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12/25//2013  ○Web吉備悠久

鷲羽山 倉敷市

■ 2002年(平成14年)1月13日(日曜日)山陽新聞掲載の吉備悠久は、倉敷市の鷲羽山を訪ねる企画でした。
 
瀬戸の新春
>> 瀬戸の新春 (129.41KB)

 倉敷市児島、私が高校まで暮らした街です。港まで直線距離にして約300m程度、幼稚園の頃は、まだ近くに塩田もありました。空気が澄んだ日には、四国がすぐ近くに見え、島までは泳いでもたどり着きそうに見えたものです。

 当時、児島には下津井電鉄という小さな電車が走っており、茶屋町、児島、鷲羽山、下津井と駅がありました(もちろん他にも途中の駅がありました)。児島を出発して岡山まで、途中JR宇野線に乗継できる茶屋町駅。反対側、下津井駅も下津井港へ向かう乗客がたくさん乗車していました。本島を経由して、香川県丸亀へ連絡船、フェリーへの乗り継ぎの記憶です。

 瀬戸大橋の完成により、港の機能も変わっていきました。そしてそれを繋ぐ鉄道の意味も変わったのです。観光スポットである鷲羽山、1月掲載の意味も考え、鷲羽山から見た初日の出をイメージした絵を描きました。
 

 
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鷲羽山から見た瀬戸大橋、夕焼けの情景です。

島影が重なり、複雑な陰影を作ります。巨大な橋の下には船が行き交う姿。早い海流。

巨大なこの構造物の完成、当時、東京からの帰省の折、なんだか自然を大きく変える存在としての違和感を感じたものでした。それからすでに四半世紀。

 
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下津井の町並み、荻野美術館入り口付近の様子です。紀田順一郎夫妻とご一緒した取材。奥様の後ろ姿を点景に加えました。

島影、穏やかな波、白い砂浜に松林。いわゆる白砂青松の海岸。

神奈川湘南の砂浜の色は違うと東京に出てから知りました。モノクロ写真、撮影にハレーションを起こす白い砂。岡山のカメラ好き、砂浜をいかに映しだすか、海を描こうとすれば、白飛び、ハレーションする困りものの白い砂。果たして関東湘南のカメラマンは何故あのような写真がとれるのだろう?と、首をひねったそうです。

いわゆる多島美の世界。中国からの旅行者は「日本にも大きな川があるではないか?」と、言ったとか言わなかったとか。

穏やかで恵まれた自然環境。
この豊かな自然に育ててもらったと思うのです。

十分に地域間競争力をもった自然、風景。瀬戸内国際芸術祭の開催もしかり。
2014年が平和で素晴らしい年となりますように。

※ここで紹介している画像は、作家・紀田順一郎さんとの共著『吉備悠久』(山陽新聞社刊、2006)に収録されたものです。
紀田順一郎さんの 鷲羽山(倉敷市)記事へは、以下リンクをクリックするとジャンプします。是非、ご覧ください。
http://plus.harenet.ne.jp/~kida/topcontents/news/2013/122601/index.html