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4/15//2017  材料技法

和紙原料 楮 三椏 雁皮

■ 和紙の原料「楮・三椏・雁皮」、それぞれ名前を知っているとはいえ、日常生活で意識して見ることは少ないと思います。この国の絵画を支える要素と、以前から関心を持っていた私でさえも、実は「雁皮の木」が山で歩く中、特定できる程には知らなかったというのが実際のところなのです。知人にお願いしていた雁皮の木、それも葉を落とした冬の状態の木をひと枝いただきました。

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これが雁皮の木だとのこと。ネット上では葉をつけた画像、花の咲いた画像などを検索で見つけることが出来ますが、葉を落とした冬の時期に特定するのは容易ではありません。こうして実物、それも細かな枝先のありようを見せてもらうことは山で木を特定する上で大変ありがたい情報となりました。

基本、雁皮(ガンピ)は自生のみ、栽培が難しいのだとか。山の南側斜面、それも赤松が生えるような痩せた土地の尾根付近に生えるとのこと。私が住まうあたりは、ちょうどこうしたロケーションの場所であり、必ず近くにあるはずと思いつつもこれまで特定できなかったのです。

和紙材料サンプルとして見たことが有るガンピの原木は、直径2センチの棒状、もちろん枝先はありませんでした。

 
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枝先の様子です。ガンピの木の特徴が少し理解できたように思います。

詳細に見ると新芽が出てきているのがわかりました。

 
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一番太い部分の表皮から見た画像です。桜の木のような樹皮をしています。

一番外側の表皮、そして緑色の部分も取り去ったあと(もちろん芯も除いて)に残る部分が和紙となるガンピの原材料部分です。

採ったばかりの枝は、簡単に皮をむく事ができました。昔の採集では取ったらすぐ原材料となるよう皮を剥き、乾燥させて保存、ある程度の量を蓄えたのだとか、そして仲買が山に買い集めに来たおりに売ったのだそうです。
それなりのお金になった・・・とのことでした。

こうして実物に触ってみて、雁皮は(サンプルの枝が)細い割に、取れる原材料、皮の部分がそれなりに多いのだということがわかりました。
 

 
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以前 紹介した樫西和紙での三椏の原材料処理作業。伐採した三椏の木から皮を剥き乾燥させて保存していた原材料を一度蒸して柔らかくし、その後、表皮、鬼皮を取って必要な部分のみに加工しているところです。

樫西和紙 岡山県真庭市 
5/25//2016  材料技法
http://plus.harenet.ne.jp/~tomoki/newcon/news/2016/052501/index.html

 
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箔合紙を造る原材料として三椏の繊維を処理している途中の様子。
上田さんに見せていただきました。


津山市 横野和紙 上田手漉和紙工場
12/25//2016  材料技法
http://plus.harenet.ne.jp/~tomoki/newcon/news/2016/122501/index.html

 
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和紙制作の根幹となる原材料 楮の栽培地、ならびに原料加工を見せていただいた笠岡の石丸さん。

和紙原料 楮(岡山県笠岡市産)その2
2/10//2016  材料技法
http://plus.harenet.ne.jp/~tomoki/newcon/news/2016/021001/index.html