新しい日本画
狩野派の技法を受け継ぐ市川守静が残した技法書「丹青指南」(大正4年ー1915年)。明治維新(1868年)から40年以上を過ぎ、世に見る絵画の彩色への危惧から狩野派の技法を残すべく口述筆記されたのでした。それから約10年を過ぎた大正15年(1926年)、東京美術学校の校友会雑誌に付録として付けて配られたのだそうです。(丹青指南 序より)今回紹介する「日本画実習法」は、そのあと(翌年)昭和2年に発行された本です。この本の序文を読むと、川合玉堂、藤島武二、当時の日本画、洋画の両大家、東京美術学校の教授、権威者によって書かれたそれぞれの技法書のうちの一冊、日本画編であることがわかりました。また、日本美術院発行の講義録、アルス発行の「大美術講座」などを資料としてまとめられた本だと書かれています(書画骨董業書刊行会編成部識)。今回、縁あって、この本を手に入れました。本のタイトル通り、日本画をいかに学ぶか、その方法が書かれています。いくらかでも習熟がないとなかなか伝えにくいと思われるようなことを、出来るだけ具体的に書くことによって多くの読者に伝えようとする気持ち、熱意が伝わって来ます。勉強方法の具体的な紹介は、著者が「日本画とは何か」について明確なイメージをもっていたからこそできたのだと思います。このサイトで最近考えていること、臨画、真似てみることによる学び、線のことなど、まったくすっきりと書いてくれています。物事には出会いの時というのもありそうです。今だからこそ、素直に読めるのかもわかりません。「新しい日本画」<第五編 花卉鳥獣の描法 上 一,写生法>について、玉堂の考えが書かれていました。それは、写生から違うのだと。※これからおりにふれ、この「日本画実習法」の要点を備忘録をかねて紹介しようと思います。
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