとも、少なくとも一枚はいつも(常設展で)飾られている作家です。この国の抽象絵画の先駆者と呼ばれる作家です。

これまでこれだけまとめてこの作家の作品を見ることはありませんでしたが、時代を追って、並べられた絵の変遷の様子は、彼のひたむきさをとてもストレートに表しているように思いました。

エスキース、習作、黄ばんだ紙の上に残された無数の線、消された跡、その試行錯誤の様子が生々しい記憶として残されています。

馬鹿でかい作品が無かったことにも好感を持ちました。

妹さん宛への手紙、葉書などに書かれた文字の几帳面さ、内容の素直さが響きました。

前衛とははたして何か?彼が今の時代を見たらどのような文面をつづっただろうと思いました。
 

 


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