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11/23//2011  材料技法

「工芸的」という言葉と日本画・CGアニメ

■ 綺麗に(この形容からして使う事が難しい!)絵の具を塗るなんて事も含め、箔をきちんと押し(貼っ)たり、銀箔の硫化を使った表現なども含め、少し昔(といっても数十年以上前?)には、「こういった作業って(絵画における)芸術表現としてどうなの?」といったことが強く言われていた時代がありました。

ここのところ目にしたネット上の記事を読んでのあれこれ。
 
雨の倉敷美観地区 文章とは関係ありません
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いわゆる伝統的と言われるような技法を実際に試して描いていると、どうしても職人的な技術を要求される局面が出て来ます。

今日的に作品におけるコンセプトさえ満足させればよいと了解して、自分で出来る程度、もしくは必要ならば人に頼んでやればよいという考え方もあるでしょうが、私はもしかしたらあえて自から行うその作業の中に今日的な意味の発見もあるように思え、そうした可能性を感じて当時(すでに15年以上昔の話です)行っていたCG作成からは距離を取り、古典的な描法、材料・道具、暮らす自然との関係の世界にどっぷりとつかる様になりました。

その後、引っ越して来たこの地で関わった地域のネット環境構築などを通じて「メディア」についてや「伝える事」、また「身体と道具」といった関係性も含めていろいろと気づく事になったわけですが、一方で、西洋と東洋、価値観の在処についてまた考える事も増えた様に思います。

2011年11月12日 第2回 映像メディア学サミット
LOOP-02「マンガ・アニメの映像メディア学的再考〜なぜマンガ・アニメは面白いのか〜」
主催:東京芸術大学大学院映像研究科
第二部「アニメーションと日本の戦後社会」で押井守氏が語った内容を紹介した記事(asahi.com 11月21日「若者は夢を持つな」と監督が言った 文:小原篤さん)をきっかけとして現在ネット上で盛り上がっているとか、、、、。
残念なことにサミットの様子を伝える映像公開は終了しており、全てはこの記事を手がかりに読み取るしかないのですが、そのまとめで使われている言葉にはなかなか魅力的で惹かれるモノを感じました。(記事への直リンクを張りたい所ですが、リンクについては申請が必要なんて利用規程がありますので、、、ググってくれればすぐ出るでしょう^^;)

<表現形式が発展過程で「肉体や自意識をめぐるテーマ」をはらんでしまった(記事より引用)>このあたり大変興味深い指摘で、「工芸品的に細部を作り込む」「表層を細緻に描き込み磨き上げる」結果出来上がったのが「極東の島国の珍なる文化」と続くと、、、、、

勝手な感想ですが、「日本画と呼ばれている存在」と「日本アニメ」は、似た所があるのかも解りません。

だからこそ、、、その「技術の思想」を探してみたいわけです。

最初の話にもどって、当時何故CGによる映像制作から離れたのかというと、道具としてのコンピューター、ソフトウエアが「言葉の産物」であるということを私に強く意識させたからなのです。

古いと思われている材料、道具、表現の手法ではあっても、それを使う人間との関係、身体、捉え方として見直す事で、その変わらぬ作業の中から未だ言語化されていない今日的なあり方、意味を見つけられるのでは?というのが当時の思いだったのです。作業、材料がプリミティブであるが故に、その部分は変わらず(そうも言い切れない時代となって来ましたが、、、)昔の人と同じ事をすれば違いが出やすく見つけやすいと考えたのです。私にとってこちらの手法の方がより探しやすい、、、そのように当時考えました。
また、当時のCGアニメ制作には非力なパソコンの処理能力もあってとても時間を必要としました。時間の確保と資金力、初期の画材がそうであったように、権力の側でこそ最先端のものが使えたのです。
パーソナルコンピューターがコストダウンされていくのと同時に、ソフトウエアなどの周辺環境も整備されます。あるしきい値を越えれば最期はマンパワー。若い方々に体力的にもうかなわない、、、、、15年前そんなことを考えたのでした。もちろんCGによる表現が単なる目新しい存在からあたりまえの映像表現と認識されるであろう事を踏まえての事でもあったのです。ゲームなどのように、通信を使った表現、インタラクティブなものなど可能性はまだまだあるでしょうが、その実現の為の力、描くイメージ、この世界での「新しい言葉」の獲得はやはり若い力によるものだと思うのです。

 
CGアニメコンテストバナー
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という訳で?以下紹介。私も久々に顔を出す予定です。

http://doga.jp/

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    「CGアニメコンテスト」・「CGアニカップ」
  CGアニメ上映会を、12/3(土)東京中野にて開催
◇====================DoGA======================◇

 「CGアニメ コンテスト」の入選作品上映会が、首都圏では
3年ぶりに開催されます。
 今回は、関東のクリエイタ達の強い希望で、日仏のハイエンド
CGアニメが対決する「CGアニカップ」がついに実現!

■CGアニカップ 日仏親善試合 総集編(CGアニメコンテスト)■
日時 : 2011年12月3日(土) 19:00〜21:30(開場 18:40)
会場 : なかのZERO 西館 小ホール
    東京都中野区中野2−9−7
    http://nicesacademia.jp/facility/zero.html
詳細 : http://CGanime.jp/EX/
※入場無料・予約不要(来場者多数の場合、入場制限あり)

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◆【CGアニメコンテスト】
 国内で最も伝統があり、国内外で活躍するトップクリエイターを
多数輩出している、国内最大規模のデジタル映像コンテスト。
 今回は、今年の入選作の一部を上映する他、作者のトークも。

◆【CGアニカップ】
 国対抗の団体戦という競技的要素を盛り込んだ上映会。
両チームの作品を交互に上映し、来場者の拍手等によって
勝敗判定をしながら、先鋒戦から大将戦までの5試合を行う。
 今回は、京都で過去3度行われた「CGアニカップ」の30作品
から、さらに選りすぐった日仏5作品ずつ上映。

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  主催: DoGA 問い合わせ先: contest@doga.jp
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