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7/26//2009  レポート

日本画実習法 第三編 一般画法

■ 川合玉堂の著した「日本画實習法」はたして「日本画」の何が変わって、何が変わっていないのか。気になる部分を備忘録がてら感想など。その5
  

一、礬水法    (注:はんすいひき-ドーサ引き)

<礬水引の方法>
胡粉をこねることと同じく画家ならば知って置くべき事のひとつである。(偉そうに初心者が経師屋に頼むようではだめだ)

<礬水の作り方>
水1合に膠1匁、明礬5分
(水180ccに膠3.75g、5分とはその半分、約2g程度となると思われる)
炎暑の頃はすこし多く、冬は弱めに。

<礬水の濾し方>
膠はゼラチンより三千本が効きがよい。
(水1合に三千本、1本から1本半)との補足説明あり。
具体的引き方、乾かし方の紹介

<礬水の引き方>
注意する事は、天候!。
晴天の日に日当たりの良いところで障子を閉め切って行う。
(曇った日とか夜に引くと効きが悪い)
紙なら少々悪いドーサでもよいが、絹は1度で効かすべきで、何度も引くようでは絹の状態を悪くする。

<絹への引き方>
紙に引くよりも多少薄めに。明礬も少なめに。
表に二度、裏一度引く。裏に引くのは裏具を行う事が有るからだ。
絹枠に張る時、絹はドーサにより一割程度縮むのだから、枠に張りこむ段階で決してピンと張ってはならない。
絹枠に絹を張った部分は濡らしてはならない。一度外れると、この強い絹の張力によってもとに戻しにくいからである。
ドーサ用の刷毛と塗刷毛は必ず別のものにすること。


※ドーサの濃度が思いのほか濃い。水1合に対しての膠も明礬の量も現在の設定より多いようだ。当時、ドーサを引く行為も、すでに絵描き、画家といった人間はすでに経師屋などにまかせるようになっていたようだ。42ページ

次回は二、運筆法 から。