硫化による表現その2
きっかけは、左DMの展覧会、榎本勝彦さんによる作品でした倉敷・GALLERY K 2011年11月17日〜27日立体作品のフォルム、漆を使った質感、ディスプレイの方法などなど興味を引かれた点は多々あれど、一部の作品で、木地に漆で銀箔を貼付け、硫化によって多様な色彩を加えていたのです。硫化に用いた材料は異なる素材でしたが、同じ硫化です。私の絵の中にも使えないモノだろうか?と実験してみる事にしたのです。
8月の個展で試みた硫黄粉による表現「江戸にあそぶ 銀の硫化による技法紹介」http://plus.harenet.ne.jp/~tomoki/newcon/news/2011/072901/index.html同じ銀箔平面なのに硫化した部分とそうでない部分の質感の違いが大きく、またコントラストも強く作成出来ました。
銀箔の厚みの違い、基底材へどのように着けるか反応時間による硫化銀の出来方の違いなどを実験しました。基本3日という反応時間の確保。それより反応時間が短いと硫化銀の出来方は箔表面のみで、硫黄粉と一緒に取れてしまうことも解ったのです。ただし、表面の硫黄粉を取ったとはいえ全ては取りきる事が出来ず、反応はそれなりに進みました。結果、同じ箔なのに硫化銀の厚みの違う場所が出来る事になったのです。
榎本勝彦さんの作品で見た様な色を出してみたい!!。と、試して作った表面です。和紙の上に銀箔を貼り反応させました。安定な硫化銀の反応色(黒、もしくは焼群青色)ではなく、こうした色合いと生な銀のコントラストが安定に実現出来れば、、、、。和紙の表面、微妙な繊維の凸凹まで感じられます。
同じく実験の過程で出来た表面です。多様な色合いを作れる事は解りましたが、安定に確実に狙った色をだすことは難しそうです。※工業的な商品としては、箔をガスで処理して様々な色を安定に広い面積で定着させた色箔が既にあります。個人で自由に狙った色を手作業で?確実に出すという意味で難しいのです。
硫黄溶液を洗い落とさず乾燥させた場合、表面にマットな質感が出来る事も解りました。
硫黄溶液の濃度、反応時間による色の差実験
硫黄溶液の濃度と反応時間の違い箔の厚みの違いなど実験実験過程で金箔の様な色合いが偶然出ました。(色、質感の比較用に本当の金箔を張ってあります)
淡いピンク色、マットな質感も作る事が出来ました。しかし、反応は安定に停める事は出来ず、進み、結果的に色が変化しました。
色々な色が出せた実験色を出す方法はある程度確認出来たのですが、安定な形、色として、はたして固定出来るか?この辺りが難しそうです。形をメインにした表現にはやはり硫黄粉を使った方が確実で、色の多様性を狙うならこの硫黄溶液による表現も考えられると言ったところでしょうか。
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