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8/8//2009  レポート

日本画実習法 第三編 一般描法 三、臨画法

■ 川合玉堂の著した「日本画實習法」はたして「日本画」の何が変わって、何が変わっていないのか。気になる部分を備忘録がてら感想など。その7

三、臨画法
<手本の学び方>
 

運筆の練習を実地に応用して臨画をかく。
臨画は必ず手本に似せてかかなければ臨画としての効用をなさない。もし手本をみないでまたそれに拘束されずにかこうと思えば、勢い写生をしなくてはならない。

写生なら臨画と違って実物本位にすすむからよいが、臨画となるとそうはいかない。臨画はただ手本に似せてかくために練習する。つまり手本のかき様を覚える為に習うもので、そのとうり筆を動かしてゆけばよいのである。

すこしでも手本と相違していればそれはよい臨画とはいえない。
また、絵の形以外に絵の霊をも写し出さねばならない。

絵の霊とはどんなものかといえば、その絵の生命になっているもので筆の力である。
それは筆の感じともいえる。形以外に筆力を似せようと手本に忠実に筆遣いまで似せようとするのだ。

形と筆遣いさえ良かったらその絵はうまく出来るのである。

<臨画による描き方>
臨画はまず木炭をもって紙に大体のかたちをとる。
※基本的なデッサンの方法、大きな構成からはじまり徐々に細部を描き出す。最終的に形を正確に写し取れたら、最後は木炭をはらい、薄く残したら、はじめて筆で描き始める。

<筆かきの要領>
筆で描くということは木炭のように安易に消せない、やり直しが出来ないということなので、よく気を落ち着けて一筆ごとに心をこめて描く。

木炭はその形のみ正確に書けば良いが、筆はその気力をも描かねばならない。

※はたしてこの気力とはどんなものか?筆の緩急、肥痩。臨画ならただ真似ればよいが、写生からこれらを導きだすことが難しい。まずは手本より真似て会得するしか無い。

<線描について>
よくみれば一つの曲線にも中々運筆の味がある。それを見分けてかくというのが本当の稽古である。

※具体的な筆法の違いを葉とか幹、花の丸みなど例を挙げながら紹介。これらが自由自在に選択、描画出来るようになったら、臨画の練習は習熟したと言える。

<人物の描法>
人物の臨画では、まず完全に下書きが出来たら、第一は顔面を、ついで頭髪を、次に服装手足という順に描いてゆく。

※、具体的な作業の紹介、解らなくなったら自分自身の体を参考にして、正確に臨画すると紹介。



※ここで50ページ終わり。ポイントは「線に気力を見る」というところかと思う。臨画はとにかくそっくりに描こうと努力することで、シンプルな学習方法である。ただそのとき形だけを真似るのではなくそこに「霊」といったものを見る事が重要と書いてある。では、ここでいう「霊」とはいったいどこに見る事が出来るかといえば、それは筆の使い方だと言い切っている。その部分を真似ようとする事で「生きた」絵になる。他、具体的な絵を描く作業が紹介されており、「大切なところ、学びかた」が整理されている印象を受けた。

「筆法」が重要なのだという事が繰り返し出てくる。