森山知己ロゴ
4/4//2009  「無い」から始める日本画講座

描き込みと調整 その2

■ 描く対象物に具体的な絵の具を加え完成に近づけます。一筆一筆にこれで完成といった意識をもって描き加えます。

bin040501.jpg

丁寧に溶いた仕上げの胡粉を花びらの外から中に向かって片ぼかししながら花びらをそれぞれ描き起します。

花びらの重なりを意識して後から前にと順序だてて描きます。ぼかし具合、どこまで胡粉を伸ばすかといったところが勘所です。前に塗った部分、暈かしで水がついた部分が完全に乾いてから重なる部分に色を入れます。

 
花全体に胡粉を入れた後の描き起し
>> 花全体に胡粉を入れた後の描き起し (46.09KB)

花びら全てに胡粉を入れ、描き起しが出来た状態に再びごく薄い濃度の洋紅を使って部分的に隈を着けメリハリをつけます。

 
葉に調子をつける
>> 葉に調子をつける (51.45KB)

葉の描き込みを進めます。
掘り塗り、片ぼかし、たらし込みで作った塗りの多様性が画面全体の調整作業でまとめられています。今度はより大きな葉のまとまり、中心の葉脈の左右、葉の全体の縁の部分といったところをまとめるようにガンボージ、藍をそれぞれの場所に応じて色を混ぜて作り、葉一枚一枚に実感を加えて塗ります。
この作業にほんの僅か墨を加えると色身に深さが出ます。

注意することは一度に強い色、調子を作らないことです。

枝にも色を入れ、葉も全体を見渡しながら描き足します。

 
bin040405.jpg

棒絵の具、胡粉を使った描き込みが終わり、完成が見えて来ました。


このあとは、シベを描いたり、葉脈を描き込んだり、岩絵の具を葉に彩色する仕上げの段階に進みます。

このあと画面全体で大きく色を変更しなければならないといったことが無いように、ここまでの段階で画面全体をまとめ、仕上げではそれを壊さないようにします。