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10/3//2014  材料技法

描法再現紅白梅図屏風の展示+二人展

■ 2011年にNHKの番組で行った尾形光琳作 国宝 紅白梅図屏風の描法再現模写が銀箔の硫化実験など、関連資料とともに現在、岡山県立美術館(地下展示室)で展示中(11月3日まで)です。また、10月13日(月)までは、ほど近いエスプリ・ヌーボーで榎本勝彦さんとの二人展が開催中です。
 
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岡山県立美術館 地下展示室の様子です。

正面に倣光琳屏風、展示ケースでは、絵の具などの材料、画材が並びます。箔も厚みの異なる銀箔や、金箔、参考としてプラチナ箔などが展示されています。
 
また、実際に銀箔の硫化を使った流水部分の再現を行った後、残った銀色部分と一体として再度銀箔部分全体に硫化処理を行うことで、経年変化したであろう状態、姿の確認実験ピースなども展示中です。

 
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いわゆる燻蒸法と呼ばれる、硫黄を気化させることで行った硫化実験のピースも展示中です。

実際に実験を行うことで、気化させる手法で同様の段階まで硫化させるためには、硫黄を撒く手法より大量の硫黄を必要とすることがわかりました。また箔足に見られる反応後の状態などを確認すると、硫化の手法によって異なる状況が生まれることもわかりました。
 
描いた本人としては、描いてからすでに時間もかなり過ぎ、自分の至らぬところばかりが目につくこととなりました。県立美術館2階で開催中の中村芳中展、尾形光琳作の作品も展示されており、その筆跡を見るにつけ、より柔らかさ、時間を溜める技術の重要さを思いました。
 

 
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以前、我が家のアトリエでこの再現屏風を見た方々が一様に仰るのは、県立美術館展示ケースのガラスの色!、自然光の我が家で見た時より、かなり青く感じるのです。
 
中村芳中展と同じ、11月3日までの会期で展示です。
このあと、この展示一式は、大阪大学総合学術博物館に運ばれ、来年1月16日まで展示される予定です。このあたりの情報についてはまた改めて。

なお会場では常時、再現紅白梅図の制作工程を録画した映像、また硫黄燻蒸実験の様子などのムービーを流しています。

 
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10月13日(月・祝)まで北区表町のエスプリ・ヌーボーでは榎本勝彦さんとの二人展を開催中です。(※岡山県立美術館は月曜休館・エスプリ・ヌーボーは火曜日休廊です。ご注意ください※13日月曜日(祝日)は、同時に2つ見ることが可能です)

13日までは会期が重なっています。岡山市街地に出られることがありましたら、是非、足をお運びください。なお、個展の時のように、会場にずっと詰めているわけではありません。作者不在のおりはお許し下さい。

 
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墨を使った作品も展示しています。

猪から作った膠、燻炭製造過程から得られたカーボンを使って作った墨による表現もあります。


ご高覧いただけましたら幸いです。